理想の恋愛 対話編

比較的若い法律家と、法律に疎い若手経営者との、いわゆるマッチングサービスで、マッチングしたということであった。
『若い』とは言っても、弁護士と経営者なのだから、最低でも、二十代後半にはなっており、大半は、三十歳を優に超えている人間であった。
意義のある人生を送っている人が多いためか、顔のつくりの良し悪しに関係なく、魅力的な表情の人間が多かった。
彼らの内面の美しさは、外見を凌駕すると言うのが、ふさわしい表現であった。
そのサービスに登録する段階で、身分証明書を提出して、自分の職業と所属先を明示しているため、相手の身元は確かなのだが、会って互いに名刺交換をするまでは、互いに許可した情報しか相手に知られないという仕組みになっていた。
それぞれが、信用に足りる人間という評価を受け、かつ社会的地位が高いからこそ可能なシステムとなっていた。
双方が会う場所は、特段の決まりは無いのであるが、大抵は、都内の高層ビルの最上階のレストランであった。
そのビルは、近年、都内に建てられたもので、商業施設と住居、そしてオフィスが中に入っていた。
いわゆるエグゼクティブのマッチングで当事者が会う場所としては、あまりにもベタな場所で、当事者を安心させるに足りるものであった。
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その日も、都内の高層ビルを見下ろすテーブル席で、一組の社会人が、会合を行おうとしていた。
一方は、人権派弁護士であった。
他方は、新進気鋭のIT企業の経営者であった。

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