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弁護士だって就活は情報戦

法科大学院生は司法試験が控えているものの、規模の大きい企業法務事務所に入ろうと思えば、2年生の夏と春、3年の夏は自分の志望する事務所のインターンに行って、早い段階で事務所との相性を確かめる必要があります。
だいたいは司法試験後に正式な就活が始まりますが、早いところは司法試験前から内々定を出すようなところもあります。

そして、大手の企業法務弁護士を志す法科大学院生にとっては3年夏が勝負どころになってくるため、周りの会話も自然と就活の話になってきます。
「〜は募集始まったよ」とか、「〜が〜からインターン採用メール来たらしい」とか、一般の就活生みたいな話題で盛り上がります。

僕も企業法務を志す学生なので、3月になったら逐一志望してる事務所のサイトをチェックして、応募可能になっているかを確認していました。優秀な人から順番に採用していく形式を取っていると思われる事務所もあるので、応募可能になってから1週間以内には出すように心がけていました。
ちょうど3月の時期はまだオリンピックが延期になるか分からず、強行開催の話も出ていたところで、コロナが世界中で猛威を振るってる状況だったため、「自分が就活をするときにはむちゃくちゃ不景気になってて採用人数が減らされてしまうかもしれない…」と友人間で話になったため、怖くなって大量にインターンを申し込みました。

本当は15個申し込み、2〜3個受かればそれでいいと思っていたのですが、12個申し込んだ時点で8個から連絡をいただいたためこの時点で申し込みをストップしました。

一方、僕と同じくらいの成績を有している友人は6~9個申し込み、1~2個しか通っていませんでした。

もちろん申し込んだ数に違いはあるのですが、同じ成績で、正直いえば僕よりも語学面等で優秀な友人との間でこれだけ差があるのはなぜなのか疑問に思っていましたが、12個のESを書き、5つの面接を受けてきた中でこういう視点を持つのが重要じゃないかと考えたので共有しようと思います。
一般の就活では当たり前のことかもしれないですが、僕たち法科大学院生にはこの視点を持って就活するだけで大きくリードできると思います。

*今から書くのは、成績や語学力をアピールするというのは当然の前提とします。

1.興味のある法分野
2.ガクチカ
3.時事ネタを混ぜる。

1.興味ある法分野

必ずと言っていいほど聞かれる内容なのですが、これまでの面接を通してよく聞かれるのは、①どうして興味を持ったのか、②どういうイメージをその法分野における実務に対して持っているか、③その法分野の実務について何が知りたいのか、という点でした。
事務所側が興味のある法分野を聞くのは、その学生がどういうことをしたいのかを知るため、事務所の相性を確認するためで、実際にインターン生として正規採用した場合にどのパートナーの先生と引き合わせるべきかを考えるための資料となるからです。


四大のような大規模事務所でのインターンの場合、大量の学生を採用し、その学生にそれぞれパートナーの先生を割り当てる傾向にあります。このとき、興味のある法分野で、全く違う法分野をいくつもあげると、事務所側としてはその学生をインターン生として採用した時にどのパートナーの先生に割り当てればいいのかわかりづらくなり、結果として「選びづらい学生」となってしまいます。
したがって、興味のある法分野は、事務所側が「選びやすい学生」となれるよう、1つか2つに絞って書くべきです。
このとき、最低限の準備として、上記の①〜③の内容についてどのように答えるかを準備しておくべきです。


特に、②については、その分野の魅力に惹かれた側面を強調しつつも、影となる部分(書類作成に膨大な時間がかかる、依頼者から感謝されづらいなど)についても言及し、そのような影の部分を知った上でもその法分野に関わりたいことを示すべきです。
なぜなら、夢みがちのことばかりを話していると、その法分野について十分に調べられていない、興味の程度はそれほど高くないと判断される可能性があるからです。実務でどのようなことを行っているのかについて、僕は、「ネットで調べる」「ジュリストを読む」、「SNSで弁護士の先生をフォローする」、「OBにあう」ということをしていました。


③については、なかなか難しいですが、インターン生として採用された場合にその学生が何をしたいのかを事務所側にイメージさせやすくするために、つまり、面接した学生がインターン生として事務所に訪問する様子をイメージしやすくするために、できるだけ具体的にやりたいことを伝えるのがいいです。
もっとも、あまり具体的にしすぎると、「うちではそんな案件ないな」と思われる危険もあります。なので、具体的にする程度の塩梅が非常に難しいのですが、案件のプロセスのみを具体的にする形で説明すれば、このようなことは起きにくくなるかなと思います。

2.ガクチカ

どうやら一般の就活では常識となっているらしい、「ガクチカ(学生時代に特に力を入れていたこと)」は法科大学院生にとっては耳慣れない言葉です。僕もようやく知るに至りました。
ガクチカは学部時代に予備試験に受からなかった人や、成績があまり良くない法科大学院生にとっては重要なアピールポイントです。実際に集団面接に参加した際、法科大学院生のガクチカの内容は、学部時代に司法試験以外に力を入れていた人が非常に多いので、多種多様のエピソードが登場しました。
このとき、エピソードの強さ(ビジコンで優勝した、帰国子女、別の国家資格を有するなど)で勝負するのが一番わかりやすいのですが、そうでなくても勝負することはできます。
その時意識すべきなのは、「その経験から何を得たのか」という点です。いくらエピソードが強くても、その経験から何を得たのかを説明できないと、事務所側は評価しづらくなってしまい、結果として印象に残らないためです。
たとえば、会社の立ち上げを経験したというエピソードを持っていても、そこから何を得たのかを話さないと意味がありません。このとき、なにを得たのかという点について、自分がどういう人間なのかという話も混ぜると、なぜその経験からそれを得たこととなるのかがわかりやすくなりため、事務所側に自分のガクチカの趣旨を納得してもらいやすくなります。

イメージとしては以下の図の通りです。

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3.時事ネタ

時事ネタはあまり聞かれることはないのですが、もし聞かれた時にごまかすことができないので、何個か用意して行ったほうがいいです。特に、最近あったニュースに加えて、自分の興味のある法分野に絡めたニュースをあらかじめ調べておくと、質問された時に対処できます。答えられる人と答えられない人との間で大きく印象の点で差がつくところなので、準備しておくに越したことはないと思います。

さいごに

一般の就活をしたことがある人からすれば、当然のことで、今更こんなことを、、、って思われる方が大半かと思いますが、法科大学院生は社会から隔離された中で勉強しているため、こういう点について十分に意識しながら面接をし、ESを書けている学生は正直かなり少数だと思います。
僕もやっていく中で気づいただけなので、どこかで仕入れた知識というわけではないのですが参考になれば幸いです。
現在進行形で就活中(予定では75期)で、知識不足な点も多々あるのですが、これからも頑張っていきたいと思います。

それでは!

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