こちらの世界の月【短編小説】
ドワーフの日記より抜粋
今夜の月がどんな月か、また見に行かねばなるまい。
見事な月に美しいと言わなければ
二度とその色合いを見ることはできないのだから…
Ⅰ人間界から来たものが夜空を見上げて初めに驚くことは
月が「2つ」浮かんでいることだ。
たいていの人間が、頭がおかしくなったのかと
自分を疑い、頭を抱えるのを見て
いつもこれが普通なのだと説明をしても、にわかには信じがたいという。
あの便利屋が初めてこちらの世界に来た時もそうだった。
当時は人間界で面倒が起きていて