新世界紀行

とある実用書のベストセラー作家さんの講演会に参加した時のこと。

「成功の秘訣やポイントの書いてある本の内容は大体どれも同じです。それだけ成功の秘訣やポイントが同じなんだということです」

というお話を聞いた。この話に私は思い当たる節がたくさんあった。その時、高校時代に顧問の先生から聞いた“勝負の世界“のお話思い出した。




「全国大会とワンピースの新世界は同じ」

大半の人は意味が分からないのではないだろうか。現に私も聞いたときは意味がわからなかった。自分たちが目指している場所と漫画の中の世界が同じなんて考えたこともなかった。
しかし、今になってその理由がわかるようになったし、独立や起業なんかも漠然とだが、同じものなのだろうと私は考えている。

なぜ、この二つが同じものなのか、共通点がいくつかある。

・中途半端な力、気持ちでは結果を出せない場所
・行くことは案外簡単にできる
・この場所で結果を出すと決めたなら、それ相応の努力と時間が必要になる。

この三つが全国大会と新世界の共通点なのだ。
ある程度の知識と力があれば全国大会に行くことができる。グランドラインの前半を越える力があれば新世界にも入ることができる。しかし中途半端な力ではどちらも弾き返されてしまうのだ。でも行くだけなら簡単にできるのだ。

今年の春のセンバツ高校野球を制したのは大阪桐蔭高校だった。出場選手はほとんどが中学時代に日本全国で名を挙げた猛者である。その猛者たちが日本トップクラスの野球を学び多くの時間を野球に費やしたからこそ甲子園優勝という栄光を手にしたのだ。
比較対象としては21世紀枠をといいたいところだが、これに触れることはタブーだとわかっているのであえて触れはしない。しかし、今回は結果を出すということはどういうことなのかを言いたいということはわかっていただきたい。

起業や独立も同じだ。登記するだけでいいのだから誰にでもできる。資本金だって0円でもいい。しかしこちらも結果を出そうと思うなら、勉強し人脈を広げ、だれよりも働かなくてはいけない。業績を上げ、会社を成長させていきたいのなら中途半端な力と知識ではダメなのだ。多くの時間を努力に充てなければいけない。

ワンピースの劇中でルフィは、三日後にシャボンティ諸島に集合するという約束を二年に伸ばす。なぜか。今のままで新世界に入ったところで通用しないのが分かったからだ。二年後、成長した麦わら海賊団は四皇と互角の戦いを繰り広げることになる。

破竹の勢いでシャボンティ諸島まで駆け上がったルフィ達でさえ2年の修業期間を設けた。
中学時代、全国で名を轟かせた選手達でさえ高校3年間厳しい練習に打ち込む。
誰よりも仕事ができる優秀な人でさえ、勉強と失敗をしながら人生をかけて会社を経営していくのだ。

これほどの覚悟がなければ新世界や全国大会、会社経営といった“勝負の世界”で戦っていくことはできないのである。そしてその勝負の世界を経験した人は皆大きな人間になると私は感じている。

初めて登場した時のシャンクスやミホークの強さには誰もが驚いただろう。
全国で活躍した選手はプレーも考え方も別格だ。
大きな会社を経営している社長さん達は考え方もすごいし生き方もすごい。

勝負の世界とは、私たちが暮らしている世界とは階層が違うのだ。当然見ている世界も違う。ビルの1階と10階では見える景色が違うのと同じだ。一たび踏み入れると虜になってしまうか、恐れてビビってしまうかのどちらかである。

普通に生活していれば勝負の世界に足を踏み入れることはない。わざわざ入らなくても生きていくことができるのだ。しかし、普通の生活では考えられないい量と質の出会いや経験、お金、情報など様々なものが勝負の世界ににはあるそれを手に入れるのか、手に入れないかだけである。

「おれの財宝か? 欲しけりゃくれてやるぜ・・・
     探してみろよ この世のすべてをそこに置いてきた」

海賊王ゴール・D・ロジャーの最期の言葉だ。
この言葉の通りに勝負の世界にはこの世のすべてが置いてある。スポーツ、会社経営、趣味、研究などなどなんでもある。手に入れたいのであれば、勝負の世界に足を踏み入れ、探せばいい。
共通点でも挙げたが、行くことは案外簡単なのだ。少しの努力と少しの勉強で誰でも踏み入れることはできる。しかし、その先のこの世のすべてを手に入れたいのならそれ相応の覚悟が必要になってくるのだ。
中途半端な覚悟で挑めば、弾き出される、もしかしたら全てを失うかもしれない。

しかし、人生は一度きりだ。こんな世界を見てみるのも悪くないのではないだろうか。
情報化社会、働き方改革などなど時代はめまぐるしく変化し、新世界への行き方は広く知れ渡ってきている。一回きりの人生なのだから思いっきり強欲に欲しいものすべて手に入れようとしても誰も文句は言わないはずである。

この話を聞いた時私はまだ高校生だった。この時の私はこのお話をまったく理解することができなかった。いや、今もすべて理解しきれていないかもしれない。しかし、このお話は私の宝の地図だ。行先はもう決まっている。

大海賊時代はもう始まっているのだ。



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