シンプルな状態を保つこと

これは失敗からの一つの学びである。
この学びが全ての組織において、当てはまるものかどうかはわからない。

複雑性を高めてしまう

スクラムマスターとしてチームの成長のために色々とやろうということを考える。
例えば
- ベロシティを安定させる。
- 技術的負債を解消する。
- Doneの定義を拡張する。
- プランニングの時間を短くする。
はっきりって解決しなければならない課題はいくらでもある。
でも、そのスクラムマスターとして捉えた課題を解決しようとすることが複雑な状態を招き、チームが迷い、さらには課題を見つけにくくしてしまっている可能性もある。

チームの視点

1スプリントでチームがやれることはそれほど多くはない。
チームはプランニングで計画した通りに、機能開発をしなければならない。
スクラムマスターは考える時間が無限にあるが、チームにとっては目の前のこと(プランニングした計画の実施)に時間を使うことが一番大事なのである。

なぜチームはここに気づかないのか、なぜチームはこの課題を解決しようとしないのか。
そうじゃない。
チームにとってPBIの消化が最優先事項である以上、その他のことの優先度を上げることはできないのである。
チームは1スプリント単位で動いていることを念頭に置かなければならない。それを忘れてはならない。
スクラムマスターの思考は中長期的思考ではあるが、チームに落とし込むときは短期的視点に立って考えなければならない。そうでなければ何故チームは思ったように成果を出すことができないのかと頭を悩ませることになる。
チームはスクラムマスターが挙げた課題には気づいているし、解決しなければならないということは重々承知している。それが解決されないのは決して甘えや怠慢ではない。

シンプルにする

スクラムマスターとして将来的にこんなことが起こるかもしれないから可能性を潰すためには、これをやっておいてもらおうとか、先を見過ぎて足元がおぼつかなくなってしまっては本末転倒である。
スクラムマスターとしてやるべきことは、チームが課題を取り扱えるような状態にしなければならない。
それは環境であったり、課題の分解であったりどうすればチームが主体的に課題解決に取り組んでいけるかということである。
これは「自分がメンバーだったら」と置き換えれば想像がしやすい。
中長期的視点で考えていると気持ちとしては「全部いい感じにやれるでしょ。」と思ってしまう。
けれど、自分がチームのメンバーだとしたら1スプリントのなかで第一にやるべきことは計画通りPBIの消化なのだから、それ以外のことを全てをやりきることは不可能で、自分の中で優先順位つけて他のものは取り扱わないようにすることが普通ではないだろうか。

何かしなければと焦るばかりに、チームに一気に複数の要求を出すことはあってはならない。
チームが目の当たりにしている課題を一つ一つ解消していくことが最短距離なのかもしれない。
もちろん間違った課題を解決しようとしていたり、解決があらぬ方向に行かぬような何かは必要である。

優先順位とか明確につけられることばかりではないので、その優先順位を明確につけようとすることに悩むぐらいなら、その間に課題を小さく解決した方がいい。
それで立ち行かないときに改めて考えればいい。

色々出来ていないことでチームに対してヒアリングしたり、うまくいっていない事を数値などで見せたりするのはプレッシャーになるし、それが良いプレッシャーとは限らない。

目標に対して最短距離を進めるように整備すること、それがスクラムマスターの役割なのではないかと学んだ失敗だった。

課題解決の主体はスクラムマスターではなく、チームだということを常に忘れてはならない。

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