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クルトガダイブ取説

クルトガダイブとは?

シャーペンの弱点をを解決すべく考えられた三菱独自のクルトガエンジンと自動芯繰り出し機構を与えられたシャーペン。
偏減りしない様に芯が回転し尖り続け、ノックする事なく自動芯出し機構によりガイドパイプが紙に触れる事なく芯が出続ける。
思考することに集中する、まさにメーカーのコピー
『思考に深くダイブする』
 為に生まれたシャーペンです。
皆さんが手に入れたいと争奪戦を繰り広げるのもわかります。
たーだー……
誤解を恐れずに言うと、クルトガダイブは、結構使い方の難しいシャーペンです。

クルトガダイブの難しさ

クルトガダイブは、写真のようにペン先に芯の繰り出し機構の調整ダイヤルがあります。ここを使用用途に合わせて結構調節する必要があります。

操作はシンプルなのだけど…


ここの調整でキッチリ合わせていかないと、思っていたのと違うシャーペンになってしまいます。つまり高いだけの見た目も芋なシャーペン。おっとクルトガダイブが滑った。

440画で1繰り出しという事実

例えば、数字や記号を書く時と、文字を書く時とでは芯の減りが変わるのでその時々で調整しないといけません。文字といえばアルファベットと平仮名、カタカナ、漢字でも違います。

なぜそんなことになるのか。
それは『一画の長さが違う』から。

クルトガダイブは、クルトガエンジンの回転運動を利用して芯の繰り出し機構を動かしています。クルトガエンジンの回転は、ペン先がついて離れるまで、つまり一画につき9°回転します。つまり40画で一回転。
クルトガダイブはエンジンが11回転した時に一度芯が繰り出されるので440画で1繰り出し。

さて、ここからが大切な事なのですが、クルトガダイブと言えど、所詮クルトガエンジンを積んだアナログなペンです。一画を長く書こうと短かく書こうとペン先をつけてから離すまでが一画というのは変わりません。点描画で点を100回打つと100画ですが、100mの直線を延々と引っ張ったとしたら、それは一画です。クルトガダイブは『芯が減ったら自動で芯を繰り出すペン』ではないのです。
『440画書いたら空気も読まず、アホみたいに言われた通り芯を繰り出すペン』なのです。
だから発売当初はイラスト描く人から不評の嵐が巻き起こりました。

クルトガダイブは楽ちんAT車ではなくスーパーカー

繰り出されないor繰り出しが早い…etc
三菱が、『どの芯で』『どれくらいの筆圧で』『なにを書く』のを標準としているのかが不明なので、とにかく調整するしかありません。

まず筆圧。これ、日によってめちゃくちゃ変わります。なので今日は芯の繰り出しが全然短い、あるいはめっちゃ長いという事が当然起こります。
繰り出し調整の範囲を超えてしまった時、そういう時は諦めてノックするか芯を縮めるかしないといけません。縮める時など、普通のシャーペンより不便なので理不尽さすら感じます。なので様子を見ながら書き手の力を強くしたり弱くしたりと調節しましょう。この時点で思考に深くダイブ出来なくなりますが。

さらに、調整しても繰り出しが不安定な(あるいはシビアな)事が多いと感じる人は、芯の選定が間違っているかもしれません。

シャーペン芯も、メーカーによって特徴的があるので同じ硬度でも硬い・柔らかいがあります。ここでドツボにハマる方が続出した様です。芯選びの注意として、
・Twitter等の情報を鵜呑みにしない!
・人と自分は違う事を自覚する!
・思い込みは捨てる!
この3点を心掛けましょう。

「ダイブの芯は何を使ってますか?」という質問。愚問です。他人のセッティングと自分のセッティングが同じとは限りません。
貴方のベストを探すのです。

「〇〇がこの芯で良いって言ってたのに、どうして僕はダメなんだろう」
〇〇と貴方は違うから当たり前です。
貴方のベストを探すのです。

「俺は濃い書き味の2Bの芯しか使わないんだよね」
一般に手に入るメーカーの2B全てを試してダメだった場合にクルトガダイブを諦める覚悟があるなら、こだわりを持ち続けるのは構わないですが、硬度を変えて其の中で濃いめの芯を探す道もあると思います。
貴方のベストを探すのです。

そんなこんなで芯も決まり、やれやれと思っていると、今度は紙で減りが変わります。
めっちゃ減る紙、そうで無い紙。
ノートを変えるたびにさっきの芯選定プロセスの繰り返しです。
私はツバメノート、コピー用紙、脳スッキリノートと3つの紙を使いましたが、それぞれ芯選びを行いました。それくらい芯の減りが違うのです。
この頃になると、一体自分は何をしているのかという思考に深くダイブしていく様になります。
買って家に帰ってキャップを外したらすぐに思考の世界にダイブできると思っていたら、その為の準備が鬼畜過ぎる…。
車で10分のコンビニに行く為に暖気をし、オイルを見て、水温を確認し、アイドリングが安定してから走り出せるスーパーカーに乗る様なもんです。

繰り出し機構の調整はMIDがベスト。どうしてもダメな場合にはその一つ下(MINとMIDの間)で丁度いい感じに合わせるのが良いと思うのですが、使用する紙とそれにハマるシャー芯を選ぶのがかなりキモ。
(因みにどうしても合わない時は、繰り出しが間に合わない方がマシです。ノックすれば良いだけなので。最小にしても繰り出しが長い場合は、芯が硬すぎます。硬度の見直しが必要かと思います)

そうやって調整が済めば、文字種が変わっても、書き続けられる可能性が高いとは思います。

とにかく、芯の選定と使う紙とのバランス。
これが決まるまでの時間を延々とかける事ができる人にはいいシャーペンだなと思います。

工業製品資料としての価値は抜群(ただし初代と二代目に限る)

特に初代は世界限定5000本で、表面の塗装もそれ以降とはまったく違います。
擦り傷等の小傷に対して自己修復する塗料を使っています。さらに、芯が尖り続けてノックも不要という機能を初めて形にした工業製品として資料的な意味合いは大きいと思います。
あと二代目も本数は非公表ですが限定生産でした。
パッケージも初代・二代目とはそれ以降は違いますから。
ですから(何度も言いますが、資料的な)価値という面で初代と二代目はチヤホヤされるのは仕方ないかと思いますが、それ以降のプレ値は意味がわかりません。
初代なんて全然売れなくて普通に割引で買えたのに…。
沖縄の置物、すごい影響力です。

因みに私は、二年程初代と二代目を使いましたが、今は全く使っていません。
箱に入れられて引き出しの奥へ放り込まれています。
だって鉛筆に勝てなかったので…。

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