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6/15もっとひどくなる金融危機    いま進行中の世界的なインフレの原因は、米国や中国など流通網のボトルネックの詰まりが続いていることと、欧米が対露経済制裁としてロシアからの石油ガス穀物など資源類の輸入を急減する自滅策をやった結果、石油ガスや穀物などが急騰しているためだ。

投稿日:2022年 6月15日(水)20時36分11秒

もっとひどくなる金融危機
2022年6月15日  田中 宇 


いま進行中の世界的なインフレの原因は、
米国や中国など流通網のボトルネックの詰まりが続いていることと、
欧米が対露経済制裁としてロシアからの石油ガス穀物など資源類の輸入を
急減する自滅策をやった結果、石油ガスや穀物などが急騰しているためだ。

今のインフレは通貨政策と関係ないから、
米連銀が利上げしてもインフレは止まらない。

米政府がインフレを止めるには、
流通網を精査してボトルネックを解消していくこと、
ロシアに対する自滅的な経済制裁をやめること、
中国敵視もやめて米中経済分離を緩和させていくことなどが必要だ。

米連銀は米政界から加圧されており、インフレがおさまるまで緊縮を続けると言っているので、今後もインフレの悪化が続く中で利上げとQTの緊縮策もずっと続き、不況とインフレが同時に起きるスタグフレーションが
加速する。
そして今後もそれが続く。
株や債券は今後さらに下がる。

米欧や新興市場の市民生活はインフレと物不足、食糧難がひどくなる。
ウクライナをめぐる米露対立は来年にかけてずっと続くので、
石油ガス穀物など資源類が世界的に高騰・不足し続ける。
インフラ網の不備もひどくなって米国では今夏、
大規模な停電が予測されている。

今夏は世界的に「飢餓の夏」にもなる。
とはいえ今夏が最悪の時期ではなく、秋以降は全般的にもっと悪くなる。
その中で今年11月に米議会の中間選挙でバイデンの民主党が大敗し、
両院の議会多数派を共和党に奪われ、米国は決定不能な政治的なねじれ状態になり、すでに当事者能力が低下している覇権運営が今よりもっと滞る。

マスコミ権威筋は米国などの経済について「今はまだ不況でない」と言っているが、同時に「来年はいずれかの時点で不況になる」とも予測している。
つまり権威筋から見ても、来年までの間ずっと経済や金融が悪化し続けるということだ。
今すでに金融危機なのだから、来年にかけて事態はどんどん悪くなる。

米国の平均株価S&P500は、現時点で最高値から22%下落した
(4818から3735)。
不況入りは最高値から4割の減価になるので、来年にかけて、
まだあと20%近く下落する計算になる。

これから金融危機が進んでいくと、ドルの基軸性の喪失が露呈して
逆にドル安の傾向になっていく。
そうなると、日銀の超緩和策を理由とした円安と、基軸性喪失のドル安の傾向が打ち消し合い、円安が進まなくなっていく。

世界的に今年はもう金融相場の改善・反騰は見込めない。
良いのは金資源本位制が成功しつつあるロシアのルーブルぐらいだ。
米国のQTが進むほど、QE資金が抜けていき、石油やガスの相場の抑止力が失われて高騰する。

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