野蛮と思想 ・2
前回はこちら。
インドと日本の比較から野蛮と思想の関係を考察しはじめたが、やっていることは国民性、民族性の考察といえなくもない。
民族性という観点では、家畜を観るのが一番だと思っている。人間同士は比較しずらい。相手も自分と同じサイズの脳みそを持っているからである。わかったつもりでもわからない。動物相手なら、多分私のほうが少々頭がよい。よって客観的に比較できる。
シェパード(ドイツ)
ドイツ犬といえばドーベルマンとシェパードである。
敵に回すと恐い。「訓練を好む性格」らしい。味方にしても恐い気がする。シェパードを訓練するには、かなり加虐的にしつけるらしい。
プードル(フランス)
元来狩猟犬である。大変頭がよく、見栄えも良い。
がしかし、人間が切ってあげないと巻毛が延びすぎて、排泄物が
毛に付着しつづけてえらいことになる。
表面的な見栄えがすこぶる良く、かつ下のほうの具合がすこぶる良くない。これを「ヴェルサイユ症候群」と呼びたい。
グレイハウンド(イギリス)
もとはサルーキという中近東の狩猟犬である。しかしサルーキは本物の猟犬なので、ダミーの獲物を追いかけてくれない。それではドッグレースが成立しない。だからグレイハウンドが必要だった。逆にいえばダミーに興奮できる犬種である。彼らにとってのダミーの獲物が、イギリス人にとっての思想とも思えるし、マネーとも思える。
チャウチャウ(中国)
食用犬である。
というわけで、生活の必要に結びついているだけあって、犬が民族性を顕著に反映していることがお分かりいただけたと思う。では日本はどうか。
忠犬ハチ公
忠犬ということになっているが、その忠心は疑わしい。なぜなら最後の飼い主小林氏に忠臣だったわけではないのである。小林宅で餌を食べて、家をほったらかして渋谷駅に遊びにゆく。小林氏視点で見れば恩知らず犬ハチ公である。最初の上野先生宅では、仲間の犬と一緒に上野先生を渋谷駅に迎えに行っていた。その仲間との楽しい時間が忘れられずに渋谷駅に通っていただけのような気もする。
甲斐犬
山梨県の天然記念物である。「一代一主の犬」と呼ばれる。つまり飼い主が変わると忠誠心を持たない。頭は良い。訓練するとシェパードの倍の速度で学習できる。そこで旧軍が軍用犬として利用しようと集めたが、主人恋しさに抜け穴掘って集団脱走してしまった、という話が伝わっている。
今そのサイトをみつけられないのだが、昔読んだネット記事、うろ覚えだが紹介する。
「山梨の地方議員が甲斐犬を飼っていた。普段から餌をやって可愛がっていた。よくなついていた。ところが議員が急死した。葬式が終わると、普段絶対に家の中に入ってこなかったその犬が、何故か座敷に上がってきて真ん中に座って、亡き主人の遺影を見上げていた。あまりのことに遺族は呆然と立ちつくした。犬を外に運び出しても、いつの間にか座敷に戻ってきてやっぱり主人の遺影を見上げている。
その日から一切飲食をしなくなった。獣医が栄養注射してあげたが、看病むなしくやがて衰弱死した」
ここらへんから、日本という国の原理がだいたい抽出できる。原理はただ一項、「好き嫌い」のみである。思想はない。信仰もない。原理もない。感覚的な好き嫌い一本勝負である。
近所の柴犬
私の近所に柴犬が飼われている。普通の柴犬より人相というか、犬相がわるい。精神的に不安定なのだろう。通りかかると吠えてくる。危険な吠え方である。恐い。
その上、吠え方が下手である。特にテンションが上がりすぎると下手になる。興奮のあまり遠吠えしかできなくなる。プチ狼である。
狼は遠吠えしかできない。ワンワンとは犬の特技である。ワンワンは文明犬の特権なのである。和犬は原始的だから、なにかあると文明かなぐりすてて狼に帰ってしまう。
だいたい、犬を調教する人にとっては、和犬はやっかいなしろものらしい。普段は大人しいのだが、あまり言うことを聞いてくれない。頭は良いのに、根源的に従順ではない。しかし情は深い。ツンデレ犬と表現する人も居る。マタギなんかでも最近は和犬を使わない。なぜって、どうしても人を噛むから。噛みぐせの完全除去ができない犬種なのである。では荒っぽいか。荒っぽくない。普段は大人しい。物静かである。でもいくら訓練しても、野生の部分が除去できない。前回ご紹介したCMからにじみ出る殺傷本能と、和犬の噛みぐせは、文化的に共通のものである。
ハスキー(シベリヤ)
ハスキー(シベリヤ)
遠吠えしか出来ない犬の代表は、シベリアンハスキーである。犬相は凶悪だが、番犬としては使い物にならない。噛みぐせについては知識がない。しかし和犬よりもさらに原始的ではある。ということはつまり、
ハスキー>和犬>西洋犬
の順で原始的で、ということはつまり、
シベリヤ人>日本人>西洋人
の順で原始的と考えてよいかと思う。DNAの問題ではなく、文化の問題として。
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