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物語構成読み解き物語・12

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ほか「闇の奥」系列の作品としては「パルプ・フィクション」がある。

読み解き同志の焼売さんも言っていたが、最近のタランティーノは「指環」にこだわりすぎて品質下がっている感じがあるが、「パルプ」のころは非常に良い。映画史上の最高傑作はおそらく「ゴッドファーザー」だが、「パルプ」はそのすぐ下くらいに来る作品である。しかし、内容の解説はろくにない。我々以外で「ニーベルングの指環」の影響を指摘する声も聞いたことがない。「ジャンゴ」や「ワンス」などを見れば、「指環」の影響は一目瞭然なのに、である。

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「ジャンゴ 繋がれざる者」のヒロインは「ブルームヒルダ」、つまりブリュンヒルデである。「ドイツでは誰でも知っている名前だ」と劇中言われる。

1-全画面キャプチャ 20200316 201828

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」でデカプリオは片目に眼帯はめて火炎放射器を炸裂させる。「ニーベルングの指環」の主神ヴォータンである。この作品の読み解きは不十分で気に入らなかったので現在おろしているが、該当箇所のみ転載する。

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主神ヴォータン:デカプリオ(ダルトン)。面倒なのでデカプリオとブラピは俳優名でゆきます。映画開始時点では落ち目です。

英雄ジークフリート:ポランスキー。今の映画界のヒーローです。

ブリュンヒルデ:テート。女性ですが戦闘シーンがあります。「指環」の主役です。

巨人族ファフナー:ブラピ。巨人族はお城を建設します。その後大蛇になります。ブラピはアンテナを補修します。その後足を刺されます。

大地の女神エルダ:チャーリー。エルダは知恵の女神です。普段は眠っています。

ニーベルング族アルベリヒ:マンソン。復讐キャラです。

フライア:プッシー。フライアは薬の生産役です。プッシーはLSD入りタバコを生産します

ここまで証拠があると、「パルプ・フィクション」の下敷きに「ニーベルングの指環」があると納得していただきやすくなるかと思う。

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だからジュールズが回収したカバンには「ニーベルングの指環」が入っており、だから黄金に輝く。

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そして回心したジュールズはおそらくその指環をトイレの水に流してしまい、指環は下水道の川底に戻り、よってマーセルスは金運を喪失して八百長ボクシングに失敗、という流れが類推される。

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そんな指環はもういいじゃないか、赤痢の直腸に保管されていた金時計のほうが、下水の黄金よりも重要じゃないかという、ポジティブにしてお下劣な作者のメッセージが読み取れる。

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そして

オーソン・ウェルズ:「闇の奥」の映画化できずに市民ケーンを撮影した
コッポラ:資材を投じて「闇の奥」を下敷きにした「地獄の黙示録」を製作
タランティーノ:「パルプ」は「ニーベルングの指環」および「闇の奥」を下敷きにしている、

ということから、ハリウッド映画とはなんだったのか、アメリカ文化とはなんだったのかという問いに対する現時点での答えがあるだろう。植民地で虐殺と資産蓄積に勤しむクルツこそは、アメリカ人から見たアメリカ人なのである。パワーを持てば持つほど醜悪になり、自己肯定から遠ざかる。



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