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マスターデュエルのすゝめ

 2022年1月19日、なんの予告もなしに「遊戯王マスターデュエル」はサービスを開始した。もともと今月中頃に当ゲームについての詳細を公開するとかしないとか、その程度の告知だったので、当然ながらなんの準備もしていなかった。

 正直なところ、カードプールはスマートフォン向けアプリ「遊戯王デュエルリンクス」のときと同じく、「相手の攻撃を〈クリボール〉でかわして次のターン墓地の〈クリボール〉を除外して〈サクリファイス〉を儀式召喚する」「〈エネミーコントローラー〉で相手モンスターのコントロールを奪取して殴る(俗に『エネパク』といった)」みたいなサービス開始あるあるな環境になるとばかり思っていた。だが蓋を開けてみれば、〈真竜皇V.F.D.〉もいれば〈水晶機巧‐ハリファイバー〉もいるし〈捕食植物ヴェルテ・アナコンダ〉まで当たり前のようにいる。おまけに〈神の宣告〉、〈灰流うらら〉、〈ライトニング・ストーム〉は各1枚ずつがセット商品になっている上に無償石で買えてしまう。さらにカードの分解生成機能までついている。これほどまでに良心的な設計のデュエルシミュレーションゲームがかつてあっただろうか(いや、勝ちたかったらセレクションボックス3周して〈混源龍レヴィオニア〉揃えろ)。これ本当に遊戯王のゲームか?(失礼)

 冗談はさておき、評価すべきはカードプールの広さである。実装開始から目立ったバグなどもなく、上級モンスター召喚時の演出やチェーンの表現はまさに「今最高に遊戯王やってる」という気分にさせてくれる。さらには幼女とゴキブリの飛び交うランク戦だけでなく、そのカードプールの潤沢さゆえに子どもの頃の環境まで再現可能な点だ。〈人喰い虫〉や〈デーモンの召喚〉が相棒だった頃の【ハイランダー】同士で遊ぶと童心にかえれるのでオススメである。下のデッキは元々はツイッターにて紹介されていたもので、仲間と話し合ってそれに多少のアレンジを加えた。「ダメージステップ時に〈クリッター〉に〈突進〉を発動してダイレクトアタックする」とか「〈首領・ザルーグ〉は攻撃力1400だから〈奈落の落とし穴〉に絶妙に引っかからない」とかいう愉快な盤面が容易に生まれる。

ある意味【シャドール】相手よりも裏守備モンスターを攻撃するのが怖い

 さて、ここからはガチ環境攻略について書きたいと思う。「決闘者たるもの己の好きなデッキで遊んでこそエンタメである」との主張を理解したうえでなお言わねばない事実は、「対人戦で勝てないとパック開封効率が悪い」という問題だ。もちろんガンガン課金すればそんなことは些末な問題であるが、なるべく低コストに遊びたいのなら、せっかくの分解生成機能を最大限に活かすためにも、Tier1のデッキをとりあえず一つ組んでガンガン勝ち上がっていくのが手っ取り早い。そこで今回は、現ランク戦においてもっとも高いランクである「プラチナTier1」に昨日昇格したので、その際に使用した【エルドリッチ】を紹介したいと思う。

【竜輝巧】と【十二獣鉄獣】がほんとにきつかった
メインデッキだけなら誘発の枚数的にコストは低め(当社比)

・メインデッキ
① 手札誘発
〈灰流うらら〉2枚。〈増殖するG〉ないしは〈原子生命態ニビル〉も場合によっては採用の余地あり。だが個人的には、相手依存の〈増G〉よりは〈名推理〉で〈黄金卿エルドリッチ〉を呼んできた方がデッキコンセプトに適っていると思う。また相手の手札誘発と墓地から蘇生するモンスターの抑止に〈墓穴の指名者〉は2枚。とくにミラーでは相手の〈エルドリッチ〉を使用不可にすれば勝てるので、2枚入れておきたい。

② ドローソース
〈強欲で金満な壺〉3枚と〈金満で謙虚な壺〉2枚。デッキのとがらせ方によってはエクストラのモンスターを積極的に展開していくのだろうが、正直出番があるのは〈超弩級砲塔列車グスタフ・マックス〉と〈セイクリッド・プレアデス〉、次点で〈天霆號アーゼウス〉くらいのもので、しかもこれらのモンスターを出さなくても勝てるので、手札の壺は惜しまず使うのがよい。分解生成コストの問題でこれらの生成が間に合わないときは、エクストラのモンスターはいっそ壺のコストと割り切れれば何を入れても問題はなく、生成アイテムがそろったら〈グスタフ〉から順に作っていくのをすすめる。

③ 妨害・除去
〈スキルドレイン〉がこのデッキの核なので絶対に3枚。ほかに〈拮抗勝負〉2枚、〈ドラグマ・パニッシュメント〉2枚、〈天龍雪獄〉2枚、〈神の宣告〉2枚、〈王宮の勅命〉1枚。さらに〈超融合〉と〈溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム〉をお守りに1枚。以下、採用カードの詳細。

・〈拮抗勝負〉
「バトルフェイズ終了時」というタイミングの指定のほかにこれといったデメリットがないので、相手のカードを除去したのちにメイン2で展開していく。もっとも、決まるとたいていの場合サレンダーされるのだが。

・〈天龍雪獄〉
墓地の相手モンスターを吊り上げる効果と種族が同じ相手モンスターと一緒に除外する効果が「一連の効果として処理されない」、つまり「蘇生させるだけでも構わない」点が強力であり、テーマがテーマ内で完結しがちな環境デッキには刺さる場面が多い。

・〈ドラグマ・パニッシュメント〉
【ドラグマ】カテゴリのカードであるが、発動に【ドラグマ】カードを要求しないため出張性能が髙い。エクストラの〈旧神ヌトス〉を墓地に送れると相手の場から2枚除去できるので腐ることがまずない。

・〈神の宣告〉
3枚フルで積むとライフコストが大きくなりすぎるため2枚。
※追記:【エルドリッチ】対面を意識して〈D.D.クロウ〉の採用が増えているので、〈神の通告〉の採用も視野に入る。

・〈超融合〉
ミラーで絶大な威力を誇る。〈黄金狂エルドリッチ〉は打点、耐性ともに申し分なく、〈強脱〉でのバウンス以外の除去手段がミラーデッキでは乏しいと言える。また〈アナコンダ〉を経由するなら〈スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン〉の採用も一考の余地あり。

・〈永久に輝けし黄金郷〉
【エルドリッチ】カテゴリの専用罠だが、専用ゆえにデッキからサーチする手段があるため1枚採用。

・〈溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム〉
完全耐性やパーミッション系の効果を持つモンスターを除去できる破格の性能があるので1枚採用。2枚だと少し重たいかなという印象。

つづいて、採用はしなかったがおすすめできるカードの紹介。
・〈バージェストマ・ディノミスクス〉
手札1枚をコストに相手のカードを除外できるお手軽効果。またモンスターとして墓地から出てくるのでリンクモンスターを積極的に出していくなら採用してもいいだろう。ただし素材にするときは効果モンスター扱いではない点に注意。

・〈激流葬〉、〈強制脱出装置〉
生成コストが安いレアリティのため採用の余地あり。また破壊やバウンスではなく、〈大捕り物〉で相手の〈エルドリッチ〉のコントロールを奪う手も面白いが、こちらは〈黄金郷のコンキスタドール〉などで破壊されるとコントロールが元に戻ってしまうリスクがある。

・〈御前試合〉、〈群雄割拠〉
ロック系の永続罠。これらは環境で流行っているデッキタイプ次第での採用となるだろう。同じくロック系では〈センサー万別〉や〈虚無空間〉などもあるが高コストなのでひとまずは見送ってもいいだろう。

 デッキ構成は以上の通りで、いわゆる「コントロール」に属するデッキタイプと言える。個人的には、こと現代遊戯王においては罠は遅いとの先入観があったので、デッキの半分が赤色で構成されているのに環境トップであることに驚いた。世代的には原作『遊戯王』に登場するキャラクターであるリシドのような気分であると言いたいところだが、「リンクス」の〈アマゾネスの急襲〉がチラつくのでダメ。な〜にが終わらない罠地獄じゃ(自分も使いながら)。

 以上。「コントロール」は対人戦の醍醐味だと思っていることもあって、【エルドリッチ】は回していてなかなかに面白く、またミラー対面に刺さるカードをどの程度採用するかを考えるのも非常に楽しかった。初心者にはそもそも今の遊戯王自体が難しいかもしれないが、【エルドリッチ】の回し方を覚えると他のデッキにも応用が効くので、その意味でもおすすめである。

不動@T2_Nakajima   デュエルしましょう!いつでもDMください🙇‍♂️

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