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全知全能の米ドルは下落に転じるか?

BRICS同盟は多極的な世界金融システムを求めている

SEPTEMBER 5, 2023 PHILIP GIRALDI
https://www.unz.com/pgiraldi/is-the-almighty-us-dollar-about-to-take-a-fall/

8月23日は世界中で大きなニュースとなった。
西側メディアはこの日の出来事について、
ロシアのプーチン大統領が
元同僚のエフゲニー・プリゴジンを殺害したジェット機の破壊工作や
撃墜の背後にいるという、確証のない主張に集中した。

しかし実際には、南アフリカではもっと重要なニュースが流れていた。

実際、プーチンはその日、
アメリカのドル覇権剥奪を進展させたいという願望から、
はるかに重要な仕事を抱えていた。

プーチンはヨハネスブルグで行われていた、
いわゆるBRICS通貨同盟の拡大に関する議論に
ビデオリンクで参加していた。

もしプーチンが、BRICSの会議と同じ日に、
ライバルの壮大な暗殺に関与していたら、
その目的は大きく損なわれていただろう。
もしプーチンが本当にプリゴージンを殺したかったのなら、
もっと政治的ダメージの少ない方法があったはずだ。

一説によれば、プリゴジンの死は、
米国か英国の諜報機関がロシア国内のウクライナの諜報機関と協力して、
ロシアの指導者の信用を失墜させるために仕掛けた
飛行機爆弾によるもので、たとえ彼が無実であったとしても
殺人の責任を問われることを知っていた。

BRICSという名前は、
ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの頭文字に由来する。

ゴールドマン・サックスのエコノミスト、ジム・オニールが
2001年に(南アフリカを除いた)BRICsという言葉を作り、
その数年後にこの頭文字を使ってグループが設立されたと言われている。

最近では、完全に回避可能だったウクライナ戦争の結果、
BRICSを拡大しようという動きが勢いを増している。

信用、融資、通貨と資本の発行、経済の成長と発展のための力、
プロジェクト・ファイナンス、そして世界の人々の衣食住に
必要な資本の流入で競争力を維持するために、
グローバル市場でIMFと世界銀行に対抗できるのは、
現在のところ限られている。
そして米国はそれを知っており、金融システムを支配することで、
各国を政治的に牽制している。

BRICSの銀行モデルは、
複数の通貨と融資制度を持つ多極化した世界を基盤としており、
IMFが維持する世界的な銀行独占という制御不能な怪物に代わるものを
提供している。

だからこそ、新しい金融モデルを国連に求めていた132カ国は、
2015年に具体化し始めたBRICSの代替銀行・融資構想に
すぐに希望を見出したのである。
最初の1年で、
57カ国が中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に正式に参加し、
欧米のブレトンウッズ機関から初めて完全に脱却した。

BRICSが現在の形になったのは8年ほど前のことだが、
ウクライナ戦争の勃発をきっかけにBRICSへの関心は爆発的に高まった。

1年半あまり前、米国は
ロシアのウクライナ介入に対応するため、
国際銀行システムに対する支配力を行使し、
ニューヨークの銀行にある数十億ドルの凍結を含め、
モスクワの世界中の金融資産に制裁を科した。

ある推計によれば、1兆ドルのロシア資産が凍結され
ロシアの銀行は金融機関を結びつけ、
迅速で安全な支払いを促進する
SWIFTグローバル・メッセージング・サービスへのアクセスも拒否された。

その後ワシントンは、凍結された資金は返還されず、
ウクライナの復興に使われると発表した。

イランやベネズエラの資産に関しても、
アメリカはすでに同様の行動を取っていたのだが。

ロシアのような大国にできるなら、
私を罰するために私にもできるのではないか?
私はどうすればいいのか?

もちろん、単純な答えは基軸通貨としてのドルから脱却することだが、
ほとんどのエネルギー売買が取り決めによってドル建てで
行われ続けている以上、それは難しいことだった。
だからこそ、BRICSはドルから脱却し、
さまざまな通貨での金融取引を認めるようになったのだ。

BRICSパートナー国ビジネスフォーラムの年次総会が、
8月21日から24日にかけて南アフリカのヨハネスブルグで開催された。
会議の主催者である南アフリカ共和国のシリル・ラマフォサ大統領は、
アルゼンチン、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、
アラブ首長国連邦がBRICSに正式に加盟することを発表した。

新たに加盟する6カ国は、
2024年1月からBRICSの正式メンバーとなる。

BRICSは現在、
ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカで構成されているが、
その他にもイギリス、フランス、ドイツ、イタリア、
ニュージーランド、オーストラリアなど、
銀行特権を享受しているメンバーは多い。

ヨハネスブルグで開催されたサミットでは、
BRICSの拡大が望ましいという議題が終始上位を占めた。

来年、BRICSの輪番議長国に就任するロシアのプーチン大統領は、
ビデオリンクを通じて出席者に語りかけ、
サミット主催者のもてなしと成功への貢献に感謝した。

中国の習近平国家主席は、
ブラジル、中国、インドの首脳と同様に首脳会議に出席し、
地政学的、経済的、貿易的な問題について幅広く話し合った。

習主席はグループに対し、BRICSの成長を背景に、
"中国は歴史の正しい側にしっかりと立っており、
正義の大義は共通の利益のために追求されるべきであると信じている "
宣言した

また、「覇権維持に執着するどこかの国が、
わざわざEMDC(新興市場・発展途上国)を
機能不全に陥れようとしている」と、
間接的に米国を糾弾した。

彼は、発展途上国を罰したり封じ込めようとする試みは
「無駄」だと主張し、「BRICSに代表されるEMDCsの集団的台頭は、
世界の情勢を根本的に変えつつある......

(過去20年間、EMDCsは世界の成長の最大80%に貢献してきたのだから)」と述べた。
さらに、「20カ国以上がBRICSの門を叩いていることをうれしく思う。
中国は、BRICSの協力メカニズムにさらに多くの国が参加することを
望んでいる。"

複数の通貨を受け入れるBRICSの多極的な銀行モデルと、
その新開発銀行を通じて利用可能な資源は、
明らかにその時期が到来した概念であり、
米国が現在シリアやベネズエラで行っているような、
経済を破壊し国家全体を貧困化させる制裁を通じて
世界を支配しようとし続ける中、
その加盟国は今後数年間で急増する可能性が高い。

サミットの閉会文書で、出席者たちはアメリカの制裁を間接的に攻撃し、「一方的な強制手段の使用に懸念を持つべきだ」と述べた。
ウクライナにおけるNATOの戦争活動を支援するために、
一次的、二次的制裁を行使して、
その気がない国々を強制しようとするアメリカの試みには、
発展途上国の多くで特に強い憤りがある。

BRICSは、すでに世界最大の経済大国となるかもしれない
中国のリーダーシップや、急成長する先進国のロシア、ブラジル、インド、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、イランのコミットメントなど、
成長に伴う一定のメリットを享受している。

拡大したBRICSには、世界全体のGDPの36%(G7より大きい)と
世界人口の47%が含まれている。

BRICS加盟国は間もなく
世界のエネルギー資源の半分近くを掌握することになり、
早ければ2024年にベネズエラ、アルジェリア、カザフスタンが
新メンバーに加われば、世界で取引される石油とガスの90%近くを
掌握することになるかもしれない。

新たに加盟を申請した国は40カ国にものぼると言われている。
バチカンもオブザーバーとして加盟を希望している。
(これは、プーチンは認めないだろう。
フランス・マクロンの参加も当然、拒否した。)

BRICSの台頭は、
少なくとも米ドルが
石油・ガスの取引と販売における相対的な独占を失うことを意味する。

それによってドル経済の優位性は必然的に薄れ、
ドルは世界一の基軸通貨として確実に衰退していくだろう。

しかし、ラテンアメリカのように
米国が政治的・経済的に大きな影響力を持ち続けている地域では、
ドルは間違いなくその地位で存続し続けるだろう。

米国経済と米国市民にとって、どのような結果になるのだろうか。

計算するのは難しく、予想通り否定的な意見もあるが
ドルの価値が下がり、消費者に打撃を与えることは避けられない。

議会で中国に対するパニックが起きているのは、そのためでもある。
中国は軍事的な脅威はないが、世界的には米国と競合しており、
BRICSやその他のメカニズムを通じて、
米国や西欧のモデルを決定的に否定する、
非常に競争力のある魅力的な経済同盟の主導国となっている。

もちろん、米国は長い間採用してきた強圧的な経済政策を
緩和することで対応することもできるが、
ジョー・バイデンやドナルド・トランプが
そのような道を選ぶことを示唆するものはほとんどない。

しかし、ジョー・バイデンもドナルド・トランプも、
そのような道を選ぶとは思えない。
彼らがどのような誤った道を歩もうとも、その代償を払い、
苦しむのはアメリカの消費者と納税者である。

そして考えられる究極の恐怖のシナリオは、
「米国はドルを守るために
BRICSに対して核武装することを"強いられる "のだろうか」
というものだ。

ワシントンを支配している権力狂のネオコンや
グローバリストの言うことを真に受けてはいけない。
ご期待ください!

フィリップM.ジラルディ博士は、
中東におけるより利益に基づく米国の外交政策を追求する
501(c)3税控除可能な教育財団(連邦ID番号#52-1739023)である
国益評議会の事務局長です。

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