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2024年6月22日の日記

育てているサンスベリアがやたら元気に生えまくっているので、剪定して、切った葉を葉挿しにしてみることにした。

と書いたけど、実は決意したのは数日前。葉を切って、しばらく乾燥させるために寝かせていたら、もうすっかりやり遂げた気持ちになって、そのまま放置していた。さすがにそろそろ植えなければと重たい腰を上げ、ネットで注文した土と鉢底石のネットを広げる。が、肝心の鉢底石を買い忘れていたことに気づき、しぶしぶ近所の100均へ。もうだいぶ面倒くさい。

この時点で11:00くらいになっていて、外に出たし、ランチでもするかなと思ったけど、このご時世、そんなに洒落たお店でなくても、外でランチをしようとしたら野口英世1枚では足りない。帰れば野菜があるんだしもったいないと思って結局家でごはんをつくる。

と同時に、僕の人生の事件の起こらなさは、このもったいない精神にあるのではないかと思い至る。日記を始めて、いよいよ可視化されてしまった感があるけど、僕の毎日は本当に事件がない。「ごはんを食べる」「仕事をする」「ドラマを観る」の3要素で大体終了。かわりばえがしないにもほどがある。

もっと外に出たり、人に会ったりしたほうがいいのだろうけど、外に出るのは面倒くさいし、どこか行くにはお金がかかるしで、ものぐさに足が生えたみたいな生活になっている。そりゃ事件が起きるはずもない。

たとえば、人生の上級者はこういうときにさらっとランチに行くのである。で、店の人との何気ない交流だとか、隣で食べている人たちの話から得たささやかな気づきだとかを、人生の彩りに変えていく。毎日、家でさしておいしくもないごはんをつくって、ひとりで食べていたら進歩がないのは当たり前。せっかく都心に住んでるんだし、もうちょっとアクティブになってもいいんじゃないかしら、と反省する。

昼からは仕事をしても良かったけど、なんとなくやる気が出ず、久しぶりに『ドラクエ11』をする。ウルノーガを倒したところで満足していたので、そこから続きをプレイしたら、ようやく『過ぎ去りし時を求めて』という副題の意味を知る。まじか。

せっせとストーリーを進めて、ついに最後のカギを入手。小さい頃は、カギが手に入ると、今まで行ったことのある場所をひたすら回って取りこぼしがないか探していたけど、この年になるとさすがにそれは面倒くさいので、あっさり攻略サイトをチェックする。ズルさを覚えたとき、人は大人になるのだということも『ドラクエ』から教わった大切な哲学の一つ。

とりあえずケトスを覚醒させる前にレベルを上げようと思って、もろもろのサブイベントをこなす。グレイグとホメロスのエピソードに泣く。『ドラクエ』大好きだけど、実は『ドラクエ』で泣いたことはない。パパスが死んだときも泣かなかったし、みんなが泣くという『7』のゼボットとエリーのエピソードでも泣かなかった。てっきり自分には人の心がないのかと思っていた。

だけど、ホメロスには泣かされた。思いがけず初めての体験である。たぶん僕は日陰を生きている人の嫉妬とか苦悩にめちゃくちゃ弱いんだと思う。根っからの日陰者。

魔竜のたましいを集めるために、ひたすらギガデーモンを倒しまくる。僕は『ドラクエ』においてストーリーを攻略するより、こういう地味なレベリング作業がいちばん好き。スタメンは、主人公、グレイグ、マルティナ、ベロニカ。わかりやすい火力重視。主人公が幼なじみのエマと結婚するイベントがあることを攻略サイトでちらっと見てしまい、ショックを受ける。正直、出だしでちょっと絡んだだけのエマに何の思い入れもないので、結婚するならマルティナとしてほしかった。エマ、なんか重いし。お守り、何の役にも立たないし。

気づいたら12時間くらいプレイしていた。レベルも順調に上がって主人公はレベル85に。同じ12時間のあいだに主人公の人生にはたくさんのイベントが起きて、こんなに成長したのに、僕の人生と来たら本当に何もないなと改めて我が身を顧みることになった。

とりあえず人の家のタンスを勝手に開けるような図々しさを身につけたら、もうちょっと人生は変わるのだろうか。

気づいたら明け方の3時くらいになっていた。買ってきた鉢底石にはまったく手をつけていない。切りっぱなしのサンスベリアの葉から怨念じみたものを感じてきたので、いい加減ちゃんとしようと思い、鉢に土を盛り、葉を挿してみた。本当にこれで根が生えるのだろうか。1〜2ヶ月くらいしたら結果がわかるそうだけど、失敗している予感しかしない。

でも、ぶっちゃけこれでサンスベリアがまた成長しても、家の中がサンスベリアだらけになってしまうので、あんまり望んではいない。じゃあわざわざ葉挿しなんてしなければいいのにと思いながら、こうしてちょっとでも人生にかわりばえを残そうとしている自分の浅ましさに気づくのだった。

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