見出し画像

「まど・みちお詩集」を読んで

☆おそろしいドロップ

海の魚よ 海にいるもの達よ!

あれは 君たちの ほしいものではないのだ

海の中の 赤いあめ玉のような

波にけずられた 黄色い星のような

海にうかぶ 海にただよい

君たちの「おいしそう!」を そそるものは

何だと思う?


海の魚よ 海にいるもの達よ!

砂浜にうちあげられた

大きなお腹の 仲間を見たかい?


海の魚よ 海にすむもの達よ!

あれは 君たちの ほしいものではないのだ

岩にぶつかる波しぶきで

小さくなった 「プラスチック」という

おそろしい ドロップなのだ


☆かわいい猫

猫よ 私の愛する猫よ

お前はずいぶん 年をとったのかい

食べる量が へったのは

チヤウチュールも 胃もたれして

かつお節にも のどがかわく


猫よ 娘の愛した猫よ

子猫をつれてきた娘は

先に天国へ 逝ったよ!

お前も もうすぐ行くのかい?


猫よ 娘も私も愛した猫よ

眠る時間が とてもながくなったね

ほんの少し目が覚めた時

とても 人の愛を恋しがるようになったのは・・・


☆「みみなり」

ジージージー と

私の耳元で鳴いているのは

「みみなり」という虫なのだ

何かに夢中になっているときは 鳴かないのに

私が何もしなくなって 落ち着いたら

また、鳴きはじめる

夜、眠るときなど 余計大きく鳴く君を

私は友として 受け入れよう

どんなに大きく鳴いたって いいから

じっと聴いててあげるから

無遠慮に鳴く君さえも 

私は 受け入れよう


☆むかし むかし・・・

 むかし むかし神様が「にんげん」をお創りになった時のこと。
神様は 粘土で「にんげん」を型どって、窯に入れてお焼きになった。 
 一度目、火力がわからなかったので 出来上がった「にんげん」は
「白」かった。
あまり「白」かったので 神様はもう一体お創りになり、今度は窯の火力を 強くされた。 すると、今度はあんまり火力を強くしてしまったようで  出来上がった「にんげん」は 焦げてしまい, 黒くなっていた。
そこで、神様は再度「にんげん」をお創りになり、今度は慎重に窯の温度を調節しながら「いい色になりますように!」と、心を込めてお焼きになったそして出来上がりを見てみると、丁度いい焼き色の「にんげん」だったので、神様はたいそうお喜びになった。 
そして 最初の「にんげん」は「白人」とよばれ、二度目の「にんげん」は「黒人」とよばれ、最後にいい色にできあがった「にんげん」は「黄色人種」とよばれるようになったそうです。

<註>この話は私が小学校6年生の時、担任の先生から聞いた話です。


「まど・みちお詩集」の感想

 奥深いまど・みちおさんの「生きとし生きるもの」への深い愛情
いや「生きとし生きるもの」だけでなく、万物への愛情
まど・みちおさんの詩集を読んで出来た詩と思い出した話です。
 みなさま、いいクリスマスを!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?