「ムース」という曲
written by 赤須翔
これは母親の想いを書いてみた曲。具体的な場面もキーワードも出てこない、想いだけの曲。
だから曲だけ聴くと何について歌っているのかイマイチ分からないかもしれない。でもそれはそれで良し。
様々な母親の形がある。
その中で僕も一応、人間の子なので母親がいて、息子の目線から見たり、周りの母親を見てこんな感じかなぁ。と勝手な妄想。
そして最終的になんでか母親の娘への気持ちのイメージになった。
心ってとても大事なものだけど、ちょっとした事で曇ったり、形が変わったり、離れたり、グレたり。
日常にその辺にあるシンプルなものなんだけど、いざ言葉にしようとするとなかなか簡単に言い表せない。
子供は変化が速く、色々なものに影響され、心もどんどん変わっていく。
でもその様子を見守る親の心はずっと変わらないもので、ちょっとした事や、ふとした瞬間をずっと覚えているものなんじゃないかなぁ。
そんな心模様をフワフワして柔らかくて甘いムースにリンクさせて作曲した。これまたムースなんて言葉は出てこないんだけど。
この曲には作るきっかけがあった。
小さい子供がいる家族写真を撮影している「バンビーノ アッカ」というフォトスタジオからのテーマソングの依頼。
好きな曲なので、個人的にもライブで歌っていた。サビの転調と戻り方がなかなかうまく行った。
少し時間が経って、娘を持つ大江友海に出会い、彼女が歌うことによって、やっとピースがはまった。という感じ。
よってアルバムの中でこの一曲だけ彼女一人に歌ってもらっている。
不思議とアルバムの他の曲も大江に歌ってもらうことによって、完成した。という感覚がある。
僕は長野県の田舎で生まれ育ち、大学に進学のため、上京し、そのまま都会暮らしで十数年も経つ。
長野を離れ生きていくことになる僕を最後に立川まで車で送り届けて、一人で長野に帰っていく母はさみしかったろうなと思う。あの瞬間の場面や気持ちはずっと覚えている。
あの時から僕はたくさん変わったし、大人になった。でも母の中ではいつまでたってもいつかのまま子供なんだろうな。
この曲の母親のイメージは合ってるのか分からないし、誰が共感してくれるのかも分からないけど、もしかしたら僕の母は分かってくれるかもしれない。
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