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カナダで生まれ育った娘の日本国籍離脱体験

読者のたむらしろうさぎさんリクエストの、「在外邦人として日本での手続きや銀行での経験」を書くシリーズ。

今回は、娘が日本国籍を離脱(カナダ国籍を選択)した体験を書きます。

日本は重国籍を認めておらず、出生その他で複数の国籍を持っている人は、成人前に重国籍になった場合は成人後2年以内に、成人後に重国籍になった場合はその日から2年以内に、いずれかの国籍を選ぶよう法律で決まっています。

娘の場合は、ルール通りにすれば22歳になるまでに選択することになっていました(今は日本の成人年齢が18歳なので20歳になるまで)。

詳しいルールはこちらをどうぞ⇒法務省:国籍の選択について

私は実家の売却に際して、不動産手続きに必要な書類を取得するため、日本領事館に行くしかなくなったので、ついでに娘の国籍離脱もすることにしました。

この記事で、その経過を書きます。


この記事が役立つ人

・私と同じ境遇の人(まずいないと思いますが)
・国籍法に強い関心を寄せる人(こちらも、さほどいないと思いますが)

できれば、誰かの役に立つ記事を書きたいと思っているので、周囲に似たようなことで悩んでいる人がいたら、この記事のことを教えてあげてください。

娘の背景

先日、書きましたが娘は1996年にカナダで生まれました。

カナダは出生地主義のため、カナダ国内で生まれた子供には自動的にカナダ国籍が付与されます。

従って、娘は誕生したときにカナダ国籍を得ました。

カナダ国籍だけでよかったら、日本国籍を取る必要はありません。

しかし、私は妊娠の記事にも書いたように、夫を100%信頼していたわけではなく、この先、日本に帰って子育てする可能性もゼロではないと思っていました。

そこで、日本領事館に行って、娘が日本国籍を取得する手続きもしました(出生届を出すだけで、そんなに難しくありません)。

この時点で娘は重国籍になりました。

選択しない人もたくさんいると思う

国際結婚などで海外で生まれた子供で、重国籍の人はたくさんいるだろうし、成人したあとも、国籍を選択しない人は多いと思います。

重国籍でいることはまず日本の関係部署に見つからないし、見つかったとしても、いきなり国籍が剥奪されることはありません。

法務大臣が催告をして、しかるべき時期までに国籍を選択しないと、日本国籍を失うこともある、と言われているだけです。

しかも、この「催告」は国籍選択制度が1985年に生まれてから、一度も行われておらず、この法律によって、日本国籍を失った人は1人もいないそうです。

こちらに書いてあります⇒国籍選択制度について

実際、領事館の人も、「届けを出さなくてもとくに罰せられるとかそういうことはありませんよ」と言っていました。

正直、国籍離脱届を出すのは面倒だし、お金もかかります。だからほっておく選択をする人も多いでしょう。そもそも、そんなこと、全く気にしていない人もいるでしょう。

でも、私は娘にカナダ国籍を選ばせました。

娘に国籍を選択させた理由

では、なぜ私は、そんなめんどくさい、国籍の選択を娘にさせたのか?

理由は以下です。

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