『G線上のあなたと私』最終回を終えて

『G線上のあなたと私』が終わりました。

優しい、優しい気持ちになれる、愛でいっぱいのドラマでした。

出てくる人たちがみんな「コイツ、いいやつなんだよ」と自慢したくなるような大切な友達みたいで、一緒に過ごした日々は本当に幸せでした。

感謝の気持ちを伝えようとしたら、140字のツイートじゃ全然足りなくて。だからnoteにします。


也映子ちゃん。

本当に、也映子ちゃんは自分を見ているみたいでした。傷つくのが怖くて、掴んだ幸せがいつかなくなってしまう未来が怖くて、だったら最初から傷つかない道を選ぼう、手放しても平気なくらいの幸せで生きていこう。僕も、ずっと思っていました。

だからこそ、ゆるいつながりに戻ろうとした気持ちもわかるし、本気で理人くんのことが好きなこともよくわかった。そんな臆病な也映子ちゃんが、傷ついてもいい、未来なんてわからなくてもいい、今目の前にいる人を大切にするために、深く向き合おう。そう決意したことは、僕の勇気になりました。いい顔してたなあ、也映子ちゃん。

也映子ちゃんが、ずっとずっと幸せでいられることを祈っています。


理人くん。

生真面目で、怒りっぽくて、口が悪くて、ぶっきらぼうで、でも誰かが悲しんでいたり傷ついていたら、ちゃんと支えてくれる人、ちゃんと励ましくれる人。たくさんの人を夢中にさせた、本当に魅力的な男の子でした。

まっすぐに人を想えるところが、理人くんのいちばん素敵なところ。年をとるほどに予防線を張ることばっかりうまくなって、安全ルートという名の回り道をしてばかりの僕たちに、理人くんはまっすぐぶつかっていくことの大切さを教えてくれた。悩んだり、傷ついたりしながら、少しずつ表情が変わっていく理人くんがとても眩しかったです。

いくつになっても、ずっとカッコよくて優しい理人くんでいてください。


そして、幸恵さん。

人生に、幸恵さんがいてくれたら、どんなに心強いだろう。どんなに楽になれるだろう。

よく考えると、僕はもう何年も人に相談をしていない気がします。自分のことは自分で決めるしかないから。悩みや愚痴を言ったって相手を暗い気持ちにさせるだけだから。そう言い聞かせて、モヤモヤもイライラも全部自分で処理するようになっていました。

だから、也映子ちゃんが幸恵さんに相談している姿を見ると、いつも羨ましい気持ちになりました。一緒に興奮したり、一緒に悲しんでくれたり、気持ちを分かち合ってくれる人がいることが、こんなに幸せなことなんだと。時に道を間違えそうになったら、ちゃんと進むべき方向を示してくれる人がいることが、こんなに頼もしいことなんだと再確認させてくれたのが、幸恵さん。きっと幸恵さんは、僕には想像できない、いろんな出会いや別れを経て、今があるんだと思います。そして、そんな幸恵さんがとてもカッコいいです。

幸恵さんみたいな友達がほしいと、架空のキャラクターだとわかっているのに願わずにはいられません。今、一緒にお酒を飲みたい人ナンバーワンです。


3人だけじゃなくて、眞於先生も、也映子ちゃんの家族も、理人くんの家族も、幸恵さんの家族も、みんながいい人で、見ているだけで微笑ましい気持ちになる人ばかりでした。

考えたら、学生の頃は友達のお父さんやお母さんのこともよく知っていたのに、大人になってからというもの、目の前にいる友達のお父さん、お母さん、兄弟、子どもと会ったことはほとんどない気がしましす。

「うちの父です」「いつもお世話になっています」

3人だけのコンサートで、家族を紹介し合っている也映子ちゃんたちを見て、なんだかいいなと思ったのは、もう何年も自分の大切な人に大切な家族のことを紹介した記憶がないからかもしれません。

大人になっても、そんな友達をつくることができた3人が、やっぱりちょっと羨ましい。いくつになっても友達っていいなと、改めてそう思わせてくれました。

たくさんのときめきをくれたドラマだけど、やっぱり『G線上のあなたと私』は恋愛ドラマとひとくくりにはしづらいドラマだなと思います。

恋も、友情も、家族も、師弟も、人と人とが生きる関係のすべてがつまっていて。男女も世代もコミュニティもすべてを超えて、これからの時代、こんなふうに生きていけたらいいよねという「つながり」のかたちを見せてくれたドラマでした。

でもそう思えたのは、也映子ちゃんが、理人くんが、幸恵さんが、とても優しい人たちだったからと思います。最初は嫌な人に見えた幸恵さんのお義母さんが、最後にはとっても優しく見えたのも、他でもない幸恵さんが優しい人だったから。

誰かに優しくすれば、その優しさは必ず返ってくる。そして、そうやってみんなが誰かに優しくできれば、世の中はもっと優しくなる。

綺麗事かもしれません。でも、綺麗事でいいですよね。

少なくとも、そう信じた方が、もうちょっと幸せな明日がやってくる。だから、僕ももっともっと人に優しくしたいです。

人と深く向き合うことは今も苦手科目だけど、いつでも、いくつでも人は前に進めるんだと也映子ちゃんが教えてくれたから。ほんのちょっとでいい。勇気を出して、もっと周りの人と深く向き合っていきたい。

今、そう思います。

そして、そんな気持ちにさせてくれたこのドラマをつくってくれたすべての人にお礼が言いたいです。

もう也映子ちゃんにも理人くんにも幸恵さんにも二度と会うことはできないけれど、それは悲しいことじゃない。

人は変わる。時は流れる。いつまでもずっと一緒にはいられない。

それでも、大切なものはいつも心の中に生き続けるから。そうやって大切なものをいくつも心の中に増やしていくことで、僕たちは生きていける、この長い長い人生を。

きっと街中で『G線上のアリア』を耳にしたら、またこのドラマのことを思い出すことでしょう。カラオケ屋で、グチグチ怒る理人くんと、怒られながらもまるでこたえていない也映子ちゃんと幸恵さんの姿と一緒に。

溺れそうになっていた毎日の中で、このドラマは真っ暗な海に投げられた浮き輪のようなものでした。素敵なドラマを、本当にありがとうございました。


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