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「昇格」を果たすチームとなるために FC琉球戦レビュー(2022年J2第17節)

こんヴァンフォーレ!
今回は5月21日(土)に行われた
2022年J2第17節
FC琉球vsヴァンフォーレ甲府のレビューをお届け!

1.概要

今節から天皇杯2回戦を含め、今年2回目の5連戦がスタート!
GWの時の5連戦は関東のチームとの対戦のみだったため、ホームアウェーの移動に関しては負担は少なかったように感じるが、今回の5連戦を整理してみると以下の通り。

5月21日(土) vs琉球(A) 19:00K.O
中3日
5月25日(水) vs徳島(H) 19:30K.O
中2日
5月28日(土) vs熊本(A) 13:00K.O.
中3日
6月1日(水) vs環太平洋大学(JITス) 18:00K.O.【天皇杯2回戦】
中3日
6月5日(日) vs岩手(A) 18:00K.O.

前回の5連戦と打って変わって、北へ南へ行ったり来たり(笑)
ナイトゲームも増えてきたとはいえ、気温が高くなる試合も増えてきているので、より一層消耗度が激しい試合が連続すると思われる。

どの試合も厳しい戦いとなるが5連戦のちょうど真ん中の熊本戦はデイゲームということもあり、天候にもよるがハードな展開になることは間違いないだろう。

昨年の天皇杯のメンバーを見る限り、大幅にターンオーバーしているので、リーグ戦を優先するとすれば、今年も天皇杯2回戦はターンオーバーすることで連戦の疲労度は多少コントロールできそうだが、気を引き締めないと昨年の二の舞になりかねない。

5連戦のスケジュール確認が長くなったが、そんな5連戦の重要な初戦となる今節は敵地に乗り込み、FC琉球との一戦となる。

通算成績は甲府の5勝1敗と大きく勝ち越しているが、昨季は1勝1敗。アウェーでは終盤に(いろいろあって)CKから失点し、黒星と罰金処分を与えられてしまった苦い思い出の地での試合となる。

水戸戦に敗れてから、3試合負けなしだが、2試合連続のドロー中。
負けないサッカーを勝ち切るサッカーへ進化させることができるのか。


2.メンバー紹介

FC琉球

FC琉球 スターティングメンバー

4-4-2のフォーメーション
圧倒的に警戒しなければならないのは今季ここまで7ゴール
さらに5試合連続ゴール中と今J2で最も勢いのあるFWとも言える草野選手
そして草野選手を警戒するあまり、自由にさせたら豊富なアイディアで攻撃を仕掛けてくる池田選手や清武選手に簡単にゴールを許しかねない。

また、前節に引き続き元甲府キャプテンの倉貫ヘッドコーチが指揮を執ることなった。

ヴァンフォーレ甲府

ヴァンフォーレ甲府 スターティングメンバー

3-6-1のフォーメーション
前節、本職がボランチの林田選手を左ストッパーに起用したディフェンスラインは野澤陸選手が復帰したため、林田選手がベンチスタート。
野澤選手が先発に復帰したこと以外は前節からのメンバー変更はなし。
山口戦で退場となった宮崎選手が出場停止となっているため、控えのFWは三平選手とパライバ選手の2名。

リラ選手の2試合連続ゴールや大宮戦振りの長谷川選手のゴールなどに期待しつつ、浦上選手を中心とした守備陣が琉球攻撃陣に対してどれだけ安定して守備組織を形成できるかも重要となる。


3.試合結果

FC琉球vsヴァンフォーレ甲府 スコア表

負傷した草野選手に代わって投入されていた上原選手にCKの流れからゴールを決められ、追いかける展開となった甲府は攻撃的なカードを切ってゴールを目指し続けると、途中出場の松本選手が土壇場で同点ゴールを決め、そのままドロー決着。
4試合無敗だが、3試合連続ドロー。勝ちきれない試合が続いている。

ハイライトシーンを中心に試合を振り返る

前半2分 前節に続き、立ち上がりにチャンス到来

敵陣高い位置でボール奪取をすると、鳥海選手が抜け出していくが琉球DFの好守に阻まれる。

前半7分 中盤、激しい球際の戦い

琉球DFからの縦パスに対し、両チームの選手が激しく球際で競り合うとなんとかボールを奪いきった琉球の中野選手が鋭いドリブル突破。
最後は狙いをすましてファーサイドへシュートを放つが枠には飛ばず。

前半26分 セットプレーの流れから須貝選手のシュート!!

敵陣中央からのFKのチャンス。長谷川選手の右足からのキックはゴール前のリラ選手のもとへ。その競り合いによってこぼれたボールに須貝選手が反応し反転してシュートを放つも琉球の粘り強い守備を前になかなかゴールまで結びつかない。

前半終了

両チーム球際での激しい勝負と粘り強い守備が見られた前半戦。
後半消耗が激しくなるにつれて、緩さが出るとそこでやられてしまうので、最後まで集中力を高く保って勝負に徹することがポイントとなる。

後半7分 セカンドボール回収から琉球がシュート

ハーフライン付近で琉球がロングボールを跳ね返すと前線に縦パスを入れる。
一度は浦上選手が弾き返すが、ルーズボールに中の選手が反応してシュートまでいくが、ボールはゴール右に逸れていった。

後半9分 CKの流れから混戦となるがゴールならず

右CKから長谷川選手がアウトスイングのキック。
ニアサイドでリラ選手が触るとボールはファーサイドに流れ、混戦となるが琉球の身体を張った守備でゴールに押し込めず。

後半11分 好連携で左サイドを攻略

左サイドの小林選手から守備陣の間でポジションをとる長谷川選手にパスが入る。DFに奪われない位置でボールをキープすると上がってきた小林選手にパスを返すと、小林選手がグラウンダーの鋭いクロス。
中央でリラ選手がワンタッチで合わせるがゴール右に流れて行ってしまう。

後半18分 小林選手のFK炸裂!

PA手前、ほぼ中央で須貝選手が獲得したFKを小林選手が左足を一閃。
ゴール左上のコースを狙ったが枠を捉えられなかった。

後半26分 琉球がついにゲームの均衡を破る

琉球の左CKは守備陣が跳ね返すと琉球がセカンドボールを回収。
鳥海選手がプレスに行くと左サイドの中野選手にパスが渡り、クロスを上げられる。
そのボールにDF前に良いポジションを取った上原選手がヘディングを決めて先制ゴールを決める。甲府は1点を追いかける展開となる。

後半27分 すぐさま反撃に出る甲府

キックオフ直後、琉球のスローインを奪うと左サイドでリラ選手がボール再び回収。
右足でクロスを上げると代わって入った三平選手が合わせにいくがジャストミートせず。
交代出場の荒木選手と三平選手を中心にさらに前への意識を強めていく。

後半43分 琉球のショートカウンター

残り時間も僅か、前に出たい甲府だが代わって入ったばかりの大和選手のところで相手のプレスにはまり、ショートカウンターを受けてしまう。
最後はシュートまで持っていかれたが、シュートはゴール右へ外れた。

後半45+1分 執念の同点ゴール!

PA手前でパライバ選手がボールキープ、一度縦パスを入れると長谷川選手にボールを下げると、長谷川選手が一人はがして攻撃のスイッチを入れる。
縦にドリブルを仕掛け、相手DFを食いつかせると左サイドにポジションを変えたフリーの須貝選手へパスを出す。
須貝選手は右足にボールを持ち替えてクロスを上げるとゴール前でフリーとなった松本選手が丁寧にヘディングで合わせてゴール右隅へ流し込み、意地の同点ゴールをねじ込む。


先制を許すも、途中出場の松本選手が土壇場で同点ゴールを決め、敵地で勝点1を奪い取った。


4.今節のポイント

1.失点シーン

琉球のフィニッシュ精度の問題もあるが試合を通して決定的なピンチを迎えたシーンは多くなかった。
特に後半は失点するまでは1トップのリラ選手にボールが収まる時間も増えたこともあり、高い位置でボールを持つことができていた。
それゆえに、あの時間帯での先制点の献上は勿体なかった。

CKのこぼれ球、琉球の選手が拾ったあと鳥海選手が追いかけてプレスをかけて左サイドにはたかれた後、鳥海選手が再びプレスバックにいくまで誰も中野選手にプレスがかからなかった。
その時のディフェンスラインはクロスを警戒し、おそらく7人の選手が1列となり守備組織を形成させてはいたが、1度プレスをかけた鳥海選手が遅れてプレスをかけた時には中野選手が落ち着いたピンポイントクロスを供給するのに十分な時間は与えてしまっていたように思う。

クロスに対し、中を人数かけて引き締めるというのは1つの守備の方法ではあるが、たとえ相手の攻撃人数より守備陣が数的優位を作ったとしても、フリーでクロスを上げられ、人数では補いきれないスペースに飛び込まれてしまうと失点を許してしまうことになってしまう。

クロスを上げる選手に対し、1人でもチャレンジをして簡単にクロスを上げさせなければ、琉球にワンチャンスをゴールに繋げられる可能性は下げることができたのではないかとも思う。


2.長谷川選手の立ち位置

チームトップの5ゴールを挙げている長谷川選手だが、最後にゴールを決めたのは第9節大宮戦まで遡る。

言うまでもなく、今の甲府のエースといって間違いない長谷川選手だが結果としては、8試合連続で(東京戦は出場してないが)ノーゴールという状況となっている。
それでも試合に出続けているのは、ゴール以外でもチームにとって欠かせない選手であることは間違いないからである。

シュートへの積極性、チーム最多得点、攻撃に違いを生むことができる選手ということからまず相手チームにとって要注意選手としてマークされるのは当然の状況であるので、大卒2年目でそこまで登りつめたことはむしろ誇れることである。

それでも個の力でゴールを決めることができる選手であるはず。
では、なぜしばらくゴールから遠ざかっているのか、考えると長谷川選手のプレーエリアによるものでないかと思う。

基本的に今季は左シャドーの位置に入っている長谷川選手だが、今季開幕からの数試合よりもPA内でのプレー回数は減ってきている印象がある(実際のところはデータを確認できていないので、わからないが第2節大分戦のようなゴールはあまりない)

最近の数試合では長谷川選手がアタッキングサードではなく、ハーフラインを超えたところのミドルサードでパスを受け、ボランチの選手らと敵陣に入ってからの攻撃の組み立てに関与することが多くなっているように感じる。

その要因として個人的に考えるのは
①マークの厳しいバイタルエリアよりもマークがつきずらい位置でボールを持つことで、そこから攻撃の起点となること。
②ケガから復帰した小林選手の左サイドからのクロスが甲府の1つの武器になりつつあるので、小林選手のプレーエリアを作るために相手選手を引き連れ、小林選手が入り込むことができるスペースを生み出すため。
③須貝選手を右ストッパーに置く、可変システムを採用しているため、右前方に重心がいきがちな部分のバランスをとっている。

などが考えられる。

長谷川選手がゴール前で最後に一工夫をすることでフィニッシュの精度を高めることと攻撃の組み立ての部分からスイッチを入れ、違いを生み出すこと。

どちらも今の甲府にとって必要なことであるに違いない。
複数得点をあげる試合が減ってきている最近の甲府の状況ではあるので、得点力アップのために、長谷川選手を相手にとって危険なエリアでプレーさせるような動きをチーム全体が作れるか、長谷川選手が下がって攻撃の組み立てに加わったときに他の選手がゴール前で決定的な仕事を果たすことができるか。
これらが今後の戦いで重要になってくると思う。


③「昇格」を目指すチームであるために

後半の中盤に先制点を許し、混戦模様ではある今年のJ2ではあるが下位に沈む琉球を前に苦しい展開を強いられる。

という感じだったが、琉球が先制したあとは、甲府は途中出場の選手を中心により一層前への意識を強め、琉球も思いのほかリトリートしてくれたので(甲府が押し込む力があったから)、観ていた印象としては1-0のままでは終わらない、最低でも追いつくか、前がかりになったところをカウンター2点目を許すかとは思っていた(なんとか引き分けたからこんなこと言えてますが)

そしてちょうどロスタイムに入ったくらいで同点ゴールが生まれる。
そこで気になったのは得点直後のシーン。
やっとの思いで手にした同点ゴール。
試合も最終盤でさすがに敗戦ムードが漂い始めるかというところで生まれた土壇場の同点ゴール。
それは当然、選手だけでなく観ているファンサポーターからしても嬉しく、そしてある面ホッとした瞬間であったのは間違いない。
だから、喜ぶ気持ちはわかる。わかるのだが、この混戦のリーグ戦、なんとか頭一つ抜け出し、上位3チームに食らいつくため、自動昇格圏を目指すのであればここで必要なのは勝点1ではなく3だったはず。

残された時間はロスタイムの4分。ここは喜ぶ気持ちをぐっと抑えて自陣にすぐさま戻り、逆転を目指して急いでリスタートさせる姿が必要だったのではないか。
どんな状況でも、どんな形でも、どんな相手でも諦めずにチーム全員で勝点3を目指し続けるチームこそが昇格に大きく近づけると思う。
スタートダッシュには躓いたが、プレーオフ圏を目指すことができる位置まで這い上がってきた。もう一つ先の自動昇格圏を目指すために、「昇格」を果たすチームになるために常に目指すべき場所を意識し続けるチームであってほしい。

もちろん、この状況で同点ゴールを決め、勝点1をもぎ取ったことは素晴らしいことであるのは間違いない。
この勝点1を、さらには3戦連続ドローを価値あるものするための今後の戦いにしてほしい。


5.まとめ

良い流れで5連戦をスタートさせたかったが、白星獲得ならずという結果になってしまった。

しかし、混戦模様のリーグの中で勝ち点0を避けるということもまた1つ重要な要素でもあるのは確か。

3戦連続のドローでもまだ順位が大幅に落ちていないことから、これからの戦いで今日のような試合を勝点3をもぎ取るチームになることができればプレーオフ圏内のさらにその上に登り詰めることができるはず。

ハードスケジュールが続くが、総力戦で乗り切っていきたい。

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