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ラジオスタジオいろいろ

ひとつ前に記事で、ラジオは見えないから想像する、色々考える…なんて話をしましたね。では…一般の皆さん、ラジオのスタジオってどういう雰囲気を想像するんでしょう。

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こういう感じ?
よくイラストやTVのコント等で間違われてるのが、DJさんがガラスに向かって正面向いてるセットが有りますが、アレは滅多に無いです。普通はガラスに向かって垂直に座ります。

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このパターンですよね(ニッポン放送さんのスタジオ ナイツ・ザ・ラジオショーより)。AMもFMも大抵コレ。多分、喋り手が緊張しないように目線を外すようにしてるんですね。

いや実は今朝とある方のツイッターで知ったんですが、J-WAVEってワンマン用のスタジオがあったんですね。

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ガラスの向こう、サブ(副調整室)かと思ったら、反射してるだけで、六本木に外の風景を見ながらワンマンでオペレーション出来るように造られているそうです。(J-WAVEさん 「ZAPPA」より)
コレ、観察してるとスグレモノで、ワンマンスタイルで出来るし、向かい側にアナウンサーやゲストも迎えられるし、向かいにDJを座らせて…ディレクターと対面のツーマンでも放送出来るし、クラブDJさんを迎えたりして、生DJ-MIXも出来ます。もちろん目線を上げれば放送進行のPC画面と電波時計もチェック出来る。

生DJ-MIXといえば、FM横浜「PRIME TIME」が有りますが、こちらは通常のサブとブースに分かれたスタジオでDJの栗原さんがワンマンスタイルで放送されています。

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写真を見ると分かりますが…サブ(副調整室)にあるコンソール(ミキサー卓)の前、二重ガラスとの”隙間”に長机を置いてマイクを乗せて、そこでサブDJやアナウンサーさんが喋るスタイル。生DJ-MIXのセットはブース内に設置します。よく名前が出るエリD等のスタッフは、その後ろに控えてる訳です。

関西でワンマンというと、既に引退されたヒロT(ヒロ寺平)氏が有名ですが、彼も通常スタジオのサブ側、コンソールの向こうからマイクを伸ばしてワンマンスタイルで放送していました。

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昔はポン出し(サーバーに登録した音素材をワンタッチで出す装置)も無かったので「Friday Amusic Islands」時代は、サブDが横について、オペレーションを手伝っていました。(FM802FM COCOLO

そう、基本的に県域以上の一般的な民放ラジオ(NHKもそうですが)の場合、余程の事が無い限り、ディレクターをはじめとするスタッフが居て、ブース内のDJ、パーソナリティは喋り専門で分業して放送しますから、こういうサブとブースをガラスで隔てたスタジオが普通です。ブースは防音を施し、浮床構造でノイズを極力減らす設計がされています。

一方、エリアの小さいコミュニティFMとなると、設計・建設の予算も少ないし、人件費も浮かせなきゃいけない…という現実問題があって、大抵は、元からワンマンスタイルで出来るスタジオになっています。

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FMながおかさん(長岡花火実況中継後の特番「FMベスビアス」放送風景より)。こちらの写真は、コンソールでオペレーションしながら、横のテーブルでパーソナリティが喋るスタイルです。
よくコミュニティFMのパーソナリティさんがSNS等にUPする写真でもヘッドセットマイクを付けていますよね。あれ、ワンマンだからです。

一方で、音響にとことんこだわったスタジオというのも、大手局では造っていたりします。ニッポン放送さんのイマジンスタジオや、TOKYOFMさんのスタジオイリス(下の写真)などです。

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リスナーをスタジオに招待しての生演奏(ライブ)番組などに使ったり、時には音楽レコーディングも出来るという気合いの入った設計です。

一方で、普通の大き目のスタジオなのにお客を入れる場合も有ります。

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今は亡き、北海道のSTVラジオさん「日高晤郎ショー」で使った第1スタジオです。広めのブースを活用し、DJテーブルをサブ側に寄せ、壁側のスペースに雛壇を作ってリスナーを招待して半公開スタイルで放送していました(今なら密で無理ですけどね(苦笑))。コレはコレで、お客様(晤郎さんはリスナーと呼ばずにそう呼びましたっけ)の笑い声が放送を盛り上げる素材としても活かされていました。

通常、リスナーに”見せる”工夫といえばサテライトスタジオ。
昔あったTFMのスペイン坂スタジオや、FMPORTでもビルの1F吹き抜けに設けていたポートスクエア等がそう。今はグッと減りましたね。

自分が使った事がある中では…
Kiss-FM KOBEさんのマリスタ、OPAスタ(マリスタはガラス越しでしたが、ディレクターもお客さんに目の前で見られて緊張しましたっけ)…そして、滋賀県・大津市 e₋radioさんのスタジオ77(旧・大津パルコ前)(下写真)。

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神戸のマリスタと違って、こちらはスタジオ自体が別建物で一段高くしてあって、柵も間隔を空けて設置されていたので、スタッフも見られますが距離が有る分、気持ちはラクでした(笑)。当時(20年近く前)担当していた「お昼ねっとステーション」で祝日等、タマに拡大版として臨時で公開放送させてもらいました。卓は旧式で使いにくかったですけど(今はきっと更新されてるでしょう)広々してて、天井も高く、快適でしたね。
前で見るお客さんも、階段状になっているので見やすかったと思います(冬場は風がビュンビュン吹き抜けるから過酷だったでしょうけど)。

というふうに「ラジオスタジオ」とひと言で言っても、事情や用途によって、さまざまなスタイルが有ります。お喋りや雰囲気、ノイズを聞きながら想像してみるのも面白いですね。

作り手としては、同じスタジオでも…オペレーションしやすい、しにくいという違いがあったりします。コンソールやポン出しシステムも局によって違いますし、鉄壁の防音を施していると、ブースに入るドアが重かったり、ドアが2枚あったり、防音壁が分厚く、中のDJとの距離が遠くなったり…。
確かに、スタジオ生演奏等を考慮すると完璧な防音は大事ですが…個人的には、特に生放送だと…わざとノイズが有った方が好きです。

大昔…まだ大淀に社屋があったABCラジオさんの場合、道上さんの「おはパソ」を放送していたキースタジオ(実はラジオマスター室)や、キダ先生の「フレッシュ9時半」をやっていた2スタでは…折角完全防音のブースがあるのに、小ぶりなテーブルをサブ側に設置して、そこから放送していました。オンエアを聞いていても、スタッフの喋る声、笑い声、次のCM素材をスタンバイするオープンデッキのキュルキュル音等、色んなノイズが混じっていましたっけ。でも逆に、それが生の雰囲気を出していました。

今年になって、コロナ対策から…各地のラジオスタジオで、密閉を避ける為にサブとブースの間のドアを開放して放送しているようですが、特に問題は無いようです。そういえば…NACK5さんは、克也さんの「ファンフラ」では先のABC同様、サブ側から克也さんがスタッフ達と一緒に放送していますね。一緒に怒鳴ったり、電話着信の様子がリアルです。

radikoの普及からラジオ復権か…とも言われてはいますが、やっぱり経営厳しい業界である事は変わり有りません。逆手に取って、ワンマンスタイルとか、ラフな構造のスタジオでの放送というのも、恥ずかしく無い事なのでは?と”個人的”には思ってたりします。
いや、一般素人さんも、iPhoneとマイクだけで個人発信ラジオをやる時代ですから、予算掛けずにアイデア次第で面白い放送は、幾らでもヤレると思いますよ。

ちょっと筋がズレましたけど…とにかく、ラジオのスタジオは面白い。
SNSでスタジオの記念写真とかUPされた時は、拡大して…隅々まで観察すると、面白い発見があるかも?知れませんよ。
(マニアックですけどね)

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