星にかえったイルカ

南の島の海深く イルカが仲間と泳いでた

海に潜って 底深く 真っ暗闇の海底に 何があるか探検だ!

けれど 真っ暗闇の海の底 何処まで行っても真っ暗で

息苦しくなり 尾びれをばたつかせ 浮かび上がって飛び跳ねて

「プハッ!」と音立て 胸いっぱい 光の中に躍り出た


眩しい光が差し込むこの海は イルカのコロンの遊ぶ海

一番スキなこの海に イルカのコロンがいつからか

どこから来たのか 誰も知らなかったけど

仲間は ちっとも気にせずに すぐに仲間になれたよう


コロンと仲間は いつも一緒に 泳いでる

浅い海辺を泳ぎ回る楽しさや 

おいしい魚を追いかけて 口いっぱい頬張る満足感

時々、海から空中に 飛び跳ね上がる面白さ

そんな幸せな毎日なのに

イルカのコロンは さみしくなる時がある

それは 夜空を見上げた時

空一面の星空に 

どうしてなのだろう?

帰りたい! 

そんな気持ちが 湧いてくる


そんなある夜

彗星が 尾を引き突然現れて

イルカのコロンに 言いました

あなたの母は 流星群の「星」なのよ

あの紫いろのオーロラに 導かれるように

流星群から飛び出して

ある時 姿を消したのよ

だけど

紫色のオーロラは あなたの母の来る前に

姿を消してしまったの

傷つき心を痛めた母星は 心の傷が大きくて

ひび割れした心の一部を 海に落としてしまったの

海に落ちた母星の心の欠片が

コロン、あなたなの!


イルカのコロンは そうなんだ!

だから、帰りたい!と 思うんだ

「おかあさ~ん、ぼくはお空に かえりたいよ~」

夜空に向かって 何度もなんども 

海から飛び跳ねて みたものの

全く、行き着けず

夜空を 見上げる日々でした


ある時 満月の光が海に

煌々とその姿を 映しておりました

そうだ、お月さまにお願いしよう!

毎晩 お月さまに 祈りました

三日三晩祈った時

お月さまが いいました

この細い三日月に コロンよ 飛びつくがよい!

コロンは 必死で何度もなんども 

夜空に向かって飛び跳ねました

けれど、何回挑戦しても 行けません

そのうち、コロンは気を失ってしまったのでしょう


気が付いたところは 海の中でなかったのです

コロンの周りを取り囲んでいる

沢山の光輝く星の中

心を痛めた母の姿を コロンは 

すぐに見つけることができました

「おかあさ~ん!」「お~、コロン!」

抱き合う二人は 欠けた部分が ピッタリと合い

一つの星になりました

そして、いつまでも光り輝く 一つの星として

今夜も この広い夜空の何処かで 

ひっそりと輝いていることでしょう

                       完

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