【短編小説】5.かがみの、とびら【その角を通り越して。】
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それからしばらく経ったある夜。
今日は満月のようで、いつもより明るい夜だった。
僕は古い本棚を整理しながら、
おばあちゃんが残した本や書き物を読み返していた。
何か変わったことは書かれていないかと
本の隅々まで読み込み、ゆっくりとページをめくる。
あの日。
扉が見えたあの瞬間、夢を見ただけかもしれない。
でも僕は昔、おばあちゃんから言われた言葉をしっかりと覚えている。
暖かいろうそくの灯りに包まれたこの部屋で。
僕はページをめくるのを止めて鏡を見た。
何か