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イッチとビッチと山田たち 【僕ヤバ 好きなツイヤバ2】
僕の心のヤバイやつKarte.58は、わちゃわちゃ回とのこと。
次回はわちゃわちゃ pic.twitter.com/WsnZe1VH9J
— 桜井のりお@僕ヤバ④1/8発売 ロ⑦発売中 (@lovely_pig328) November 3, 2020
久々に、山田グループが帰ってきます。
楽しみですね。
コミックス一巻分を丸々使ったワンオンワンのドラマも、もちろん読み応えがありました。でも、山田グループの、緩くて自由で年相応に我が物顔なありようも、この作品に欠かせない賑わいなんです。
しかも今回は、グループと市川がそれなりに絡む様子。
これって珍しくないですか?
僕ヤバ最初期、市川は、山田及びその周辺の観察者でした。萌え四コマを読むような目線で四人のわちゃわちゃを見つめ、心の中でツッコミを入れていました。観察者は観察者なので、交わって干渉することはありません。
その後、山田との距離は近くなっていきますが、それはホームグラウンド・図書室時空での手探り交流があってのこと。衆人環視の教室でグループ相手に同じようにとは、なかなかいけなかったところでしょう。
唯一のニアミス、同じ班として交わった秋田書店見学シリーズでも、本格的に絡むまでには至りませんでした。
それが、今回の予告クリップでは、グループの一員と見紛うくらいの距離感なんですよね。Karte.57で心の鎧を外せた効果でしょうか。殺人衝動も遠くなりにけりです。
さて、そんなレア感ある4+1の顔合わせ、ツイヤバでも非常にレアなんですが、何度かは実現しています。今回ピックアップするのは2020年6月10日の作品。時事ネタです。
ゴシップ pic.twitter.com/KADUl1ktUE
— 桜井のりお@僕ヤバ④1/8発売 ロ⑦発売中 (@lovely_pig328) June 10, 2020
もちろん、両者の距離はそう近くありません。
聞こえてたので興味がなくても礼儀で答える陰キャ(市川)の真面目さと、突然話を振っておいて答えがあれば茶化す陽キャ(関根)の無遠慮さ。それを、あるあるっぽい面白さに処理して落としたエピソードに見えます。市川のバツが悪くなった格好なので、陰キャ的には、少しチクンとくるかもしれません。
ただ、本題はそこではないんでしょうね。
最後の笑顔の強調表現とそこに至る表情の変遷から、山田が青くなったり赤くなったりするところが一番の見どころに設定されていると読めます。些細なことに一喜一憂する山田は市川のことを本当に好きなんだなあ、と、ほのぼのとした読後感が残るわけです。
しかし、時を経てKarte.58目前となった今読むと、また味わいが変わっています。少なくとも僕は、そう感じました。関根の振る舞いに、別の興味が出てくるんです。
関根は恋愛脳っぽい言動と見た目の軽みから、市川に「ビッチさん」と(心の中で)呼ばれていますが、実際は、テストで学年五位を誇る聡明な女です。
しかも、意外にハートのある、強かな女なんです。Karte.53では損得を無視して市川を助け出し、彼をして「いかん……好きになってしまう!!!」と(心の中で)言わしめました。
加えて、同じKarte.53で、市川から、山田に対する思いを吐露され、既知のことだとうっちゃった女でもあります。
もちろん、より分かりやすい山田の、市川に対する思いにも気づいているでしょう。Karte .57でのX指定発言も、両者の思いを知らなければ出てこないはずですからね。つまりは、二人の心を一番よく察している(そう蓋然性高く示されている)女といえます。
すなわち、なかなかの女だということです。
これを踏まえて見る「なっ イッチくんッ」からは、初見で感じた「陽キャの無遠慮な気まぐれ」以上のものを感じます。市川を(山田を落とした)「あれほどの美女を落とせる男」として捉え、話を振っているように見えるんですよね。血の気を失った山田の心の機微を、持ち前の聡明さで察知し、そうしたように読めるんです。
気まぐれでなく、当事者の市川にだからこそ斬り込んで訊いたのだ、ということです。
ビッチさん幻想が広がります。
もちろん、本当に当事者として訊いたのだとしても、山田のために一肌脱いだのか、ちょっと面白そうだから波紋を投げかけてみただけなのかまでは分かりません。それによって幻想の意味合いも違ってくるんですが、明確には示されてないことですからね。
まあ、Karte.53でのハートある行動から考えれば前者でしょう。
ただ、小悪魔っぽいところも、ないわけじゃない人にも思えます。山田きっかけでナンパされようとか、南条に接近しようとか、享楽的なところありますし。何より、そういう不穏さがある人がいた方が、お話としては面白いですよね。市川と山田には申し訳ないんですが。
今回の予告クリップでも、片隅から不穏な存在感を醸している(?)ビッチさん。更なる活躍、あるんでしょうか。
【余談1】四人の異なる表情に、それぞれの思いが浮かんでいます。つきあってないのに不倫を心配し、目で縛めようとする山田がかわいい。
【余談2】「ドッ」と一括りの、笑うリアクションをする四人。でも四人とも笑顔の意味が違う(ように解釈できる)んですよね。この辺含め、本件ツイヤバには、天才桜井のりおが凝縮されていると思っています。