スベり高等学校〜卒業後は平民になります〜

あと、一ヶ月しかない。

三年前、王の勅命で高校に入学させられた。一ヶ月後が最後の試験だ。
試験に合格しなければ、卒業してしまう。

入学させられた高校は、貴族をふるいにかけるための教育機関で、卒業は落第と同義だ。
卒業後は貴族からの退位表明後、爵位を返上、平民として生活しなければならない。家族全員だ。

卒業するわけにはいかない。

一ヶ月で詰められるだけ頭に詰め込んだ。
試験前二日間は徹夜した。

迎えた試験当日。

問題用紙を見た途端、頭が真っ白になった。
眠気にも襲われる。

胸に手を当て、目を閉じ、ゆっくりと深呼吸を繰り返す。
落ち着いたところで目を開ける。

やっぱりわからない。
このままでは白紙で解答用紙を出すことになる。

卒業はしたくない。

試験監督は、船を漕いでいる。

俺はそっと隣人の手元を覗きこんだ。



張り出された成績表を見て目を疑った。
トップに名前があるのだ。
抗議すると、不正事実の確認で何日も尋問を受けた。

二週間後、卒業証書を受け取り、退位表明することとなった。


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