東京五輪のモヤモヤ

忘れている人が多いだろうが、2020年オリンピック招致に広島市が手をあげようとしたことがある。当時の秋葉忠利市長が構想したが、世論の賛同は得られなかった。もし、広島市が何らかの形、たとえば東京との共同開催や主要競技の開催地などの形でかかわり続けていれば、昨今の騒動のなかで、どうなっていただろうか。早く見切ってよかったと思う反面、被爆地ヒロシマが関与していれば、もっと五輪の精神、意義がしっかりして、いまのような混乱にはならなかったかもしれない。

コロナで1年延期になり、あと半年になって組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言による引責辞任。開催はますます難しくなった。後任会長として森氏が元Jリーグチェアマンの川淵三郎氏を「指名」したら、世論だけでなく菅首相サイドからも反対意見が出たようで、川淵氏はとんだピエロになってしまった。

思えば、この五輪は無理筋が多かった。安倍首相が「フクシマはアンダーコントロールの状態にある」と宣言して、原発反対市民たちから大反発を受けた。「アンダーコントロール」なんて横文字を使わずに、「安全」と言い切らないところが、うさんくさいと私も感じた。

メーン会場の国立競技場も建設費が高すぎると批判され、設計契約を破棄してやり直した。エンブレムは盗作とされ、やり直した。コロナ禍で1年延期、そして今度の森発言。世界の世論は「この時期にオリンピックなんてやりたくない」というのが本音だったのだろう。それを表明するのにピッタリの女性蔑視失言があったので、わーっと盛り上がってしまったのだろう。平生往生で、ジェンダーギャップが世界で120番台という「後進国」ニッポンの姿も世界にさらされてしまった。これを機に男女平等を全国民が勉強しなくてはならない。

これだけケチがついたオリンピックはもう中止したほうがいい。世論調査でも8割はそう思っているそうだ。森という重しが取れたので一気にその方向に動くだろう。でも、幕引きをする後任会長は誰もやりたがらないだろうな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?