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ジャン・プルーヴェ展

東京都現代美術館で開催された「ジャン・プルーヴェ展ー椅子から建築まで」へ、展覧会のなかで彼の言葉が引用されていて、各展示のテーマになっていたので、それをもとに感じたこと、考えたことを記してみたい。

※ここからは個人的な感想を

ーつくれないものをデザインしてはならないー

彼の言う「つくれる」という言葉はただ「つくれる」ということではなく、ある意味でもっと狭い範囲でのつくれるであると感じる。密度高くつくれるということをどこまでも追い求めるということだろう。さらに素材にこだわるが、そのときに手に入るもので考えるということにも「つくれる」という意味をこめていたのだと想像する。

ー構造の設計こそが建築の設計である

構造の検討が、建築を実現するためだと考えたことはない。構造の設計こそが建築の設計である。私にとって両者を切り離すことはできない。ー
つくることから始めた彼の言葉にとても力がある。スケールが変わってもその哲学は変わらない。自邸の広い空間と構造計画は一体のものである。まさに空間のための構造

ー生活環境は人類の運命にかかわるから、今日の最も重要な課題であるー

エネルギー問題に直面している現代にあって、厳しい気候であってもファサードによって断熱、採光、換気、遮光から建築の目的を引き出すという態度は時代を超えて大切なメッセージだ。構造的・構築的なイメージのある彼はファサードも同じような視野でみていたのだろうか。

ー私は自分でつくった部材で建てると決めた

建設は、素材の原理によるものだ。だから性格に図面を引き、材料の物理的な性質を知らなければならない。私は自分でつくった部材で建てると決めた。主に鋼鉄、木材とアルミニウムを組み合わせた軽量な部材で。ー
実験的、実践的な彼の製作は今日の分業化された作り方をベースとしている我々から見るととても眩しい。

ー土地に痕跡を残さない建築をつくりたい。ー

この言葉には仮設的な建築であるという意味が強いのだと思うが、現代の課題として(勝手に)土地へのプレッシャーということを考える。人間がずっとその土地を使い続けていいわけではないし、使い続けることはないかもしれない。長い時間軸の中で建築のあり方を考え、土地に痕跡を残さないという言葉から人間が土地を占有しないと意味を拡張したい。個人的に考えていることの色が強いが、彼が考えたことから実現させてものから学ぶことが多い。

変化と挑戦

彼の経歴の多様さに驚きと納得と憧れをもった。恥ずかしながら知らない経歴がたくさんあった。
彫刻家・鍛治職人のもとで修行し、家具制作からはじめ、製作から少しずつ建築物に携わるようになる。工房を構え、軍用の組立式小屋を手がけ、ナンシー市長にもなっている。フランス国立工芸院の教壇にも立ち、新素材であったアルミに取り組んだり、起業と事業譲渡を何度かしていることなど、変化と挑戦の人生であったことに本当に尊敬と憧れをもつ。

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