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楽しくジタバタする。

最近、ちょっとずつ生活に変化をつけはじめている。

可愛い下着を買ったり。ジムに通いはじめたり。ラジオを聴いたり。今までの自分の生活になかったものを意識的に取り入れようと試みている。

理由は簡単。いよいよ40代というものが見えはじめたからだ。

思えば、30代になるかならないかというときもやたら何かをしようとしていた。会社員を辞めてフリーランスになったり、ルームシェアをしたり、スキューバダイビングをしたり。

簡単に言うと、焦っていたんだと思う。30になるからには何かひとかどのものを身につけていなければいけない!という謎のプレッシャーだったり、とにかく人生を楽しんでいるように見せたい!というありがちな虚栄心だったりに追い立てられて、目につくトレンディ的なものにえいやっと飛びついていた。

つまり、ジタバタしていたのである。

年代がひとつ上がる。ただそれだけなのに、ただそれだけのことがとても大きなことのように思えて、それに見合う自分にならなきゃとジタバタする。

ちなみにフリーランスは運良く続いたけど、ルームシェアは2年で解消したし、10万円もはたいて買ったダイビング用のウェットスーツはまるで使わず数年で処分した。結局、ジタバタして飛びついたことのほとんどは実にはならなかった。

そんな経験があるにもかかわらず、人は学習しないもので、40という大きな数字を前に相も変わらずジタバタしている。

勢いで入った結婚相談所はまったくノリが合わなくてもう2ヶ月も休会したまんまだし、口に入れるものから自分を変えようとスナック菓子をやめてフルーツをとるようにしたけれど、結局今この文章もスコーンバーベキュー味をぱくつきながら書いている。おそろしいくらい何も成長していない。

ライターの仕事もあと10年続けられる自信がまるでなくて。うっすらと引き際のようなものを感じはじめている。このままこの仕事を続けるか。それとも違う職に就くか。ぼんやりと転職サイトを見るともなく見つめながら、でも今から自分に正社員の仕事なんてあるだろうかと小さく絶望する。

結局、どれだけ頭をひねっても名案など思いつかず、喉からこみ上げてくる不安をアルコールで押し戻して、電気もテレビもつけたまま、気を失うように寝るのがオチだ。

本当に、人というのは、10年経っても何も変わらない。

ただひとつアラサーの頃と違っているのは、自覚的にジタバタしているということだ。

10年前は自分が何に追い立てられているのかもわからずジタバタして、それが苦しかったけど、今はジタバタしている自分をもうひとりの自分が上の方から「ジタバタしてるな〜」とニヤつきながら眺めている感じ。

そして、こんなジタバタもこのときしか味わえないものだと考えれば悪くないか、と思っている。

結局どれだけジタバタしたところで人生はなるようにしかならなくて。もしかしたら結婚しているかもしれないし、やっぱりしていないかもしれないし。このままライターの仕事を続けているかもしれないし、ある日突然颯爽とジョブチェンジしているかもしれない。そんなことは、どれだけジタバタしたって、誰にもわからないのだ。

ただ、時の流れと共に自然とジタバタする内容は変わってきて。いつの間にか結婚とか仕事の方向性よりももっと深刻なーーたとえば親の介護とか、自分自身の健康問題とか、そういう荒波が襲いかかってきて、自分を今とは全然違う場所へ強制的に押し流してしまうことだろう。

だったら、こういうことでジタバタしてられるのも今だけ、と思って。なるべく自分の中で起きる心の変化だったり抵抗だったり葛藤だったりというものに敏感でいよう、と腹をくくってみたりする。

どうせ10年もしたら、今、胸の内で渦巻いている焦りや不安なんて正確に思い出せなくなる。自分が10年前に悩んでいたことが、まるで別人の悩みに思えるように。僕たちは、あっと言う間に、自分の感情を忘れてしまう。

だから、このモヤモヤは今の自分だけのもの、と新しいおもちゃを買い与えてもらったような気持ちで、素直にジタバタしてみよう。

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ということで、早速だけど、夏服を買ってきた。どれだけ流行っていると知っていても自分には合わないと決めてかかっていたタックインをこの夏はやってみようと思う。

何年かして、タックインをしている自分を写真かなにかで見て、「似合わね〜」とか「血迷ってた〜」とか思うかもしれない。

まあ、それもいいだろう。

黒歴史もまた、僕の歴史だ。

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