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4/3ウクライナ・ロシア紛争の流れを時系列に分かり易く説明

Kan Nishida@KanAugust

投稿日:2022年 4月 3日(日)18時46分26秒

Kan Nishida@KanAugust
ウクライナ・ロシア紛争の流れを時系列に分かり易く説明

4/3 12:20
「キエフじゃなくてドンバス、最初も今もこの後も。」
これがロシアの一貫した戦略で、
現在恐ろしいほど効率的に駒を進めています。

しかし、西側メディアのプロパガンダのせいで
現実が見えにくいので、この戦略をまとめてみます。

正義、悪とか関係なく、あくまで戦略の話です。

まずロシアのゴールは?
ロシアは開戦時、停戦の条件として以下の6つを挙げた。

1. NATOに入らないことを保証、
2. 非軍事化
3. クリミアをロシア領と認める
4. ドンバス地域の2国(ドネツク、ルガンスク)を独立国として認める
5. 政権からネオナチの追放
6. ロシア語を第2公用語に戻す

ここから、まず最初の軍事的ゴールは
東部のドンバスの制圧または「解放」です。

しかし、戦争が始まってみるとウクライナ各地に攻撃が開始され、
キエフに向かってロシア軍進軍があったので、ウクライナ全体の占領か!
と、私を含む多くの人が勘違いしてしまいました。

しかし、ロシア軍のゴールはぶれていません。(今のところ)
ドンバス地域の制圧またはウクライナ軍からの「解放」です。

次に、ロシア軍に課された制約条件を見てみましょう。

まずは軍隊の規模。
ロシア軍はウクライナ軍よりも規模は大きいが、
ウクライナへの侵攻に送るのはロシア軍全体の一部なので、
規模(人員)で劣るロシア軍は規模の大きなウクライナ軍と
戦わなくてはならない。

20万人(ロシア)vs. 60万人(ウクライナ)

次に、補給線、ロジスティクス

ロシアからドンバスを経てクリミアまでつなぐ間の補給線、
軍隊の移動を確保する。
そのためには、途中にある都市マリウポリを陥落しなくてはいけない

さて、みなさんが軍師であればどうしますか?

ドンバスに軍を集中的に送りますか?

それとも?

ロシア軍は
ウクライナ軍の主力を首都キエフや北部、東部、南部のそれぞれの都市に
閉じ込め、ドンバスにいる最大規模のウクライナ軍を支援できなくする
という戦術をとりました。

まず開戦早々、ウクライナ国内の補給線、制空権、コミュニケーション、
長距離ミサイル網などを破壊
結果、ウクライナ軍はそれぞれの軍隊の間のコーディネートが
できなくなった。

3月27日の時点では
529のタンク、1177の軍備装甲車、160のコマンド・通信用のレーダーが
破壊、空軍と海軍消滅
そしてそれぞれの地域での作戦が始まる。

北部:
キエフをロシア軍で囲い込むことで、
ウクライナ軍は首都防衛のために動けなくなった。

赤:ロシア軍支配
青:ウクライナ軍抵抗エリア

ハリコフも同じ。

比較的小さい規模のロシア軍隊によって包囲され、
ドンバスでの戦闘地であるクルマトルスクなどにいる
ウクライナ軍に支援物資を送れない。
ドンバスでの戦闘を支援できない

南部:
ロシア軍の開戦早々の猛攻のためウクライナ軍は内部に退いた。
その間にヘルソン、ザポリージャの一部まで占領。
オデッサ沖のロシアの陸海軍はウクライナ軍を釘付けにした。

東部:
ウクライナ軍はドンバス地域に6万から10万人の大規模の軍隊を配置。
ロシア軍はここに集中攻撃をかけて、
この軍隊をマリウポリに向かって動けなくした。

そうこうしているうちに、マリウポリ、ヘルソンが陥落したことにより、
ロシアからクリミアへ陸でつながる補給線、軍事網の構築完了。
これにより、ロシア軍の軍事作戦、第1フェーズは終了


つまり、北部と南部のオペレーションは、
東部のドンバスをウクライナ軍から「解放」または「占領」するために、
追加のウクライナ援軍を寄せつけない、
そしてロシア軍のロジスティクス確保のための作戦

そして現在すでに第2フェーズ
北部のキエフ、チェルニヒウ、スムイ、ハリコフ地域は、
これまでの軍事作戦の成功により、
より小さい規模の軍隊でこれまでと同じ規模のプレッシャーを
ウクライナ軍に与え続けることができる
そのため、ここからロシア軍はドンバス地域に向けて移動。

南部も同じ。
東部のマリウポリはすでに陥落したので、
このロシア軍部隊もドンバスへ振り向けることができる。

現在、ウクライナ中のロシア軍が、
ドンバスの「解放」と東部に残っている6万ほどのウクライナ軍の
壊滅のために向かっているとのこと。

こうして見ると、ウクライナ軍はまったく善戦してない
全てはロシアの戦略通りであり、
ウクライナは逆に確実に追い詰められている
ウクライナはさっさと停戦しておけば、有利な条件で生き残れた

しかし、今となっては、すでに遅すぎる

すでにロシアは当初のゴールのいくつかを達成しかかっているので、
停戦するモチベーションはない

3. クリミアをロシア領として公式に認める
4. ドンバスの2国の独立の承認

そして、現在のフェーズ2がロシアの成功に終わると、
この地域にいるウクライナ軍が壊滅してしまうことになる
それはウクライナ軍そのものの崩壊に繋がる可能性もあるだろう
もちろんそれは現政権の崩壊もしくは降参を意味するだろう。

ウクライナがロシアが最初に提示した停戦の条件を受け入れるか、
入れないか、それはどうでもよくなりつつある。
というのも、ロシアはすでに目的達成に向かいつつあるから。
要求はもっと厳しくなるのでは?

こんなに恐ろしいほどロシア軍は戦略を実行中であるにも関わらず、西側のメディアは相変わらず、
「ウクライナ軍の抵抗が激しい、キエフを攻めきれないロシア軍は弱い、
すでに撤退し始めた、戦略が崩壊、プーチンは病気」などなど、
いい加減な情報ばかり。

例えば、こちらの記事を読んでみて下さい。

https://yomiuri.co.jp/world/20220402-OYT1T50225/

一見ロシアが撤退し、ウクライナ軍が前進している
という印象を受けがちな記事ですが、
ロシアの戦略を理解している人には、ロシアが前進していることを確信できるような記事です。
yomiuri.co.jp
ロシア、キーウ近郊の空港から撤退…ウクライナ軍前進「30か所が管理下に戻った」 :
国際 : ニュース【ジュネーブ=森井雄一】
ロシアによるウクライナ侵攻で、米CNNは1日、
露軍が首都キーウ(キエフ)近郊のアントノフ国際空港から
撤退したと報じた。英国防省の2日の発表によると、
キーウ周辺では露軍の撤退に伴い、ウクライナ軍が

いつも事実を追求することが重要です。
そのためにはゴールや戦略といったものを理解することが
重要だという話でした。

元アメリカ軍海兵隊、イラク大量破壊兵器の国連主任査察官の
スコット・リッター氏とグレブ・バゾフ氏の解説を参考にまとめました。




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