残照に父を想ふ
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三合の 酒にて酔えば 歌いたる
父のオハコは「恋せよ乙女」
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樫の木の 切られて空ける 木の間より
露天風呂へと 射しこむ夕陽
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湯の町に 夕焼け小焼けの歌ながれ
信濃路の宿 しずかに暮れる
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恵那谷の 小さき宿の 湯に浸(ひた)り
見上げれば オリオン山に迫れり
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(短歌に託した姉の思いを想像する)
多感な時期に父を亡くし、いつのまにか母となり、孫を持つ身となった姉だが、数十年の時を隔てても、父への想いが薄れることはなかったんだろうな。寧ろ、年々、懐旧の情が深まってゆくようだ。
父との旅の想い出が、残照に投影された影絵となって夕空に描かれている。
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