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「他人の人生を物語として消費する」のが苦手。

僕が、テレビに対して苦手意識があるの、「他人の人生を物語として消費する」感じが強いからだ。

必ずしもテレビに限らないんだけどね。でも「TVタレント」という職業自体が、「自分の人生を物語として売る」ものだと感じる。

昔はテレビに出ている人でも、俳優、ミュージシャン、お笑い芸人、モデル、などなど、ちゃんとジャンルが分かれていたように思う。でも今ではごくごく一部の人を除いて、ほぼ全員が「タレントであること」を求められているように思う。

俳優が売っているのは演技だし、ミュージシャンが売っているのは音楽だから、かつてはそこまで人間性を求められはしなかったように思う。でも、「タレント」が売っているのは、人生であり人間性だから、プライベートと仕事の区別などなくなる。

他人の人生を物語として消費したい人は、その場その場で「ほっこりしたい」とか「感動したい」とかいう気持ちを勝手に他人の人生に期待しているだけだから、時間が経てばすぐに忘れてしまう。その人のその後の人生までは、気にしたりしない。

「消費する」っていうのはそういうことだ。テレビで大々的に取り上げられた、印象の強い部分だけがわずかに記憶に残り、その前後の文脈は無視されてしまう。本人にとっては過去も未来もすべてが、代わりのない人生だというのに。

「タレント」というのが人生を売るものであるということ、テレビの文脈ではそれがあらゆる有名人に自動的に求められてしまっていることに、もう少し自覚的になったほうがいいように思う。

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