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ジョン、ごめんね~お断りのメールを出す。

来月入居する家は、カヴィという人が所持する一軒家のベースメントです。

ベースメントは「半地下」で、部屋の上のほうは地面より上なので、日光が入ります。

しかし、今回はベースメントの話ではありません。

ジョンの物件

カヴィのベースメントを借りることが決まる前に、実は、ジョンという人が所持する家のベースメントを借りるつもりでいて、部屋を押さえてもらうために、500ドル支払っていました。500ドルを支払うことに関する契約(アグリーメント)に、お互い、サインもしています。

家探しを始めたのが、3月29日(グッドフライデーで祝日)。この日、娘の家に行き、娘のノートパソコンを使って、一緒に探しました(主に探していたのは私の私設秘書である娘だったことは言うまでもありません)。

Rentfasterという物件探しをするサイトで、娘がいくつか候補を見つけた中に、娘の家から徒歩20分の物件がありました。

私は、「ああ、もうここでいいや」と思い(まだ家探しを始めて、1時間ぐらいしかたっていないけど)、「ここにするからこの人にメッセージ送っといて」と娘に言いました。

ただ、この物件は家賃がとても高かった・・・。

あまりに高いので娘は強く反対し、どんどん機嫌が悪くなりました。

「なんでママは、いつも最初に見つけたものにしてしまうの? もっとしっかり探さなきゃ」。

確かに私は決断が早いというか、あれこれ調べるのが面倒というか、一番最初に見たものに決める傾向があります。

でも、この物件は、娘の家にとても近い。歩いて20分ですから。こんな近い物件は他にはない! それに2021年に建った家だから新しいし、設備も整っている。

家賃より、娘の家に近いことのほうが重要だったので、「とにかく、ここにするから、連絡しといて」と娘に頼みました。

すると、話はとんとん拍子にすすみました。

ジョンに500ドル支払う

娘とジョンは電話で話をし、翌週の火曜日には、家を見に行き、私は、アプリケーションその他を提出して、それをジョンが審査して入居が決まり、4月2日には、ダメージデポジットの一部である500ドルを彼の奥さんの口座に振り込みました。

この500ドルは返金不可です。

500ドルは、日本円で5万円と考えてください。実際のレートを適用すると、円安のせいで、もっと高くなりますが、私の体感として、1カナダ・ドル、100円です。

とにかく、500ドルは安くはないお金ですから、ジョンは私が入居すると思ったでしょう。私もそう思っていました。

でも。

4月6日の夜に、たまたまFacebookで娘がもっといい物件を見つけたんです。

なんとこの家は娘の家から徒歩3分。しかも新築でジョンの物件より家賃が250ドル安い。ジョンのと同じコンセプトの物件で、インフィルのデュプレックスのベースメントです。

インフィルのデュプレックス

インフィル(infill)は、広義で言えば、既に開発された都市部の空き地や未利用地を開発すること。

従来なら、一軒家を建てるには狭すぎる場所に家を建てたりします。スペースがないので、2階建て以上になることが多く、四角いビルっぽい外見です。

デュプレックスは一軒家を2つにしたもの(こんな説明でわかるでしょうか?)で、真ん中の壁を互いの家が共有しています。

名前のとおり、2世帯が入居できますが、ベースメントも人が住める形ならば4世帯入居できるので、その場合は、フォープレックスと呼ばれます。

インフィルに建てたデュプレックスは、メインフロア(階上)は2階建て以上にし、スペースを確保しますが、ベースメントは狭いままです。かなり狭いです。

娘はファイスブックの広告で見たベースメントの持ち主、カヴィにコンタクトを取り、5日後の11日に、2人で部屋を見に行って、その日の午後、アプリケーションを提出しました(その晩が、アプリケーションの締め切りだった)。

結局、4月21日(日)の夕方にカヴィの物件への入居が決まりました。

私「ジョンに断りのメールいれなければ」
娘「そうだね。でも、24日の午前中に、リース契約にサインしてから、メールしよう」

先日のつぶやきにも書いたとおり、24日の昼前に賃貸契約書にサインをし、その後、娘の家に戻って、ジョンにメールを書きました。

前置きが無駄に長かったですが、ここから、お断りのメールの紹介です。

断りのメール

私は、私より英語が得意(というか英語ネイティブ)で、diplomatic(如才ない、という意味)な娘にメールを書いてもらいました。以下がその日本語訳です。

ハロー、ジョン

残念なことに、私の状況において思いがけないできごとが起こり、私はもうあなたの部屋に入居することができなくなりました。

ご迷惑をかけ、しかも、直前の連絡で申し訳ありません。

契約をホールドするために払ったデポジットの500ドルはお返しいただかなくてけっこうです。

これまで、あなたとB(ジョンの奥さん)と取引できて、光栄でした。新しいテナントが早く見つかりますように。ご不便をかけて本当にすみませんでした。

敬具

筆子

娘が書き上げたあと、「えいやっ!」とばかりに送信ボタンを押しました。

娘は、「どうしよう、ジョン、怒るかもしれない。でも、いいよね、ジョンってさ、あのデュプレックス全体を持ってるから、少なくとも3件から家賃が入るし、ほかにも物件、開発してるし」。

そうなのです。ジョンはまだ若いのに(20代後半から30代前半と推測)、デュプレックス全体を所有しており、自分の家もあり、ほかにも物件があるらしいのです。

私が入居するつもりだったデュプレックスは、ジョンが土地を買って、人に貸しだすことを明確に意図して、自分でデザインして、なんだったら、自分で建てたっぽい家です。

しかも、本業がパワーエンジニアでよく夜勤をしています。

その後も、娘は、ジョンがどんな反応をするかおびえていました。娘は、ジョンと電話で話をしたとき、私の身の上をべらべらとしゃべったそうです。「ママの社会保険番号も知っているから、悪用されるかも」、などと娘は言うのでした。

「でも、500ドル払っただけで、契約してるわけじゃないから、べつにいいんじゃないの? 入居すると思っていたテナントが、入居しなかったなんてことは、彼のビジネスではよくあることで、想定内のできごとよ、だからこそ、先に500ドル請求してるわけだし」。

こう言って、私は娘を元気づけました。

ジョンの返事

えいやっとメールを送信した翌日の木曜の朝早く、ジョンから返事が届きました。

ヘイ、筆子

それは本当に残念です。このニュースを聞いて残念です。僕たちはあなたをお迎えすることを楽しみにしていました。

状況がうまくいくといいですね。

物件の広告をまた出します。確かに、直前の通知で、部屋を貸し出せることができる日まで1週間もないため、5月1日までにテナントを見つけることはできなさそうです。だから、アグリーメントにあったように、いただいたデポジットはお返ししません。

これからうまくいくことを祈っています。もし将来、家が必要なときは、遠慮なく僕たちに連絡してください。いろいろな物件がありますし、サイズも豊富で、大半のニーズにお応えできます。デュプレックス全体、ガレージスイート、ベースメントなど。

敬具

ジョンとB(ジョンの奥さん)

私が、「ジョンっていったいどんだけ物件持ってるの? そんなに不動産あるなら、エンジニアとして働く必要、なくない?」と思っていると、娘からメッセージが来ました(ジョンと私のやりとりは、ジョンの奥さんと娘にも届くようになっている)。

「私なら、すぐにジョンにお礼のメールを書いて、それで終わりにする、あの人、すごくいい人だもの」と、娘は、きのうとは打って変わった態度で言うのでした。

「じゃあ、また文面考えてよ。そのまま送るから」。

娘が考えた文面を一箇所だけ変えて送ったメールがこちらです(送るまえに、一応 Grammarly でスペルチェックをしたら、1つだけ、直された)。

ハロー、ジョン

いろいろありがとうございました。直前の連絡になったこと、いくらお詫びしてもお詫びしきれません。私も、あの部屋に入居することを楽しみにしていました。すぐにテナントが見つかることを祈っています。

ほかの物件について知ることができてよかったです。情報、ありがとうございます。

あなたと赤ちゃんの幸運を祈っています。

敬具

筆子

ジョンとBの間に、4月に初めての子供が生まれたところだったので、娘は赤ん坊のことを付け加えたようです。

それにしても、娘はジョンの物件の家賃が高いことや、先に500ドル徴収したこと、ジョンの物件のまずいポイントにすごく憤っていたのに、メールでは、そんなことはおくびにも出しません。

私は正直なので、こんなメールを書くことができませんが、よい人間関係を保つためには、嘘を書くのも礼儀の1つなのだと学びました。

*ジョンとカヴィの物件比較は別の記事で書きます。そんなもの、誰も読みたくないかもしれませんが。

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