見出し画像

岩手を訪ねて#2 「アメニモマケズカゼニモマケズ」

お昼過ぎ、盛岡城址から盛岡駅前に戻り、新幹線で新花巻にいくことにした。
新花巻には宮沢賢治記念館や注文の多い料理店を模したレストランが存在する。
特段、宮沢賢治が好きだったわけではないけれど、なぜだか気になってしまった。
盛岡駅から新花巻は新幹線で10分。ただし、本数は1時間に1本。
記念館の閉館時間を考慮しても、次の13;30発には乗りたいので、1時間で昼ご飯を食べることにした。
小学生の時に食べたぴょんぴょん舎の冷麺かじゃじゃ麺を食べたい。
駅前にじゃじゃ麺のお店を見つけ、入店。
盛岡じゃじゃ麺の中を注文。
その間にホテルへ荷物を取りに行き、新幹線のチケットをスマホで購入。
お店に帰ると丁度、じゃじゃ麺が席に届いていた。
美味しそう。沢庵が沢山乗っている。

青いニンニク


この時ばかりにニンニクを沢山入れて食べる。ちなみにすりおろしたニンニクは参加して青くなるらしい。
最初着色料を入れているのか?と驚いたが、むしろ普段のチューブの永遠に白いままのニンニクの方が添加物ということだ。
また1つ知識を得た。

じゃじゃ麺を食べて、新幹線で新花巻へ。
新花巻駅は小さな駅だ。
駅の待合室に花巻ゆかりの野球選手コーナーがあり、つい長居してしまった。
大谷や菊池のユニフォーム。
山川穂高も大学が岩手で、ゆかりがあるらしい。
タクシーで記念館に行くこともできたが、私は雪の中を歩きたかったので、30分かけて記念館まで歩くことにした。
肌に突き刺す寒さがたまらない。
道のところどころに注文の多い料理店のイラストや地元の小中学生が書いた銀河鉄道の夜のイラストが飾ってある。
山道を少し歩くと、記念館が見えた。

丘の上まで歩く


宮沢賢治が目指したユートピア”イーハトーブ”を再現した童話村や賢治の学校も行きたかったが、時間が足りないため、記念館のみ訪問した。

いやあ、よかった。
訪問客は私含め4.5人。ネットでは想定時間1時間と書いてあったが、しっかり2時間見てしまった。
内容は宮沢賢治作品の原画はもちろん、賢治の人生年表や人生に関わった関係者の紹介、そして賢治の興味を持った分野の内容が掲示されている。
今まで自分は宮沢賢治は作家くらいの基本情報しかしらなかった。
幼稚園の時にアメニモマケズの朗読をしたりとか。(幼稚園の教育方針に含まれていた)
実際、宮沢賢治は宗教、農業、自然、天候、宇宙、音楽、様々なことに興味があり、それらの知識が作品に反映されている。

丁寧なイラスト。本当に興味が尽きない人だ。


セロ弾きゴーシュしかり。
また、初恋の相手が中学生の時に入院した担当看護師だったり、浄土真宗の信者だった父親と賢治自身は日蓮宗を信仰していたため対立し、親子喧嘩など、微笑ましいエピソードもあり。
何というか、偉人だけど、その素朴な人柄が身近に感じられた。
宮沢賢治は生前注目を浴びることはなかった。
死後、草野心平らの尽力により、作品が知れ渡る。

花巻中学で教師をした後に農家のために尽くしたいと農家への支持や支援を行う。
(花巻中学時代は岩手県内の小岩井農場でフィールドワークをしたり、学生のの生活が楽しく、とても生き生きと働いた楽しい期間だったと口述していた)
自分の中で文豪のイメージは常に作品や執筆活動に捧げていたイメージがあるので、教員や理系分野にも知見や興味があることは意外で、より賢治に魅力を感じてしまった。
と同時に、今自分がしている仕事は興味もないし、生活のために仕事をしているが、今後の自分の活動や興味に影響してくるかもしれないと思い、少し興味を持って頑張りたい気力がわいた。
それこそ、自分の書く文章が良くなる一助になれば嬉しい

そんな感じで、仕事へのモチベーションや人生への目標が薄くなっていた自分にプラスの影響を与えてくれた。
また、記念館から見える雪を被った山が美しくて、壮観で、雄大で。

丘から見える景色


何かを成し遂げないといけない。結果を残さないといけない。
と焦っていたけれど、自分の存在はちっぽけで、悩みだってちっぽけなもので。好きなように生きたらいいか、と少し達観した気分になった。
来場ノートに賢治への感謝の気持ちを連ねて、退館した。

現代を生きる私たちは恵まれすぎていて、昔は情報もないから知ることのなかった同世代の実績や存在を知ってしまう。
勝手に自分と比較して、落ち込む。
けれど、賢治記念館に来て、大きな偉業を残さなくても、周囲の人のために自分の知見を還元して、それで幸せを感じたらそれでいいじゃないか。
と気づくことができた。
少し遠いけれど、今後も自分の人生の中で焦燥感や不安を感じたら、ここに来ると思う。
宮沢賢治が見た景色をみて、自分自身を見つめることができる。
縁もゆかりもない花巻だけど、不思議と心が落ち付いた。
そんな場所を見つけられたことが嬉しい。

17時過ぎに花巻を後にして、仙台で下車。
お土産と仙台牛のハンバーグを食べて、東京駅へ。
今回の東北旅は祖母に、後輩に会うことができたし、岩手のすばらしさを知ることもできた。
休館日のため見ることのできなかった、原敬生家や新渡戸稲造の記念館、岩手ではないけれど、古川の吉野作造記念館も行きたい。
祖母にも年に1度は会いたいですしね。

どうしたって、有名なところや映えスポットに行きたくなってしまう。
けれど、歴史や先人たちから学べるものは大きいし、結局は人間皆同じで、偉人だって、何百年前の人だって、現代に生きる私達と同じような悩みを抱えていたんだから、解決の糸口やヒントをくれる。そう思うんですよ。

※館内写真は許可されており、掲載しています。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?