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【14歳 10月のアオハル】

中3の夏は過ぎ、秋めいてきた頃の話、受験に向けて親が煩いので夏休み前から通い始めた塾。
中3ともなると、終わる時間は10時くらい。
さすがに、今この歳の10時の感覚よりも冒険心を刺激する時間帯。

塾が始める時間前、隣町の学校のヤツと話してるときに、別クラスに通ってるOTK君がやってきて、「今日、買いたいからよろしく!」と言ってきた。
親指を立てて了解の合図を送った。
すぐさま、コッチの教室を出て自分の教室に走る足は軽やかだった。
2コマの授業が終わると、隣に間借りしてるビルから自転車を出し、決められた駐車場そばで、OTK君を待ってるとKN君がいた、土曜の夜に勉強と称してオールナイトフジをKN君のトコで見てるメンバーだ。
「OTK、英語で残されてたな・・・ チョット待つかもな・・・」
KN君の言うとおり、残されてたOTK君は30分を少し遅れたくらいにきた・・・
「おせーよ。で、どこで買うんだ?」
咥えてた煙草を捨てて、当たり前のように後ろに乗ってきたOTK君に聞いて、隣駅の商店街に向かった。
今思い出すと、ガラの悪い中坊に見えたんだろうな・・

11時に近い各駅停車しか停まらない駅の商店街は、街灯の明かりだけだが、電車が止まったタイミングに人は家路に向かって歩いてた。
商店街に沿った形でお寺の本堂があって、その裏手に墓があった。
当たり前のように本堂横の玉砂利に自転車を停めて、寺の入り口にいるOTK君と合流。ここまでは慣れたもん。
寺の入り口から斜向かいに商店街の枝道が一方通行である。
その枝道に、目的のモノがあった。
今回の隊長を務めるOTK君に役割の割り振りを聞く・・・
商店街の人流れ担当のKN君
枝道の流れ担当の僕
決められた配置につくと、早速KN君から危険の合図・・
僕は、枝道の奥に目をこらす
何度かのKN君からの危険合図をやり流すと、終電が通ったのを悟ったようにOTK君は、目的のモノにお金をコメ始めた。僕の背後からする百円玉を投下する音・・・
が、いきなりOTK君が走ってくる音。僕が潜む八百屋の段ボール置き場に行きも絶え絶えに飛び込んでくるOTK君
暫くすると、酔っぱらいの声と、ビーーーー ガシャン!という、音が商店街の一部にこだました。
え?? と、後ろ向きで驚いていると・・・
「なんか、酔っ払いに買われた・・・」
と、OTK君が落胆してると、KN君走ってきてチョット笑ってる。
必死に入れてたお金を人を避けるあまり、横から持って行かれた・・  内心大爆笑。
買うに買えなくなったOTK君は、気落ちしたまま帰って行った。
今なら普通に堂々と買えるのに・・・  いつから、こんな無垢の心を無くしたんだろう?