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僕らの見た虹の向こうで

1.空想が花束をくれる

 わたしのいちばん好きな曲のひとつに、tacicaの‘HALO’という曲がある。10年ちかく前にやっていたアニメ『宇宙兄弟』の4つ目か5つ目のOPに起用されていたから、というか自分もそれで知ったから、聴き覚えのある人もいるかもしれない。

 この曲が流れていた頃の本編はとにかく辛い描写が多くて、そのせいかやたらと印象に残った。それと同時に、「どうして自分はこの曲が好きなんだろう」という疑問もずっと残った。比喩的な歌詞が多いからそもそも難しいんだけど、それはどうやら自分がそういう身になってみないと分からない類のものだった、という結論に至った。それもそのはず。なりたい自分は、あまりにも遠かった。

2.又 性懲りも無く目指しちゃった

 3年間もいたラウンジを抜けて、それ自体に後悔とかはなかったけど、その先に待っていたのは満足感という名の緩慢な死だった。抜ける頃にスコアタを誘われてなかったら、たぶん思い出の中で生き続けていたに違いない。じっさい4月からの通常イベントではTPMを4回獲得、そのうちの2回が2位、7位と申し分なかった。ハイスコアは簡単にはできないから、その覚悟のある人たちとの競い合いには、価値があると思えた。

 そうしてだいぶ急に梅雨があけた。今年は誰が誰で走るとか走らないとか、実に不毛なやり取りがTLにたくさん流れてきて、ああ夏だななんてけっこう呑気に構えていた。仕事も山のようにあったし、やりたいことはもう去年でやりきったと思っていたから、本当に他人事だった。問題は、生放送で発表された周年曲のMVだ。

 今回の曲‘夢にかけるRainbow’は、どちらかというと暗い曲だ。挫折とか敗北とか、そういう世の中の簡単じゃない部分に対して真っ直ぐに向き合っている。例えるなら、ライム病との闘病生活を歌い上げたアヴリル・ラヴィーンの‘Head Above Water’をはじめて聴いたときに似た衝撃があった。‘UNION‼︎’から‘Harmony 4 You’までの眩ゆいイメージとは真逆の精神性、加えてユニット曲でありながらも「個」を強く意識させる構成。劇場には心強い仲間がたくさんいるけれど、同時に頂を目指すライバルでもある。「私たち」ではなく「私」たちの輝き、それこそ「ミリシタ」が5周年という節目に提示した境地である。それを自分の担当2人が堂々と歌い踊っているじゃないか。大きな家を出たわたしにとって、これ以上の感動はなかった。

3 .先送りになる安らかな眠り

 かくしてTPMを目指す気持ちにはなった。問題は、誰のところで走ろうか、その一点に尽きた。今回、木下ひなたを選んだことについて、いろんな人から意外と言われた。ほとんど喋ったことはないからそのリアクションはある意味当然かもしれない。昨年からはじまったMTS、そのクローバーチームの中で彼女はセンターをつとめた。木下ひなたのメインコミュをどちらも鑑賞すれば、彼女が真ん中にいるということがどれほどのことかお分かりのことと思う。さらに個人的な好みを言うなら、クトゥルフ神話をモチーフにした‘Clover’s cry 〜神と神降ろしの少女〜’。曲調的に‘ボヘミアン・ラプソディ’じゃん、というコメントには思わず笑ってしまったが、この曲の木下ひなたソロは本当に素晴らしいので是非聴いてみてほしい。あくまで私見だが、この曲にしろ‘Shamrock Vivace’にしろ、木下ひなたの才能からは星井美希のそれに似たものを強く感じるのだが、今回のイベント中公開されたティザーMVでさらなる高みを見せつけられて頭を抱えた。いや、やっぱり先輩すごいな。

 こんな経緯から、今いちばん応援したいキャラクターは決まった。100位以内が目標だったはずなのに途中で愉しくなってしまったのはいつもの悪い癖。ここでイベントについて少しだけ真面目なことを言うと、「23時間稼働」が今や当たり前のムーブになってしまったけれど、実質的にはもっと起きてないといけない上に、その中で最大効率を出し続けるハイリスクハイリターンな行動だから本当に厳しい。しかもそれが期間中に複数ある。当然ながらこれをやり切れた人が上にいけるわけで、その点において彼らのことは尊敬して止まない。わたしには満足にできなかったからだ。ちなみに来年もまたやってみたいかと聞かれたら、わたしにはあまりにハードなのでもう二度とゴメンである。でも、挑戦してみないとわからないこともあるから、高みを目指したい人はノウハウを知っているトップオブトップスの門を叩くのも一つの選択肢になるだろう。

4 .只 愛しくて走れるよ

 今回わたしは、結果的には動けはしたけど、仕事の状況がまるで読めなかったから、TPLを目指すどこのラウンジにも行かなかった。ただ白状すると、いったん区切りをつけたものに対する引け目も少しだけあった。それにも関わらず、傭兵でもなんでもない自分を通話にあたたかく迎え入れてくれたラウンジ“cherry”のみんなには感謝しかない。そうして数日間、彼らと話しているうちに、ようやく理解した。

そうか、‘HALO’っていう曲は、「未練」の歌だったんだ。

 一度終わりにしたはずなのに、戻ってきてしまった。どうしようもなく永い夜が巡るほどに、こんなに中途半端なわたしを助けてくれる人たちの有難さが沁みた。そして秒針が0を刻んだ瞬間、ああ終わったんだと悟った途端にボロボロと涙が溢れてきて、やって良かったなと心から思えた。このブログだってそう。当時あれだけ濫造されて、自分にはもう書くことなんてないと嘆きながら、それでも書くのが好きだったから、こうしてまた筆をとってしまった。未練があったから、ここまで来れた。未練がましくも続けたから、高いところに登れた。本当に、人に恵まれた。

結果論だけど、虹の歌で7位っていうのが嬉しいね
ほんとに偶然だけど、こっちも7位だった

 なんという泥臭い言い訳。結局のところ、好きな気持ちに嘘はつけないらしい。それを思い出させてくれたみんなに、ありがとう。周年イベントの前と期間中に友人と観た『ラブライブ!スーパースター‼︎』の挿入歌‘未来予報ハレルヤ!’、今思えばこれにも背中を押された。2期が楽しみで仕方ない。

 以上。まだ‘ビギナーズ⭐︎ストライク’で🥇をとり返してないので、これからもどうぞよろしく。どんな形であれ、次のステージがあるというのは、幸せなことなんだ。

おしまい🍎

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