ポルトガル紀行 Ⅱ
2019年6月28日(2日目)
11:30
ジェロニマス修道院を後にし、次はアズレージョ美術館へ向かう。
ベレン駅に戻り電車を待つ。なんとなくだが、ポルトガルの人を見ているとスマートとかクールよりもセクシーが上位概念のような感じがした。とにかくみんな肌を出している。腕時計の広告にはマッチョな男が裸に腕時計をしていた。ただそのセクシーという概念が少し日本とは違う。セクシーは老若男女全ての身体に与えられていて、それをアピールすることは当然の事という感じ。日本のように周囲の目を気にして遠慮するような空気は全くない。
電車が来た。belem→baixa-chiado→santa apoloniaと東へ電車で移動し、サンタアポローニア駅からはバスに乗り換える。
ポルトガルの旧式のバスは、バス停名のアナウンスが流れるのみ(文字情報でのバス停名の掲示がないの)で、しかもその音声が小さく、聞き取るのが難しかったので、運転手さんに下車したいバス停のメモを見せ、着いたら教えてとお願いした。
親切な運転手さんに助けられ、なんとか美術館に到着。
美しいエントランス。5ユーロを支払い中へ入る。
アズレージョとはポルトガル伝統の装飾タイルのこと。このミュージアムには15世紀から現代までの様々なアズレージョが展示してあった。
制作された時代によって描かれるモチーフにも変化があり、15世紀頃はイスラム文化圏の影響により幾何学模様が多く、17世紀頃は王宮や貴族の室内を飾るような豪華なものや宗教的なモチーフが増えた印象。現代に近づくにつれて商店を飾っていたような庶民的ものや近現代の絵画の影響を受けたものなどに変わっていった。
リスボンの街では、青一色のアズレージョをよく見かけた。
オランダのデルフト焼きや中国の景徳鎮などの影響や類似性を感じるが、ポルトガル流は、素朴で筆運びにラフさのあるおおらかな絵付けが特徴的。
修道院を改装して作られているらしく、奥には礼拝堂も残っていた。
古代の陶器片。
現代のポルトガル陶器のコレクションもあった。かわいい。
海外のキャラクターはデザインが素朴で雑な感じだが独特な良さがある。
ポルトガルに来る前に、禅さん(お世話になっている大阪のステンドグラス会社の社長)から教えて頂いたリスボン出身のアーティスト・Vasco Mouraoさんの展示を御徒町のギャラリーで拝見した際に偶然知り合ったポルトガル大使館勤務の方がおすすめして下さったのがこの美術館だった。その方が、特に美術館内にあるカフェが素晴らしいので、もし美術館に行ったら是非寄ってみてほしいと言っていたので、展示を一通り見た後にカフェに入った。
カウンターでビールとパンを注文し、席に着く。
修道院時代の調理場と食堂を改装したカフェ内は美しい光が差し込み、人々もとてもリラックスしてる感じ。
80歳くらいの老紳士が馴染んだ白シャツに濃紺のエプロン姿で、ものすごくゆっくりとビールとパンを運んできてくれた。
ここでは、全てが調和していて特別な時間が流れていた。昔に読んだヘッセの小説に調和についての記述があって、なぜかそれを思い出した。
パンの味は普通だったけど、最高なカフェだった。
ポルト行きの電車の時間が近づいてきたので、美術館を後にすることに。
本当に素晴らしい美術館だった。
15:30
歩いてサンタ・アポローニャ駅まで戻るとポルト行きの電車がすでに来ていた。
予約していた席の車両に乗り込む。APという急行列車でポルトまでは北へ3時間の移動。因みにポルトガルの電車はかなり時間が正確でほぼ遅れることはなかった。
車窓からの景色を楽しみにしていたが、似たような景色が多く少し退屈だった。
18:30
ポルトのサンヴェント駅に到着。壁面のアズレージョが素晴らしく、とても美しい駅だ。
アンデンテカード(電車やバスで使えるICチップ入りのカード)を作ろうと券売機で操作するが、ポルト内の移動するゾーン(エリア)と乗る回数を事前に指定してチャージしなければならず、明日行く海沿いが何ゾーン(1から5まである)なのかがわからない。ゾーン分けが書かれた地図をガイドブックや駅内で探すも見当たらず、窓口も19時近い時間だからか閉まっていて、もう適当にチャージしようかと思っていたところ、一人の若い男性が話しかけてくれて、状況を説明し、なんとかチャージできた。オブリガード。
宿の近くでバスを降り、印刷してきた地図の住所に宿がなかったので近くをうろうろしていたらおばあさんが親切に宿の場所を教えてくれた。ポルトは人が優しい。
19:30
部屋に荷物を置き、ゲストハウスの受付のお兄さんが勧めてくれた近所の食堂へ向かう。受付のお兄さんはとても親切でポルトのおすすめスポットに丸印をした地図をくれた。これが次の日にとても役に立った。
食堂は地元の人で賑わっていて楽しそうな雰囲気。
ドウロ川が見えるテラス席に座り、ビールとカルド・ヴェルデというキャベツとポテトのスープ、タコのマリネと魚のフリットを注文。
うまい。どれも素朴だが手作りの良さがある。あと、タパス的な小皿料理なので一皿の量も多くなく、ちょっとづつ色んな料理が食べれるのもすごく良い。
その後もヴィーニョ・ヴェルデ(緑のワインの意、ポルトガル名産の微発砲の白ワイン)を飲みながら、気になる料理を色々と注文。美味しいと調子に乗って色々頼んでしまう。どれも美味しくて最高。特にチーズと魚介が美味しかった。
22時くらいでまだこの明るさ。
時差ボケとほろ酔いで宿に戻りすぐに休む。
続く
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