見出し画像

本当に怖いのは、緊縮財政による供給毀損である

今回は、皆がよく述べている話を私なりに取り上げてみようと思います
同じような話になるので、敢えて取り上げてこなかった面があります
よく理解されている方は、流し読みで良いかと思います


1944年以降、貨幣は米ドルを基軸にしたドル本位制になりました
1944年、ブレトン・ウッズ会議にて、金と米ドルの交換比率を1オンス35ドルとして、米ドルと各国通貨の交換レートを固定する固定為替相場制となりました
その後、1971年に米国は、米ドルと金の交換を停止します(ニクソン・ショック)
固定為替相場制から変動為替相場制へと移行しました
これを機に、世界は「管理通貨制度」となっています

公会計と、民間会計や家計(家計簿)などを混同させるマインドコントロールが今もしきりに続いています…が、現代の貨幣制度は金本位制ではありません

国民から徴税した税は、政府預金に入り、それは国庫短期証券と相殺されます
国税に関し、税は財源ではありません

※↑上記は、よく知られている反緊縮派の基本的な理解だと思いますが、一方でMMT派は、徴税と同時に通貨は消滅、破壊されると述べています
税は財源ではないという点や、政府支出の大切さに関しては一致していると思います

政府支出が先(スペンディングファースト)です
※国債、政府短期証券にて資金を調達します

また民間銀行と違い、通貨発行権を有する日銀(中央銀行)は返済能力を失わないため、破綻することはありません

各国、政府負債が増加していますが、政府負債は裏を返せば民間の資産です

例えば、日本の政府負債をなくそうと民間企業や国民から徴税という形で没収すれば、政府負債は確かになくなりますが、同額、民間企業と国民の資産は減少します
こうしたことを行うと、企業はバタバタと廃業し、連鎖倒産を引き起こし、失業者が溢れ、国内の供給能力の毀損から悪性インフレ起こし、経済は実質的に破綻してしまいます

貨幣は、労働によって生まれるのではなく、中央銀行が発行して生まれています

市中に出回ったお金をある程度徴税しないと、需要と供給はバランスを崩します
ビルトインスタビライザーをもって格差の拡大を防ぎインフレ率を調整します→ そのために徴税が必要…ということです

日本が各国と比較して相対的に衰退しているのは、対外比で政府支出増加率が極端に低いためです
政府支出増加率を上げることで、日本の債務対GDP比率は改善します(分子の債務と分母の名目値が同額増えると、計算上必ず改善します)
多くの緊縮財政派が間違えているのがこの点で、政府支出をケチって分母の名目の値を増やしてこなかったことが、債務対GDP比率の悪化を招いているのです
※また、債務対GDP比率の数値が悪いことは=民間の貯蓄率の高さも示しています

※注)国家財政と違い地方自治体において、地方税は財源は国債ではなく税が財源となっています
※補足 消費税は直接税、うち2.2%は地方消費税(地方税でも、消費税は目的税ではなく普通税に分類されています)
※この点は、地方交付金をより増やしていくことが大切です
地方の衰退は、国の地方への緊縮的な財政政策、その規模の小ささによって加速してきたといって過言ではないでしょう

日本は変動為替相場制、自国通貨発行権を持っています
政府負債の殆どは海外への負債ではありません
共通通貨でもなければ固定為替相場制でもありません
適切な支出を行う限り、財政破綻はしないのです

本当に怖いのは積極財政で政府負債が増えていくことではなく、このまま緊縮財政を継続し、政府支出をケチり供給能力を失くしていくことです
供給毀損は、悪性インフレに陥り易い脆弱な国家に成り果てます

一昨年9月に豪中銀が事実上の債務超過を起こしています
その際、豪ドルの動きが示したものは興味深いです
※私は当時リアルタイムで豪ドルを注視してました
通貨発行権を持ち、十分な供給能力を維持している国の債務超過は、為替に影響を与えないことをリアルで体感出来ました

私達は財政均衡主義、財務省や御用識者、御用経済学者に騙されないよう注意しなければなりません

歳出の何割かは税収で賄うべきとする「ペイアズユーゴー原則」財務省がねじ込み、法的拘束力の無いもの、いわば原理主義化した宗教のようなものです

現代は管理通貨制度です
もう、とっくの昔に金本位制度ではないのです


※供給能力に関して

供給能力が支出の制約であるという点は、あくまで現時点では正しく、また半分はそうだと断じられない側面が在ります
ここで、少し先の未来を考えてみたいと思います
AIの飛躍的な進歩や、産業ロボットによるピッキング、パッキング等の技術の向上、進化によって、飛躍的な生産性の向上が予測されています
これらの技術に対する投資によっては、その供給能力の上限が上がっていくと考えられています
第四次産業革命に関する視点を加えて置きます


付録

アルゼンチンの財政破綻の主因は、ドル建て国債に起因する
アジア通貨危機、ブラジル通貨危機然り、ドル建て国債の返済が出来なくなったことが主因

ロシアの財政破綻の主因は、ドル建て国債に起因
固定為替相場制(ドルペッグ制)な点、ドル建て国債の返済が出来なくなったことが主因

ギリシャの財政破綻は、自国通貨ではなく共通通貨(ユーロ)によるもの
この場合、ギリシャの負債は他国への負債ということになる

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?