相続税が増税される?予想される相続税の増税対象や税率など今後の影響を考える


少子化担当相が相続税の増税に言及

2020年8月、衛藤担当相が少子化対策に対する財源として「相続税の増税」に言及しニュースになりました。


まだ増税が決まっているわけではありませんが、日本における少子化対策は緊急度が増しており、また消費税増税をしたばかりということもあり相続税に対しての増税はかなり現実味のある選択肢となってきました。

これまでの相続税増税の歴史

相続税はこれまでも何度か増税をされてきた歴史があります。

元々は戦争の戦費調達のため?

相続税(旧相続税)は日露戦争の戦費調達のために導入されたということです。日露戦争は高橋是清が戦費調達に奔走したことで有名ですが、膨大なお金が必要だったため旧相続税は1905年に導入され、第二次世界大戦後の1949年まで続くことになります。現行の相続税は1951年に財閥等への富の集中を防ぐため、最高税率を累進課税で高くすることへの要請を受けて税制改革、改正が成されました。その後何度か改正をされることになります。

平成20年の相続税に関する税制改正

2008年には「事業承継税制」と呼ばれる改正がされます。非上場株式等の相続税の納税猶予の特例や非上場株式等の贈与税の納税猶予に関する内容となっており、そこまで多くの人に関わるものではなかった改正です。

※参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4148.htm

平成27年の相続税に関する税制改革

一般的に、大きな相続税の改正となり影響が大きかったのがこの2015年1月移行の税制改正です。最高税率が55%と諸外国でも高い水準に引き上げられたほか、基礎控除額も40%減って「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」となり、相続税を支払う対象者が一気に増え大きな影響を与えました。この改正により相続税の納税が必要な人は約2倍になり、おおよそ10人に1人は納税が必要になったと言われています。

相続税増税の展望

日本は少子高齢化社会が加速しており、人工ピラミッドで見ると「つぼ型」。少ない若者で多数の高齢者を支えないといけない構造になります。

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統計局ホームページより

今後は世代間の格差も拡大し、より貧富の差が顕著になっていくことからお金を持っている高齢者や富裕層に対する課税意識が高まっていくことが予想され、相続税を上げることで富裕層がためているお金を社会に回していくことが求められていくでしょう。

相続税の改正で何が変わるか

現時点でどのような改正がされるかは不透明ですが、
・税率が上がる
・納税対象者が増える

の2つが可能性としては高そうです。それぞれとても大きい影響があります。

相続税の税率が上がる

現状最高税率が55%の相続税ですが、相続税が改正されることで税率が増える可能性があります。「相続税の税率は100%にしろ!」という意見もあるのが相続税なので、どの程度税率が上がるのかは読めません。何もしないでいると大きな資産が減ってしまう可能性もあるので、資産規模が大きい方は早め早めでの準備が求められます。

納税対象者が増える

現行は簡易に考えると基礎控除である「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」を超える資産分が課税対象となり、相続税の対象者は全体の約10%と言われています。税制改正によりこの対象者が大幅に増える可能性があります。油断をしていると突然多額の相続税を支払う必要が発生する可能性もあるため、アンテナをはって準備をしておくことが求められます。

なぜ事前の相続対策が重要なのか

いざ相続が発生したタイミングでできる相続税対策は多くありません。
例えば、生前贈与などは贈与から3年以上が経過していないと、その分は相続財産として扱われてしまうので直前の駆け込み準備では遅いのです。
現在はまだ改正されていませんが、今後相続税の改正でより大きな資産に影響を与える可能性もあります。相続税対策は以下の記事も参考にしてください。


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※本記事は2020年8月時点の情報をもとに執筆されています。実際の最新税制や税申告に関する情報は、国税庁のページや税理士にご確認ください。

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