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利益とリスク、どちらも片手落ちにはできません。[利益とは何か #11]

利益とは、(中略)リスクに対する保険料であり、経済活動の基盤となるものである。リスクに対する相応の用意のない社会は、自らを食い潰す貧困化する社会である。

企業とは何か』第Ⅳ部 産業社会の存在としての企業
第11章 生産活動の目的 p215より


利益、組織が生み出せるもので、組織のものである、という認識を持ってしまっていました。
でも今回の引用では、「リスクに対応する相応の用意のない社会」となっています。
利益が社会に対しどのように影響を与えるか、利益に対する認識を改める必要性を感じました。

「リスクに対応する相応の用意がある社会」であるということは、利益を生み出せない組織は淘汰されるべき、とも見ることができるのではないでしょうか。

さらに、佐藤先生の解説を引用していきますね。

「ドラッカー教授は、『現代の経営』でリスクの語源がアラビア語の「今日を糧を稼ぐ」であることを示し、企業が日々の糧を稼ぐのはリスクをとることによってであると明言しました。リスクと利益は同根、兄弟関係にあることを理解してください。」(『実践するドラッカー【利益とは何か】』p25)

「経営者(manager)と企業家(entrepreneur)を区別し、不確実性の中で新たなものを生み出す存在が企業家であることを示しました。」(『実践するドラッカー【利益とは何か】』p26)

リスクを負う決断ができるからこそ、利益を生むことができる、ということだと、わたしは読んでいます。

ドラッカー先生はリスクを考えるとき、大きさではなく性格を考えろとおっしゃっています。
①負うべきリスク
②負えるリスク
③負えないリスク
④負わないことによるリスク

リスクだからとはいえ、負ってはいけないものばかりではありません。
負うべきリスクもありますし、負わない選択をするからこそより大きなリスクを被ることがあります。

このリスクを負うことで、社会に対しどんな影響を与えるか、という視点で考えると、リスクの性格が見えてくるのではないでしょうか。


負うべきリスクを取るために利益をあげていたことで対応できた事例として、1990年のイトーヨーカ堂による米国サウスランドに対する救済措置としてのM&Aを思い出しました。

この事例を知ったとき、堅実経営をしていれば、分家であるイトーヨーカ堂が本家の買収が成立するのか!? と思ってしまいました。
イトーヨーカ堂が国内にフランチャイズ展開していたセブン・イレブンのイメージを守るために実行されたM&Aだそうです。
これができたのも、利益を十分に確保し未来への投資ができる状態を維持していたからこそ、セブン・イレブンのお客様の利便性をも守るためにリスクを取ることができた、ということではないでしょうか。
大きな決断ができる経営者は、顧客のメリットを考えるからこそ、大きな決断ができるのかもしれないですね。

当時の関わった方々の心中をおもんばかることは難しいことです。
詳細は、論文をご確認ください(;^_^A
倒産と再建の経営史 ―― セブン―イレブン,Inc.(旧サウスランド社)の事例研究 ――』(川辺信雄 早稲田商学第 397 号 2003年6月)


リスクを取る、ということは言うほど簡単なことではありません。
もっともっと掘り下げていきたいテーマでもあります。
過去のデータに基づいて意思決定をする限り、リスクを取ることも、より大きな利益を得ることもできないでしょう。
明るい未来を大きく描くから、リスクの性格を考えたうえで、組織の利益、社会の利益を取るために意思決定し、事業展開していけるのだと思います。
利益を取るからこそ、リスクに対する備えとしての利益も必要になってきます。
社会に対して生み出すべき利益を考えてリスクを取っていけば、その行動に対し顧客、ファンがついてきてくれるのかもしれませんね。
チャレンジャーには、チャレンジャーのことを深く強く愛するファンが生まれますもんね( *´艸`)

あなたが考えるリスクの性格は、4つのうちどれに当てはまりますか?
負うべきリスクを取るために必要な利益はどのくらいですか?
負うべきリスクを取ることで、社会にはどのような変化がありますか?
社会にどんな変化を与えるために、どんなリスクを取りますか?
なぜ、そのリスクを取ることで、社会に変化が起きるのでしょう?


実践するドラッカー【利益とは何か】』 
chapter1 「利益」とは何か p25 #11


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サークル始めました♪
負うべきリスクかぁ……


実践するドラッカーシリーズは、膨大な数のドラッカー先生の言葉を選りすぐり、5つのテーマ別にまとめられた書籍です。
編著者の佐藤等先生は、札幌を中心に全国各地でドラッカーの書籍を中心に読書会を開催されてきました。
ドラッカー先生の言葉と佐藤先生の解説が1セット、そこかしこに「今のあなた」に必要な言葉が散りばめられています。
佐藤先生の解説は、ぜひそれぞれの書籍で確認してください(*^ω^*)
ここではわたしが感じたことをお伝えしていきます。
自ら考え、決定し、行動するあなたのためのドラッカー、一緒に探してみませんか?

[利益とは何か]は、ミッションからスタートする<5つの質問>というツールを使いこなせるようになることを目的に書かれています。

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