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シリアから撤退するとき

https://realclearwire.com/articles/2023/11/24/time_to_drawdown_from_syria_994730.html

ガザ紛争の影響もあり、シリアとイラクに駐留する米軍は
10月上旬以来、イランの支援を受けた民兵から50回以上攻撃を受けた。
少なくとも56人の軍人が負傷した。
これに対し、米国は報復空爆を開始し、約900人の増派を行った。

この軍備増強は間違った動きだ。
実際、アメリカはシリアから軍を撤退させる時期を過ぎている。

なぜ完全に撤退するのか?
答えは簡単だ。
シリアに駐留する少数の米軍は、
特に、任務を継続するコストが戦略的利益を
はるかに上回る任務を支援するために、
さらなる攻撃を受ける格好のカモになっている。
最近の攻撃は、このコストと利益のミスマッチを浮き彫りにしている。
これらの事件は、
米国の政策が軌道修正されなかった場合の
潜在的な危険に対する警告にもなるはずだ。

米軍
は2015年、ISISのカリフ制国家と戦うためにシリアに派遣された。
今日、領土的なカリフ制国家が消滅して久しいとはいえ、
ISISとの戦いが公式の任務であることに変わりはない。
米軍の非公式な任務には、
イランのいたずらや影響力を抑止することと、
アサドによる戦争終結を阻止することの2つがある。

実際、これらの任務の現実的、潜在的なコスト負担は、
戦力を縮小すべき理由の一助となっている。

第一に、
ISISはほぼ一掃された。
カリフ制国家は2019年3月、約5年前に敗北した。
グループの復活を阻止することは重要だが、
この目的を達成するために米軍が地上にいる必要はない。
現地のアクター(なかでもクルド人とトルコ人)と、
地平線の彼方から活動する米軍を組み合わせれば、
十分な仕事ができるはずだ。

イラクとシリアに駐留する米軍は、
ISIS以外のイスラム主義テロリストからも攻撃を受けている。
9.11が私たちに教えてくれたことがあるとすれば、
私たちが軍隊や基地をその範囲内に駐留させなければ
私たちに危害を加えることができないようなグループを
追いかける際には、行き過ぎた行動を避ける必要があるということだ。
要するに、もし私たちの軍隊が
シリアやイラクにいなければ、
今そこで攻撃を受けることはなかっただろう。
シリアに永続的に駐留することに
米国の重大な利益がないことを考えれば、
それは撤退の理由であって、
留まる理由ではない。

第二に、
シリア内戦はすべて終わった。
アサドの勝利だ。
米国が支援する和平交渉は、
政権を転覆させるための大規模なダマスカス侵攻なしには実現しない。

第三に、
シリアに駐留する米軍の抑止効果は、
せいぜい疑わしいということだ。
つまり、米軍は正当な理由も明白な理由もなく、
危険にさらされているということだ。
まず、アサド政権が米軍の拠点である
シリア北東部(主にアル・タンフ)を取り戻すことが、
なぜイランにとって何らかの利益になるのかが明確でない。
アサド政権は親イランである。
しかし、アサドは2011年のシリア内戦開始以前から
この地域を支配していた。
支配権を失ったことでアサドは多少痛手を負ったが、
イランは痛手を負ったのだろうか?
そうでもない。
少なくとも、現在の米軍の命に関わるリスクを
正当化できるほどではない。
アサドがこの地域の支配権を回復しても、
地域のパワーバランスには影響しない。

さらに心配なのは、
最近の米軍への攻撃は、
米軍による抑止効果が薄れている可能性が高いことを示していることだ。
これは当然のことである。
小さな部隊(米国はシリアに約900人の部隊を駐留させている)を使って
大きな成果を上げるという安直な抑止は、
長期的には機能しないことが多い。
最終的に敵は、
自国の政治的野心を拡大する手段として、
敵が攻撃する格好の標的になる部隊を紙の虎と見なすようになる。
これは、1983年の海兵隊兵舎爆破事件によって
レバノンで241人の海兵隊員が死亡したような
悲劇的な結果を招きかねない。

米軍の安全保障は、
その規模の小ささゆえに、
米軍への補給線を守るトルコ、イラク、現地のクルド人勢力に
ほぼ全面的に依存している。

その依存性とともに、
米国がシリアに政治的解決を強引に押し付けようとしないことは、
イランとその代理人たちに抑止力ではなく
弱さのシグナルを送ることになる。
1983年のレバノンのように、
今日の米軍は特に危険な立場に置かれている。

米軍がレバノンで攻撃を受けたとき、
レーガンは戦争に踏み切らず撤退するという賢明な決断を下した。
バイデンはこの教訓を胸に刻み、シリアから部隊を撤退させるべきだ。

少なくとも、イラクの米軍基地に部隊を引き揚げるべきだ。
そうすることは撤退ではない。
むしろ、レーガンの決断のように、
米国の国益と部隊を同時に守る戦略的に賢明な部隊の再配置なのだ。

午前6:11 · 2023年11月27日


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