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熊野古道の旅番外編〜生駒でトレーニング

いい季節になって参りまして。
昨年11月から始めてきた熊野古道の旅も、紀伊路をコンプリート。熊野本宮大社への路も残すは中辺路のみ。勿論、熊野に到達しても熊野三山とか回るべき土地は一杯有りますが、今回は参詣が第一ですから、良いんですw そもそも令和三年の六白金星の恵方が南南東で、そこに熊野本宮大社が有ったのが熊野古道徒歩完遂を目指すきっかけにもなったので。

最初、天満橋から南下スタートした時は普段着で始めました。しかし、トレッキングシューズを購入し、肩掛けバッグがリュックになり、補給食を用意するようになり。。。いつの間にか、トレッキングが趣味になりつつ有ります。

二日三日続いた脚の筋肉痛も翌日には解消するようになりましたよ。

そうなってくると、アップダウンの激しい中辺路の山道に挑む前に、足腰を強化したい!と思うのは必然(笑)。身近にある山をリサーチするようになりました。となると、大阪市内から遠くを眺めた時、一番間近に見えるのが生駒山地です。年明け、東大寺にお参りに行った時、唸るように近鉄電車が上がった石切の坂。アレを徒歩で上がって越えたら良い練習になる筈だと思い、先日の週末、行ってきました。

で、思い出したのがチャリ族お馴染みの激坂「暗峠(くらがりとうげ)」。国道で有りながら狭い道幅とエグい斜度の、所謂「酷道」と呼ばれる、知る人ぞ知る名所であります。

▪️暗峠チャレンジ

 2021/2/27(土)
朝9時半に自宅を出発、大阪メトロ中央線(近鉄けいはんな線)で新石切駅下車。駅売店でチョコ等を購入して午前10:30スタートしました。府道の一つ東側を通る「東高野街道」の細い道を南下、枚岡西小学校の先を左折すると暗峠奈良街道です。
もう既に目の前には生駒の山並みが迫り、結構な坂道が待ち構えます。例によって電車の中で着ていた上着は脱ぎ、シャツを腕まくり、手にしたタオルハンカチで汗を拭きながら登坂です。
元々、暗峠は国道308号線とされていますが、この辺は一つ南側の道に番号が充てられています。近鉄奈良線を渡り、枚岡公園への道標の辻を反対側へ右折、坂の住宅街を突き当たったところで国道に合流します。そして東へ左折。いきなりとドーン!

右側の建物とコンクリート路面の角度、見えます?分度器持ってくれば良かったってホンマに思いましたよ(笑)。時折唸るように自動車が後ろから上がってきて脇に避けます。週末の昼前ですから、目的があって通るというより、恐らく激坂に挑む人たちでしょう。今は殆どATだからマシですが、MT車では上がりたくない坂です。一度止まっても坂道発信出来る気がしません!
歩きながら既に息切れ。ゾッとします。視線の先に森の緑が迫って来た所で右手に茶屋が現れます。

振り返ると素晴らしい景色。大阪の街が一望出来ます。近鉄の車窓よりもっと高いので気持ち良い。茶屋の反対側には、枚岡公園から続いて来たであろう遊歩道が有って、健康遊具やベンチも置かれています。その公園のトイレで用を足し、本格的な激坂チャレンジです。

長持石とか芭蕉の歌碑を横目にしながら、ひたすらコンクリ舗装の道を上がります。
普通、山を上る峠道といえば、ウネウネ斜面を這い上がる、いわゆる「つづれおり」が多いですが、昔の何処のアホが作ったのか?この暗峠(大阪側)は真っ直ぐw ひたすら目の前を壁のような激坂が立ちはだかります。

一応右手には美しい渓谷を見下ろせはしますが、何せ路面がコンクリ舗装なので、風情は半減。時折通るクルマを避け、時折すれ違うトレッキングの皆さんと挨拶しながら黙々と登坂。
左への90度カーブの先で道幅が広がりますが、斜度はきついまんま。
そして、歩くのがウンザリしてきた所で出てくるのが、チャリダーの名所、最高斜度のS字!


チャリダーなら真ん中の写真は見た事有るアングルだと思います。一説には41%とか。この時も奈良側から越えてきた二人が自転車を止めて記念撮影していました。勿論カーブの外側を通れば幾分緩いですが、最内を上がれたらキングでしょうね。二人も「無理無理」と笑ってチャリを置いて写真だけ撮ってました。
カーブの内側にタイヤ痕が多数有るので、アホドライバーも敢えてインを攻める奴が少なくないんでしょうね。おっちゃんはしんどいから、外側を歩いて登りましたw
因みに暗峠には各所に「不法投棄禁止」の看板が有りますが、このS字の先、左手には朽ちたクルマ一台が不法投棄してました。

この先、激坂にヘロヘロになった頃に右手に見えて来るのが弘法の水。

結構な量の湧き水が出ていますが「飲料禁止」の看板が有って残念。しばしベンチに座って休憩しました。
この先、暫くは斜度が緩みます。
不思議なことに、登り坂なのに、そこまでがエグいだけに下りと錯覚してしまいましたよ。
もう1箇所の急坂を越えたら、風景が開けて、山の上なのに里山風景が広がります。そして左手から広めの道が合流、その道は右側へ続きます。ココが生駒の縦走路だそう。
集落の細い道を抜けたら峠の最高地点。

小さな小屋が風情有ります。ここから先、石畳が敷かれた区間で、なんでも全国の国道唯一の石畳だとか。後ろから来るクルマがガタゴトさせて通過するのも大変そうでした。
ココからは下り傾斜になりまして、大阪・奈良の県境に石碑も有ります。

石碑の前には峠の茶屋。多くのバイカー、ハイカー、サイクリストが一休みしていました。
時計を見ると、午前11:45。お昼前で混雑してたのでランチはスルーして、そのまま奈良側へ下る事にしました。
茶屋の前には呼び込みのお婆ちゃんが居て、どんどん声を掛けて来ますから、油断すると茶屋に吸い込まれますよw

しかし、気が遠くなるような激坂だったので数時間経った気でいましたが、1時間しか掛からなかったのにビックリです。
暗峠の奈良側は、大阪に比べると幾分緩やかですし、クルマが通りやすいように広く整備された区間も多いです。谷も広く、畑や棚田を眺めながらの快適ハイキングが出来ます。

ふと、コケコケ聞こえてきました。養鶏場です。入り口には卵も販売していて、説明書きによると平飼いだそう。

クルマで来るなら是非お土産に。ただし、奈良側から大阪側へ抜ける時は、例の石畳ガタガタで卵を割らないようにご注意を。

山の森を抜ける区間は広いですが、集落を通る部分はグッと狭くなります。でも奈良側の里山風景も望めて気持ち良いです。
溜池を通過すると麓の町中へ。生駒南小学校脇の一方通行区間を抜けたら、国道168号線との交差点、ココで峠越えゴールとしました。

振り返ると、今越えてきた山と、生駒山上のテレビアンテナがよく見えます。お昼12:40。

トータル2時間ちょっと。少し物足りなく思ったので、直ぐに帰路につかず、もう少し足を伸ばす事にしました。

南生駒駅から近鉄で王寺に出てJRに乗り換えひと駅、法隆寺へ。
途中、JR乗り継ぎの合間に王寺の駅前でランチを済ませました。

関東の皆さんだと修学旅行が京都・奈良なので、法隆寺を訪ねた方も多いでしょうが、逆に関西からはあまり行く機会は無いのでは?
東大寺や興福寺、春日大社は近鉄、JR一本で行けるし駅からも近いですが、法隆寺は駅から1.5キロ程離れてますしね。

今回初めて訪ねましたが、聖徳太子の時代のお寺だけに、一つ一つの建物、仏像が歴史と趣き有って感動します。緩い膨らみを持つ回廊の柱は自然に手で触れてしまいましたね。

どう風景を切り取っても絵葉書みたいw

入館料1500円は割高ですが、お寺全部が博物館、美術館みたいで、気持ち的には元が取れました。

暗峠8キロ、法隆寺4キロ、合計12キロ。
あんまりトレーニングにはならなかったですかね。という事で、翌週は、生駒縦走を試みました。

▪️生駒縦走チャレンジ

 2021/3/7(日)
確かに前の週、暗峠の手前、縦走路との交差地点でも結構な人数のハイカーの皆さんが雑談してはったんです。僅か8キロの暗峠横断で満足してられませんわ。今度は縦断せねば!と、ネットで調べたら、本気で南北貫いたら20キロ以上あるんですね、生駒山地。
そうなると、早朝から気合い入れて挑まないと無理そうです。一応、中辺路の為の練習だし、初めての道だから、途中の石切から上がって、信貴山の手前、高安山からケーブルカーで下るルートを行く事にしました。

午前9時に自宅を出発、一週前同様、新石切駅で下車しました。午前9:50スタート。
まずは「でんぼの神さん」石切神社にお参り。受験シーズンだからか?お百度大混雑でしたから写真は遠慮しました。
暗峠もそうでしたが、近鉄の線路より下も結構な急坂。神社と駅を結ぶ参道沿いの商店街をゼエゼエ言いながら上がります。

石切大仏。。。一応手を合わせました。

近鉄のガード手前にでっかい道標が。
ガードをくぐって真っ直ぐ辻子谷ルートへ向かいます。こっちの登り道も暗峠同様、真っ直ぐ上がります。ホンマにこの辺の昔の人は傾斜を緩めようって気が無かったんかいな。そんな事を思いながらゼエゼエ上がります。

まぁ、だからこそ眺めは良いですけど。

熊野古道紀伊路、海南の藤白坂同様、坂の途中に沢山のお地蔵様が数十mおきに置かれています。一つ一つ手を合わせながら上がります。
集落を抜けて森の中に入っても斜面にへばりつくようにお地蔵様がいらっしゃいましたね。
暫くは谷の右手を上がりますが、橋を渡った先は左手斜面を階段メインで上がります。

真っ直ぐの長い石段を上がった所が興法寺。
ココで数人のハイカーが休憩していました。
午前10:50。
自分的にはまだ行けそうだったので、挨拶して追い越し、さらに階段道を上がります。
地道の急坂を抜けた先で広い道に出ます。
登山道は広い道を横切り、さらに上へ。
シニアのグループの皆さんと前後しながら上がった先に、眺めが良い広場が!午前11:10。

ココで最初の小休止。やっぱり暗峠のように舗装路は歩きやすくは有りますが、地道をヨイショヨイショと上がる方が気分的には楽しいですよね。路面の変化が無いと飽きますわ。
さらに上へ行くと、シニア一団に追いついた所で再び広い道。本来は先程のように横断して上る道が有りますが、通行止。ガイドマップによると土砂崩れの為だとか。
仕方無く右折し広い道をウネウネ歩きます。
つづら折れの手前に道標が有り、いよいよ縦走路へ向かう急坂の細い道へ。空が広がり平坦になったら正に尾根道。細かくアップダウンを繰り返します。

今まで紀伊路を南下してた時はトレッキングポールは不要だと思ってました。両手にポールを持つと、邪魔になると思ってたんですが、こう上下が続くと逆に怖い。特に下りは膝への負担を大いに感じました。
よく見る階段状にした区間、歩きやすいようにかと思っていましたが、コレ、砂防の意味合いの方が大きいんですね。歩いて行くには段差がきつい。自然に階段の脇ルートを取るようになりました。
数日前の雨が祟ったのか?足元ジュルジュルの区間も多かったです。途中、生駒信貴スカイラインを横切り展望台で小休止。ハイカーご夫婦と挨拶。お互い良い汗をかいて笑顔です。クルマで上がって来た人たちとは明らかに表情が違いますね。自分もハマって来たらしいw
展望台の先、下りの尾根道。下から上がる人も濡れた悪路を嘆いていました。まだまだジュルい道が続くようです。
ジュル道と悪戦苦闘しながら南下、ふと気付くと家の屋根が見えてきました。

下り切ったら、見覚えある石畳。一週前に通過した暗峠の石碑でした。お昼12:15。
先週スルーした峠の茶屋でランチを取る事にします。

茶屋の奥が透明トタンの屋根を掛けたテラスになっていて、ポカポカ日の当たる中、カレーうどん。温かいお茶にホッとします。


ランチとトイレを済ませて、12:40縦走再開。石碑の辻から小道を登ります。
多くの縦走ハイカーと行き交います。信貴山側から北上する人たちもお昼頃に暗峠を通過するんですね。
坂を上がり切った所が森の中の広場になっていて、広場の脇を抜ける形で南下ルートが続きます。分かりにくいので迷子にならないように道標をしっかり確認。
進む左手には奈良、右手には大阪の風景をチラ見しながら尾根を辿ります。

数カ所に、山の中に奇妙なキノコを発見w
中を覗いても何も無いので、もしかすると雨宿り小屋なのかも?
尾根伝いだから楽かな?と思ったら、結構アップダウンはきついです。小刻みに足腰をいじめます。

鳴川峠のそばには、塹壕みたいな切り通しが。
所々、左手に生駒信貴スカイラインの自動車道(徒歩禁止)が見え隠れしますが、途中でスカイラインを渡る橋。

この山の中に歩道橋掛けるなら、なんで展望台の所は車道を渡らせるんだ??
そんな疑問を持ちつつ、ココからはスカイラインが歩く右側に見ながらになります。

車道はほぼ平坦ですが、歩道は山肌を忠実に辿り細かく上下します。車道に並び平坦路を歩き、丘を越え、再び車道横に出るので無駄な気もしますが、コレが本来の人の道。これが私の生きる道(笑)。パフィー気分。

そんな車道の脇に十三峠のお地蔵様が。
いよいよクライマックスですねー。
暫く車道と離合を繰り返しながら南下すると、このスカイラインを潜り、大阪側に出て坂を上がったところにガードレールが見えます。

ガードレールの隙間を通って振り返って撮った一枚、判りませんw 高安山側から北上する人は気付きにくいんじゃ無いかな?
広い砂利道を進み、謎の宗教法人施設の前の坂を上がったら右折。切り通しを抜けて暫く行くと、気象レーダーの建物が見えて来ます。
気象台の皆さん毎日有難うと心で思いながら(笑)レーダーの裏に回ると大阪平野の景色をチラ見しながら坂を下ります。開運橋という有難い名前の小橋を渡って数分、ケーブルカーの高安山駅にとうちゃこ。午後2:50。

前半、石切〜暗峠が2時間半、
後半、暗峠〜高安山が2時間10分。
計4時間50分でした。

今回から登山アプリを活用するようになりましたよ。完璧ハマってますね(笑)。
しかし、14キロしか無かったとは。もっと長い距離を歩いた気になってました。

鉄オタ的には久しぶりのケーブルカーに乗れたり、山本からの準急がレトロ塗装だったのがご褒美になりました。

それはそうと、中辺路最初で最大の壁、滝尻王子の先の登りが400m程みたいで、今回の登りが600mだから、ちょっとはシミュレーション出来たのかな?とも思ったり。いや、油断大敵。。。心して臨まねば。合掌。

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