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つばめ号~父との旅

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土塀の 崩れるままに荒れし寺
     空に東塔 凛と聳えし
                         (昭和35年春薬師寺)
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「安土(やすつち)」と呟く吾に
   「あづちだよ」教えし父との 
             旅 偲ぶ春
                    (昭和35年春 最後の旅)
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亡き父の 好みし花は むらさきの
      アメリカダリヤ 盛り咲く庭
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亡き父の 法要終えし木曽谷に
      架かりし虹は 心に映りし
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初孫を 賜いて父を偲び居り
     卯月の空の鯉のぼりのこと
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(短歌に託した姉の思いを想像する)
父が亡くなったのは、姉が12歳のときだ。ちょうど、多感な時期に差し掛かろうとする頃。そんな頃の父との旅を姉は鮮明に覚えていたんだな。折に触れ、そんな話をしてくれた。

父の生まれ故郷である木曽は家族旅行で何度も訪れたという。どうやら父の望郷の旅だったようだが、一番の父親っ子だった姉ゆえ、父のそんな思いを感じ取っていたのかな。

今は親戚付き合いもなくなった木曽の地だ。

私には、何処かで川が流れていたという記憶はあるのだが、そこが木曽だったのかすら定かではない。

その父が木曽の地で眠っている。


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