黄昏の燭台-たそがれのキャンドルスタンド-
人間界と非日常の世界を行き来する 便利屋の昔話
あぁ、降ってきたか。
便利屋が白い息を吐きながら、空を見上げた。
この季節はとてつもなく嫌いだ。早くあっちの世界に逃げるとするか。
鮮明に思い出が蘇ってくる前に、彼は記憶にきつく蓋をして
足早にその場所を後にした。
ポケットの中には冷たくなった思い出の品が入っていて
無意識にそれを握る手に力が入る。
暖かいろうそく屋はもうすぐそこだ。
Ⅰ今日もまた、ろうそく屋の作業場はとてつもなく荒れていた。
人間界が冬になると、ど