見出し画像

「かたちが語るとき」展 スピンオフ企画

ポストバブルの建築家展 -かたちが語るとき- アジール・フロッタン復活プロジェクト
http://www.adan.or.jp/news/event/3283
のスピンオフ企画のシンポジウムを聞かせていただいた。

「リサーチから建築をつくるプロセス」がテーマ。

登壇者は
島田陽×前田茂樹×イヴ・モロー(STUDIO MUOTO)×クラアス・ド・リーク(bollinger-grohmann)
シンポジウム全体では、日本の2人がリサーチを明確な設計(かたち)へのアプローチとして提示し、フランスのどちらかといえばイヴが情景的表現を引用しながら建築プロジェクトを紹介するような構図となり、その対比が双方のスタンスのそれぞれの魅力を引出しあうような印象を受けた。
個人的に共感・感動したのは、島田氏、前田氏の建築へのアプローチの明瞭さであった。

島田氏は過去プロジェクトの形態がオーストラリアの住宅形式クイーンズランダーとの類似性を見出し、クインズランダーをリサーチしすることでその形式が持つ魅力を新たに生み出す住宅に引用し、自らの発想とかけ合わせることで島田氏ならではの空間を作り出していた、それは汎用性のある住宅形式を土台に新たな風土を作り出すかのように感じた。
前田氏は空間の質をつくるものを「PLACE」とよび、人々の活動(Activitity)から建築を発想することを訴えた。ヤン・ゲールの言葉を引用しながら「公の中に「私」がいてもいいと思える場所」を生み出すことの重要性を語った。
上記のように人々の活動のための建築をつくるためにリサーチがあると前田氏は語った、住宅であれば住民の家の使い方をリサーチする、三宅町交流まちづくりセンターの設計では、コンペ前の住民インタビューを編集することからスタートし、その場所を利用する人々がそこでどのような活動を求めているかを解剖するような作業に聞こえた。インタビューの解剖から活動のために空間がつくられた。泉大津の公園では活動を支える器をたくさんつくることが意図された、1つ1つの場所が解剖されるように、建築とランドスケープも同等のものとして、個々の場に必要とされることや想定される活動が丁寧に細かく設定されていた。とても根気が必要な構築だと想像できた。

シンポジウムを通してみえた対比は日本的、フランス的というのは単純すぎるのかもしれない。シンポジウムの最後に語られたようにそれを位置付けることにあまり意味はなく、文化をぶつけ合い、新しいものを生み出すことに意味があるのだろう。個人の思いをさらに加えると、それがその地域の風土になるような強度を持ち得るものであればよいと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?