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吃音症のぼくは、職業「ライター」に人生を変えてもらいました。

Webライターを志す理由は、人それぞれ。

● 障害があり定職につけない
● 子育てをしつつ、働きたい
● 本業の収入が著しく少ない

ぼくの場合、理由は二つありました。

一つは「吃音症」であること。吃音症は言語疾患の一種で、ぼくはこれのせいで電話対応や接客をうまくこなせない。

おかげで社会人生活は最悪でした。

もう一つは「月収10万円」であること。美容師の職に就く人が、たいてい薄給であることは知っていました。母も美容師だったからね。

でも、ぼくは金を使うことに興味がなかったし、髪を切ることが好きだった。そして月に10万円の収入は、実家ぐらしの身にはじゅうぶんな額だと納得していたんです。

でも、事情が変わりました。
吃音者のぼくに、初めて恋人ができたんです。

一生、吃音症に苦しむ人生だとあきらめ「しんどければ命を絶とう」と密かに思い、自分のこと、自分以外のこと、色々と考えていました。

けれど、ぼくは「恋人ができること」を考えてはいませんでした。吃音症の自分に人間的な魅力なんてないと思っていたからね。

何度も「お前はしゃべるとダメだ」といわれた経験があるし、美容師になってからも「ぜったいにそれ(吃音)はお客様に見せるな」と言われました。

独り、そんな人生がずっと続くと思っていたのに、たまたま起こった「恋愛」というまぐれが人生を少しずつ変えていったんです。

むかし挫折したWebライターを始めて、また挫折した

恋人と同棲することになりました。

客観的に見ると「なぜ金がないのに同棲した」と思われるところだけど、理屈ではどうにもならない理由がいろいろとありました。

こうなると、いよいよ金が足りない。

恋人と有意義に過ごすための金ではなく、生きていくための金がありません。

というわけで、美容師になりたてのころ一度やったことのあった「Webライター」という副業へふたたび手を出してみました。

「Webライターは内職みたいなものだが、すこしでも手元のお金が増えれば良い」

と始めたものの、ほとんど稼げず「やはりWebライターはダメだ。バイトでもやろう」とキャバクラのスタッフに。

キャバクラのスタッフは時給1,200円と美容師の三倍だったけれど、声が出ずに怒られたので一日で辞めました。だから、次に工場バイトを始めました。

工場バイトは楽です。
巨大な冷凍庫に入ってマックスバリュの店舗へ運ばれる品を、ただただ機械的にコンテナへ詰め込んでいくだけだから。喋ることを求められません。

おじさん、おばさんに話しかけられても聞こえないフリをすればいいんです。

工場にはぼくみたいに、何らかの理由から対人関係に恐怖を覚えている人がおおい印象を受けたし、実際に無愛想でも怪訝な顔をされることはありませんでした。

でも、一日の七割以上を通退勤と肉体労働に充てていたからか、身体に不調が出始めました。
何より毎日眠たくて、車通勤時は必ずと言っていいほど事故を起こしそうになりました。

しかし、辞めるわけにはいきませんでした。
美容師を始めてから貯めていたお金は、同棲を始めてからどんどんと減っていたからです。

ここで踏ん張らないと、微かに残っていた自信も尊厳も何もかも失いそうで、怖かったんです。

Webライターを「本気でやろう」と決めた日

工場バイトは何ヶ月続けたかな。きっと半年ほどです。

正直、身体が限界を迎えていました。
毎日働きすぎて、退勤時の車のなかでも船をこいでいました。

日々の原動力は「ぼくとともに過ごしてくれる恋人との生活を守らなければ」というただ一つ。

当時はすでにまともな判断力を失っており、その生活をどう改善すればよいのか、どこに問題点があるかもわかっていませんでした。

そんな日常を変えたのは、あるWeb記事でした。

勤務先の美容室で昼飯を食べているとき、左手にもったスマホでいつものように「稼げそうな副業」について調べていたところ、こんな記事がヒットしたんです。

夫の病気で突然、大黒柱になった私が年収800万円を実現できた理由

内職の延長だと思っていたWebライターの仕事で、まともに稼いでいる人がいることを知った瞬間でした。

ぼくは「一発逆転するために、もう一回これ(Webライター)をやるか」と思いました。

Webライターはぼくを変えたから⋯

結論から言うと、ぼくは三度目の正直でWebライターになれました。

希望をもって独立したんです。
美容師にさようなら。

人並みに収入を得て、恋人に誕生日プレゼントを渡せるくらいの余裕を手に入れました。
そして恋人は妻になりました。

今日は、その道中について語りたいわけではありません。

「絶対的な弱者」だと思っていた自分が、Webライターという職に救われたことを広く伝えたかったんです。

小学生のころ、うまく朗読できず自分のせいで毎日授業が進まなかった。

中学生のころ、教師に「あいつの喋り方、変だね」とクラスの会話のネタにされた。
高校生になって不登校になった。

そのあとも毎日、吃音症に悩まない日はありませんでした。
Webライターとして稼げるようになるまでは。

ぼくと似ている人は、きっと大勢います。
人より繊細なところがあり、誰にも悩みを理解してもらえない…とか。現実に何らかの「理不尽」を感じている…とか。

そんな毎日を変えて、ポジティブに続く道を切りひらく手段として、ぼくはWebライターが一つの候補になると考えています。

Webライターは、文章という壁を一つ挟んで社会と向き合うお仕事です。
ぼくは壁を一つ設けるだけで、ずいぶんと生きやすくなりました。

● 話す必要がない
● 話しかけられない
● つまり、何も問題が起こらない

吃音症でなくても、対人関係に苦手意識を抱いている人は大勢います。

そういう人は、コミュニケーション能力が不足しているのではなく、コミュニケーションの距離感が合っていないだけだとぼくは思っています。

だから、文章の壁を一枚挟むと、ずっと楽になると思うんです。

そんな人に「Webライターとして働く世界にくると、生きやすくなるかもよ」と伝えたいと思っていました。

でも、それを伝えた相手がWebライターに挑戦して、稼げなくてさらに落ち込んで⋯

そうなる可能性に責任を持てませんでした。
いまも他人の人生の責任をもつなんて、到底できません。

でもヒントになるようなものを作ろう。
そうすれば「もしかすると、生きやすくなるかもよ」くらい、いえるようになるかなって思ったんです。

ぼくの知っている、ありったけの情報をヒントとして用意したあとなら、多少Webライターを勧めてもまったくの無責任ではないかなって。

そんなこんなで、先日Twitterで公開した書籍文章だけで月100万円稼ぐ方法は、裏テーマとして【Webライターを勧めるときの(ぼくの)心理的障壁を小さくする】といった自分本位な目的がありました。

表テーマはこれ。

●「Webライターを始めたけど稼げません」という人を減らす
● 他人に勧めるときの心理的障壁を小さくする

自分でも欲張りだと思うのですが、書籍の出版以降は嬉しい言葉をいただいており、なかには本の『筆者紹介』を読んで「私も吃音症で⋯」と教えてしてくださる方もいました。

小さく、少しずつではありますが、誰かの役に立ちつつあるぼくの本が多くの困っている人に届けば良いなと思い、より広く「社会が生きづらい人」に向けてこのnoteを書いてアップしました。

届くかな? ぼくの人生を変えた、あの記事のように。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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