オンラインピアノレッスン講座 第1回 ~実施方法・機材・カメラアングルについて~
はじめまして、ピアニストの藤原新治です。
新型コロナウイルスの影響で私の教室では感染リスクを減らすために、通常レッスンを中止し3月からオンラインレッスンに切り替えました。
実はオンラインレッスンは初めてではなく、私がハンガリー・生徒が日本という状況で数回ほどやったことがあり、今回オンライン始めるにあたり壁は感じませんでした。
むしろオンラインレッスンの可能性を広げられないかと考えていたところでしたので、言い方が不謹慎かもしれませんが、格好の機会ではないかと考えすぐに実行に移しました。
SNSにオンラインレッスンの様子を投稿したところ、「どうやって行っているのか?」とお問い合わせをいただきました。そこで私なりの方法ではありますが、少しでも全ての音楽講師のお役に立てないかと思い、オンラインピアノレッスンに関するNOTEを開設しました。
通常レッスンと比べればいくらか制約はありますが、オンラインだからできる強みも沢山あります!沢山のアイディアを皆さんとシェアできれば幸いです。
・オンラインレッスンのスタイル
以下の時間配分で行っています。
~1時間の場合~
50分オンラインレッスン→終了後、別撮りのビデオを作成に10分
レッスンで伝わりきらなかった部分の補強や宿題の箇所を別撮りしています。私はこれがかなり重要と捉えており、生徒達にも普段の練習時にもチェックできるとのことで好評をいただいております。
一番効果を実感したのは片手のゆっくり演奏。譜読みのミス率がかなり減りました!保護者からも子供が譜読み中にわかんなーい!と言われ途方に暮れることがなくなったとのお声も。コンクールを受けるような上級の生徒さんも練習毎に確認出来て便利とのこと。
普段のレッスンよりもちゃんと練習してるんじゃないか?笑
実際に生徒の上達率も全体的に通常レッスンとあまり変わらない、もしくは更に伸びたケースもあります。
音質をできるだけ最良のものでお届けするためshure MV88を導入してます。
https://www.shure.com/ja-JP/go/motiv-mic/jp/mv88/
細かいニュアンスまで伝わるので重宝してます。
※MV88は専用アプリでしか使えないため、ビデオ通話時はiPhone内蔵マイクです。
・伝え方について
1か月オンラインレッスンをこなしてきて気づいたことを今回は簡単にまとめます。
その1 生徒の演奏後にワンポイントアドヴァイス
通常と違い演奏中に指示が出来ないので、基本演奏後に教え始めます。その際、一気に多くは教えず、1個ずつ潰していきます。そしてまた弾かせ、潰すの繰り返しが効率が良いです。
その2 微妙なタッチの話はものを使って分かりやすく
初期はタッチを伝えるのに大変苦労しました。。特にPPやビロードタッチ。これはティッシュを鍵盤においてお手本を見せることでほぼほぼ解決しました。鍵盤上にティッシュを置いて弾く→ティッシュが手前にさらりと落ちれば成功、残っていれば下にしっかり打鍵しているので失敗。100は伝わらないけど80くらいは伝わるかなという感じです。
その3 幼児に語りかけるときは先生の顔をみせる
これはかなり大事です。教室に来て先生が横にいるという緊張感がないので生徒にもよりますがかなり集中力が散漫になります。(先生みてーー!!といきなりおもちゃ紹介が始まったり、画面から急に消えたり。。w)なにか教えるときはインカメでいきなり先生の顔をどアップにすると注意力をひけます。
・ソフト・機材について
そんな難しいものは使っていません。
ソフトはZoomという会議用ソフトをメインで使用しています。通信速度によりますが、画質が良く、音の遅延もほぼありません。
機材面では以下のものを使用してます。
iPhone6s 4年前のですが現役です。強いて言えばスマフォはインカメラの画質が良ければ良いほどいいです。
ノートパソコン ASUS X555U (Jamkazam用 アプリ編参照)
スマフォ用スタンド 2台 ミニ三脚型となにかに固定するタイプ
カメラ用三脚 細長く高さがあるタイプ
Shure MV88 iPhone用高性能マイク 別撮り用
モバイルバッテリーまたは近くに充電できる環境
長時間レッスンには必須!
~生徒側で用意するもの~
・スマートフォンまたはタブレット のみ
タブレットは固定が難しいのでスマフォが良いかもしれません。
あればスマフォスタンド、なければ保護者がカメラマンに。高学年だったら一人でできます。
次に3つのカメラアングルについて説明していきます。
1、基本アングル
基本的に先生の顔と身体と手元が見えるようにピアノの横、少しちょい後ろ目にスタンドを置きます。斜め上から撮る感じです。
身体の使い方を見せるならばもう少し後ろにすれば撮れます。生徒に語りかけるときはカメラを自分に向けて顔を見せてあげます。この顔と手元のアングルチェンジが大事で、特に小さな子の場合先生の顔をみせないと集中してくれません笑
2、鍵盤ビュー
設置例(ゴチャゴチャしててすいません。。)
細長いスタンドは元々カメラ用でスマフォ用スタンドの部品を付け替えて使用してます。こんな感じで写します。
用途によって使い分けてます。細長いので真上から手元を写す↓
これは顔の真横にカメラを置いた形で先生目線を体験できるアングルです。Youtube動画でもお馴染みですね!譜面台にスタンドをおけば通し演奏も楽に出来ます。このアングルは主に生徒と一緒に譜読みする時にも役に立ちます。
(なぜか写真どうやっても縦になりませんでした。。)
自宅の方からレッスンする場合は譜面台に固定型スタンドをつけて上から撮ります。これも楽に撮れますし、激しい演奏でもスマフォが落ちてくることがなく安心して撮れます。
3、接写
このスタンドを
ハンディのようにして使用します。
するとこのように指先の細かい形やトリルなどの細かい手技が要求される奏法を伝えるのに役に立ちます。
横に置けば手首の使い方もうまく伝わります。
楽譜に近づければ指番号の確認も可能です。
以上3つのアングルを駆使してなんとか画面の先の生徒に伝えております。
メリットは普段と違う視点で見られるので生徒側はコツをつかみやすい。
特に手首の使い方と指を立てたりするのは接写することによって割と早く改善してくれます。
デメリットは音が正確に伝わらない。
一番の懸念事項がこれです。
これらのアングルをうまく駆使してオーバーに身体の使い方をレクチャーしています。それを生徒が真似ているのを画面越しに見て、求めている音になっているかは想像の世界です笑
ですが日頃生徒の音をよく聴いてきた先生ならそこまで難しくないと思います。100%までとはいかなくてもある程度の土台を仕上げてあげることは可能なはずです。本格的な味付けは対面レッスンが再開してからですね。
オンラインレッスンは対面レッスンほどの効果はないですが、伝え方やアングルを工夫すれば想像以上に充実したレッスンが可能です。
次回はアプリについて取り上げます。