ドーナツの演劇?
えぇ、興味はあったんですよ?最初から。
だって演出も音楽もよく知っている方ですし。でもドーナツって何?って怪訝に思い、観るか迷っていたんですね。まぁ結局のところ観たんですけど。
配信視聴なので“受け取るもの”というのが難しくて、あと、綺麗なお話だから“わー良かった”で終わる感じなので言語化はしにくいんですけど、それを昇華するために少し書いてみようかと。
まず、全体的にポップで可愛らしいという点について。これは立石さん演じる「円」のキャラクターと振る舞いとがそう感じさせているけれど、悲劇を背負っていても光が降り注いでる感が強いなと。善い人間でいたいというものではなく性根から善い人。それがクルクル変わる少し大袈裟な表情から伝わって、陰に生きる者としては眩しかった。でも、彼自身も少し暗い過去があるがそれを受け止め、抱きしめ、一緒に前を向いて立っているんだな。その強さが周囲を巻き込んで好転させてしまうのだなと。立石さんらしい。深く追っているわけではないのでにわかの印象だが、天然だけど芯が硬く頑固そうと思っているので、そのフィルターを通してもより感じた。あとはお歌が上手い。もう周知の事実ではあるけど、ほんとにお上手。これは300のキャパで聞いてみたいわ。
そして、福澤さん演じる「良」は身体の使い方が細かくて、ダンスはもちろんなんだけど、ドーナツを作るというか働いているというのがリアルで違和感がなかった。私は演劇ドラフトグランプリとかでしかお見かけしていないから、ダンスがうまくてなんか独特の雰囲気をお持ちだな位の印象しかなかった。でもその雰囲気は職人気質で自分に期待をしていなくて、でも足掻くという今回のキャラクターに合っているのだなと分らされた。後述するだろうけど、シリアスなところ好きでした。
さぁ、荒牧さん演じる「マキア」は悪魔でしたね。それは悪戯の範疇ではないし、そこで遊ぶのは悪魔でしかないよね。
荒牧さんはエーステで沢山拝見させていただいてて、毎度感動をしていたんだけど、ずっと何かしらの違和感が付き纏っているんだよね。その違和感が今でもわからないし、今回もなんとなく感じる。キャラクターがそこにいるのに、いなくて、荒牧さんがいて、本来の彼が不透明で。(自分でも何言ってるかわからないんだけど、何層かに見えるんだ。もうこの現象誰か教えてください。)
さあ、話を戻してマキアはちょっかいをかけてみたり、遊びに来てみたり、“現実”突きつけ揺さぶってみたり。でもそれは悪魔そのものでとても楽しんでいたのだろう。セリフのトーンだとか、語尾の調子だとかでとてもわかる“それ”が良かったと思う。申し訳ないのが、がなりが入るセリフに他のキャラがよぎってしまったこと。集中していなくて申し訳なかったと思う。
好きなシーンは、瀕死な人物が良ではなく円ということを告げられてからのシリアスな場面。そこの良の表情も良かったんだけど、シリアスが悲愴で内臓が冷える感じから、でも何か光がありそうなあの塩梅が好きだった。そして、これは史也さんの力なんだろうなと。絶望ではなくて、その下がった目線を前に戻せるような?望み?がある感じがいい。その緩急がお上手なんでしょうね、いつもこちらは振り回されていますので。まぁそれが癖になるんですけど。
そして、お歌。いやー、耳に残ってしょうがない。配信リアタイしただけで「I'm donut I'm donut I'm donut…」確か公式さんが動画載せてくれていたはずなので、当分私の中のバックミュージックとなることでしょう。やっぱり現地で見たかったかもしれない。音というと、一つ懺悔したいのが、秒針。「カチッカチッ…」という音を聞くとどうしても流れる、「テテレテレン…」(これは伝わるのか、一応冬)もう本当に集中していなかったのだろう。それか、脊髄反射ということにしておこう。
そんなこんなで書いてみたが、浅いな、とても。アーカイブを繰り返し見ろということかな。そして、次遠征した時にドーナツ食べてみたいな、とても並んでいるとの噂だけれど。
ドーナツって何?って感じだったけど、そのドーナツ食べたいと単純に思ったので、まんまとということでしょうか。TLで「ドナミュいい」というお声を見ていたので、ちゃんと観れてよかったです。幸せで可愛らしく、美味しそうな舞台でした。