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Miimo 三宅町交流まちづくりセンター

「​​子どもたちが、まちのみんなが、もっと三宅を好きになるために。三宅にあるものを活かし、三宅になかった新たな魅力を生み、三宅の未来を育む複合施設です。」
HPより)


館内にはMiimo ホール、コワーキングカフェ、まちキッチン、コミュニティルーム、子育て世代包括支援センター、図書フロア、学童保育クラブなどがある。
休日だったので学童保育などは開いていなかったが、Miimoホールで音楽のイベントが開かれており、1階エントランスに入ると何となくその雰囲気が伝わってきて、2階の図書フロアには多くの人が訪れていた、コミュニティルームも利用中とのことで、とても活気を感じた。中間期は外部空間にも人が集まることが想像される。

配置計画による広場との関係と広場と建物プランの関係が印象的であった。

3階建の建物が広場と向き合い、旧役場への動線が広場に絡み合っているその関係性が素晴らしい。広場の逆、つまり施設の裏からも建物に入ることが出来て広場に抜けることができることで、この施設を仲介とした「まちの動線」ができるように感じた。地方に住む人間として感じるのは駐車場と建物の間のデザインの大切さである。車移動が主なので台数確保のためにどうしても面積が必要な駐車場に対してゆとりのある広場などはデザインしにくいことが多いのだが、駐車場が常に稼働率100%であることはないのでアスファルト舗装空間が残ってしまう。この施設の場合は離れた場所に第二駐車場があることも関係しているかもしれないが、駐車場と広場の面積が同等で広場と建物の関係に魅力がある。前田さんから研究室のOB会で説明を聞いていたけれど訪れてみると改めて実感する。駐車場の確保は必然だとして、(建ぺい率は確認してないが)低層で建てることも選択肢としてはありうる敷地ではないかと感じた、だがその選択はスカイラインは低く抑えられるかもしれないが、この建物のような広場はのぞめないだろう。

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この配置計画からできる広場に相対する建築はやはり広場に面する部分がとても丁寧にデザインされている。建物の屋根が広場側へ張り出し軒下空間が広場に面して作られる。この広場に面して建物の要素をどう配置し、広場との関係をどう取るかというところがこの建物の重要な部分であると感じた。難しいと感じたのは広場は建物の西側に面していることである。
普通にプランニングすると広場側に開放的で単一機能でない中間的な要素を配置したくなると思うのだが、この施設はそうではなく、コワーキングカフェや自習スペース、コミュニティルーム、事務室などが配置されている。方位との関係からこのプランニングが決まったかどうかは聞いていないのだが、フリースペースや図書フロアは広場からは少し奥まったところにある。奥まっているのだがフリースペース、図書フロアから広場が見えるようにプランニングされているのが魅力的であった。

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広場に面する部屋の開口部の大きさは絞られているのだが、部屋同士が開放的につながっているので、奥まった部屋からも広場に面した開口部に視線が抜ける。開口部を大きく作る部分は軒下空間を大きく取ることで環境との関係が調整されているのではないだろうか。広場が建物の西側にあることで、軒下空間がつくる日照環境は1日を通じて変化があると思う。中間期にはその変化を住民が使いこなしていくことが想像される。

軒下空間に力点があるのは細やかな部分にも現れる。軒下空間の天井の木材は斜めに張ることで屋根の方向性が斜めつまりまちの方向に向けられる。屋根の樋は広場側に出ないように奥に集中され、広場に面してはまちの人の活動を受け止めるようにごくシンプルにデザインされている。

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地方住民としてみてしまうが、機能が複合されることで色々な世代が集う施設がこの時代につくられることは単純に羨ましく思える。「集う」というのは簡単だが実現するのは難しい、「使う」ことから生まれる「集う」という現実を確実に生み出していく、そんな施設が長く使われることが地方の未来につながると信じたい。それを作りだす主体は色々とありうるのだろう、この施設のように自治体であることもあれば、民間さらには個人であることもあるのかもしれない。こんな施設が「使える」まちに住んでみたい、私のまちにもこんな施設があったらと思うとともに、子どもたちと未来の子どもたちが自慢できる地域のために自分たちの世代が作り出していかないといけないと思う。


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