独断と偏見による、カメラメーカーのユーザイメージ

 インターネット黎明のころ、パソコン通信のBBSへの書き込みした方からその当時どんな雰囲気だったかを聞きます

photo(83/108) 93/09/07 00:54 独断と偏見による、ユーザイメージ
キャノン   革新的、新しいモン好き、オート崇拝主義、
       高級レンズに限り、純正主義
       TVで紹介されるカメ○小僧はなぜかこのユーザが多い
ミノルタ   家庭的、ヘルパー店員の口車に乗った人
       財布のヒモが硬い、マシンの限界までは決して使わない
       ほとんどの人がシノヤマキシンのサポートメーカーで
       あることを知らない。
ニコン    封建的
       ニコン崇拝主義、完全純正主義、島国根性
       アナクロニスト、仕事で使うから仕方がない
       中東で、ストラップを腕に巻きつけて撮影して
       いたカメラマンが腕ごと強盗に切り落とされたりする
ペンタックス 庶民的、中学生御用達、レンズはほとんどサードパーティ製
       中古屋めぐりの鬼、熱狂的ファンの一部プロ
       花の写真があるかぎり安泰(ぉぃぉぃ)
       意外な事に輸出は好調。アメリカ高校生御用達。。。
オリンパス  学術的、センセイ御用達。白衣が似合う
       顕微鏡アダプタは必須アイテム
       ファイバスコープアタッチメントも必須
       時代のアウトロー
       メーカーもユーザも修理慣れ(こらっ)
リコー    刹那的、コピー機契約した時のオマケ
       新聞社御用達突撃用ワンタイムカメラ
       ペンタックスのレンズが装着可能ゆえのボディ費用節約
       (しかし、ペンタックスレンズのラインナップはすでに
        ガタガタ)
       ペンタックスユーザのサブカメラ
コンタックス 独善的、本物がわかる人、見栄張り
       ドイツ製と思いきや、国内メーカーのOEMと知り落胆
       なぜかサードパーティー製のレンズを付けてるおまぬけ様
       趣味以外にはケチな金持ち
                   あくまで個人的意見ということで

1993/9 BBSの書き込み より

 1993年9月、たくさんのカメラメーカーが競い合って製品開発をしていたようです。統廃合が進み、現在生き残っているメーカーは僅かとなりました。コピー機契約した時のオマケにカメラが付いてくるとかは今でもあるのでしょうか。

■現在のメーカー別カメラファンの傾向とわたくし

まぁ1993年の話とはいえ、なんという若気のイタリアーノ。こんなのはカメラ雑誌の読者コーナーに出したところでボツ確定なのは自分でもわかっていたので、辺境の草の根BBSで偏見だけで書き散らしたものなんだよな。当時、twitterがあったら火だるまになる所であった、危ない危ない。

書いてある事自体は、地面に穴を掘ってその中に喚き散らしている事だから、さしたる意味もないんだけど当時は一般的に使えるデジタルカメラすら登場してなかったし、概ねオートフォーカスのフイルム一眼レフが主流となっていた時代背景ということは頭においてもらいたいところ。

あ~あ、あれから30年。カメラ業界はどうなったのだろうか。2000年初頭までにはデジタルカメラがフイルムカメラを圧倒し始め、2011年にはデジタルカメラの出荷台数ベースで隆盛を極めたものの、スマートフォンの影響でコンパクトカメラの市場は無残な程に食われてしまった。レンズ交換式を含めた総出荷台数ですら、現在は1/10となってしまっているのだ。

利益が取れていたレンズ交換式一眼レフも、2013年にソニーによる35ミリフルサイズミラーレス機α7の登場により光学ファインダーを搭載するレフ機の市場が食われてゆき、10年しないうちにキヤノンもニコンも「レフ機は新規開発を凍結」してミラーレス機に注力する有様である。購買層が先鋭化したことにより価格帯も上振れするという、過去のカメラ趣味に先祖返りしたような有様だ。

そのような現代において、各メーカーとそのファン層はどうなったであろうか。ディストーションした認知をもとに書いていこう。

キヤノン

 あいかわらずである。企業規模や体力にモノを言わせた開発やマーケティング対応により現在でも製品力はトップクラスといえる。

 客層も新しいモノ好きが多いが、人気はSONYと二分しているかも知れない。カメコのユーザーは相変わらず多い。

 高級レンズ崇拝というか、利益率の高い高級レンズしかラインナップしなくなってしまった。エントリーユーザー向けもあるにはあるが、露骨なまでにコストダウンやしょぼくしているのはフイルム時代と変わらないなぁ。


ミノルタ

 カメラから撤退し、2006年にソニーに事業委託することに。オートフォーカス一眼ではキヤノンすら押さえて独走していた時代もあったのに、ハネウェル訴訟で賠償金165億円を支払うことになったのは有名な出来事。フイルム一眼レフの商品性も独自路線に走り出すも、新規客は同じ値段ならキヤノンが選ばれる実態に。

 レンズ交換式デジタル一眼レフへの参入遅れがほぼ致命傷で2003年にコニカを経営統合してコニカミノルタとなるも2006年に早々とカメラから撤退。カメラどころかフイルムからも撤退。あっけない終焉であった。 

 一説にはα-7 DIGITALの発売後に「正直、勝たせて頂いたかなと思っている」と”任天堂の倒し方教えます”級の名言をぶちあげたのがフラグだったと囁かれている。そして結果はかくのごとし。

 ファンは不安を抱えながらもソニーに期待するのであった。
 

ソニー

 ミノルタからカメラ技術を買い取ってミノルタのαマウントに準拠したデジタル一眼レフを開発販売して責任をきちんと果たす。

 2013年に発売された35ミリフルサイズミラーレスα7がエポックメイキングとなりミラーレス一眼の市場をやがて独占し、従来の一眼レフ機を事実上駆逐することになった。

 動画機能の充実によりプロ市場にもすんなり参入。そりゃ、報道用機材でも実績ある会社だから当然だよね。

 メーカーの知名度によりユーザー層もプロやマニアから初心者まで裾野を広げることに成功。キヤノンと人気を二分する存在だけど、特にアマチュアファンが多いかな。


ニコン

 デジタル一眼レフで一定の地位を築くも、ミラーレス機の参入遅れが痛手となっている。ソニーに遅れること5年程でようやく35ミリフルサイズミラーレスを発売。

 超絶光学性能を追求したレンズは殆どにおいて鬼価格になったが、APS-Cサイズの廉価機種も用意してユーザー確保し、フラグシップZ9の受注好調とようやく格好がついてきた感じ。

 かつての威光はとうに消え失せたが、客層は相変わらずである。年寄りが召されないと変わらんのか。廉価機種で新規客をどこまで掴めるかが今後の課題。


ペンタックス

 フイルムカメラの時代から一眼レフの動体追尾AF能力やレンズラインナップなど商品力が弱く、一線から後退しはじめていた。一時期ダイヤル操作のクラシック感に回帰して盛り返すも大勢かわらず。

 2000年に早々と35ミリフルサイズデジタル一眼レフの開発を発表するもあえなく頓挫した。(2016年にK-1として実現)

 2007年にHOYAの子会社となったが、すったもんだしたあげく2011年、かつて(カメラにおいて)格下扱いしていたリコーに買収されて後に子会社化した。まぁ、某国に事業を売り飛ばされてKマウントの起源を主張されでもすると厄介なので、ずいぶんマシな決着だろう。

 35ミリフルサイズの機種も存在するが主力はAPSCサイズのデジタル一眼レフでミラーレス機への参入は現状発表されておらず、企業体力的にも開発は困難と思われる。

 生き残り戦略として一眼レフにこだわったクラフトマンシップな製品作りを目指すという。それはいいけど645に力を入れればいいのに……フジに負けてしまうぞ。

 販売量が減ったことにより大型店舗流通から事実上撤退し独自のファン獲得戦略に乗り出している。量販店から隔絶されたゆえか現代ではもっともコアな客層といえるかも知れない。悲壮感からか卑屈で攻撃的になる人もちらほらいる。この既視感はフルサイズ出ていなかった時代のニコ(略)

オリンパス

 フイルム時代はAF一眼の開発に事実上失敗し、デジタル時代になって一定の実績をあげたものの、小型センサーサイズ機に特化したことでフルサイズ機の廉価化に対抗できず、さりとて、性能確保のため極端な小型化やレンズスペックの緩和もできなくなった。

 もちろん超望遠の小型化については利便性において極めて有効ではあったもののそこまで要求しないユーザー的には「コスパが悪くなって」販売減少、高価格化のスパイラルに陥った挙句に2020年に事業売却して撤退となった。とはいえ、マイクロフォーサーズとしての利点もあり事業譲渡後に初となるフラグシップ機の販売好調でまずは高価格・高性能化で再起を目指している。

 野鳥や昆虫撮りユーザーからは一定の支持があるがファン層に孤高感がみられる。

 かつては高額な顕微鏡を何台も導入するとカメラもついてきたことがあるけど、その顕微鏡事業すらも手放すとはなぁ。


リコー

 かつてはレンズマウントでペンタックスから嫌がらせのような仕打ちを受けたように見えて不憫だったけど、前述のようにリコーが居なかったらペンタックスは色んな意味で”飛んでいた”可能性が高い。

 フイルム時代はAF化の波に乗らず1995年で一眼レフから一時撤退するが、コンパクトカメラでの存在感は維持しており1996年の高級コンパクトカメラGR1で新たな価値観の創造に成功。現在のデジタルカメラ版でもGRシリーズは今なおプレミアム的な地位を維持している。

 客層もあえてリコーのファンといえば概ねGRのファンでありペンタックスファンと分けて語られる事も多い。もうコピー機を契約してもカメラくれなくなった。
  

コンタックス 

 ライカと分かつ高級ブランドの雄として、かつてはヤシカ、次いで京セラが事業展開したが、2005年にカメラから完全撤退。

 2002年に世界初の35ミリフルサイズデジタル一眼レフN1 DIGITALを出すも、当時の水準は600万画素。ボディもレンズも高価なうえに電源の取扱いがデリケートで成功したとはいいがたく、そこから3年で早々と店じまい。フイルム機も含めて爆散となった。

 中古品に対するコアなファンはいまだ居るんだけどレアな存在であろう。ツァイスのレンズはマウントアダプタで他メーカーのミラーレスに装着されてしっかり生きている。

 
ライカ

 なんだかんだ、デジタル化してもファンがついてくる。最もブランド化というものに成功したのではなかろうか。M型ライカの基本構造やデザインが比較的単純な故に独自のデジタル化を果たす。

 2009年のM9はフルサイズセンサーなので、こちらの方が元祖フルサイズミラーレスデジタルと言えるのかもしれない。

 とりあえず格好つけたければ札束叩きつけてライカ、なんだけど昨今は特に絶版レンズについて投機商品化しており、わけがわからない事になっている。
 
フジ

 元々フイルムメーカーでありカメラメーカーやレンズメーカーでもあった。フイルム一眼レフは1980年代に撤退するものの、写ルンですは言わずもがなの大ヒット。
 
 ニコンからボディ供給を受けてデジタル一眼レフ商品も展開して写真館用途にも存在感があった。
2011年からは(フルサイズに対して部品原価数分の一である)APSCサイズのセンサーでレンズ交換式のミラーレス一眼システムを展開し、センサーサイズの変更なく現在も一定の地位を保っている。

 35ミリフルサイズを目指すどころか中判のGFXシリーズ(最高1億画素)を出して画質でブン殴る路線も開拓し、金持ってるカメコ御用達の一つとなっている模様。

パナソニック

 フイルム時代にはナショナルブランドで細々とコンパクトカメラを作っていたものの、デジタル時代になってから強みを生かしてLUMIXブランドで一定の地位を築く。

 オリンパスと同じくマイクロフォーサーズ規格の一眼レフを展開する一翼であったが、フォーマットの不利をライカブランドレンズを用意して補う商売のうまさで切り抜ける。

 実は2008年に世界初のミラーレス一眼カメラを出しており、現在はフルサイズミラーレスのSシリーズまで展開するに至る。これはライカ提唱の共通マウントでライカSLシステムのレンズも使えるお大尽機だ。

 どうしてここまでオリンパスと差が付いた……まぁ、ソニーと同じく放送機材の雄でもあるので地力が違うのかねぇ。
 

BBS書き込みした方による現在のコメント

 インターネット黎明のころの草の根BBSももりこみつつ、いろんなエピソードをつめこんだ「ちょっと偏ったインターネット老人会へようこそ」を同人誌として頒布予定です。
参加予定イベント
 11月6日 おもしろ同人誌バザール@神保町2022秋
 11月20日 第七回技術書同人誌博覧会

同人サークル BLACK FTZやってます twitter @black_ftz

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