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5本指の魔法

「チームのDailyScrumがあまり機能しない。」

DailyScrumでは漠然と
- 今日やったこと
- 明日やること
- 相談したいこと・改善したいこと
という3つが問いかけられていた。

チームとしてもDailyScrumが上手く機能しないという課題は抱いており、レトロスペクティブでも話し合われて策も打った。少しだけ改善されたように思われたが、それでは満足いかないようであった。

「DailyScrumは日々の改善の場なのに、なぜそれがなされないのだろう。」
全員がそう思っているのにも関わらず、なにも変わることはなかった。

スクラムマスターとしても非常に歯がゆい思いをしていた。
どうしたら気兼ねなくチームメンバーは発言できるようになるのだろうか。

今思えば、「なんでも発言して良いんだ」という個々人の心理的安全性の確保が出来ていなかったのかもしれない。傍観者効果があったのかもしれない。


これくらいなら言わなくてもいいかな。こんなこと言ったらネガティブに思われるかな。
もしかすると、そんな思いが渦巻いているのかもしれない。

ファイブフィンガーというものをやってみよう。
一つの実験だった。
「感覚でいいので、今日一日どうだったか1本から5本指を出してみてください。」

いざやってみると、3本、4本, 5本と人それぞれの数が挙がった。
低い本数を挙げた人からその理由を聞いてみる。
「ペアプロしてるときにXXという点がちょっと駄目だったかなぁ。もうちょいどうにかできたのかも。」
「なるほど確かに自分もそれは思っていた。」
「XXしてみるともう少し良くなるかも。」

自然と会話が生まれた。
個人の課題と捉えていたものが、チームの課題として捉えられたのだ。

ファイブフィンガー
不思議な魔法だ。

ただ指を挙げるだけで、
内省する
なんとなく上手く行かなかったことを口に出してみる
みんなはそれを否定せずにじっくりと聞き入る
共感する
一緒に改善策を考える
これらが一気に行われる。


5本指で表明する。
たったそれだけのことで、人の行動はあっという間に変わる。
実に不思議だ。

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