先延ばし1
2020年は新型コロナへの対応のために夏休みも変則的になっており、宿題も地域や学校ごとに異なっていることでしょうが、通常は、1か月余りの夏休みがあり、長さに応じた宿題が出ます。それを、新学期にまとめて持っていきます。計画的に宿題ができる人はまれで、たいていは夏休みの終盤にまとめてやります。「こんなはずじゃなかったのに。」と言いながら。なんだかんだと理由を付け、そのうち、宿題のことも忘れて、どんどん先に延ばしてしまうのです。
アリエリーも、そうしたヒトの性(さが)を承知して、実験を行いました。
12週間の学期中に、学生に対するレポートを三本提出させるのですが、その提出期限を以下の三つに分けて実験しました。
① 提出期限を自分で申し出て、それに間に合うように出す。
② 学期中の提出期限を設けない。
③ 4週ごとに1本提出することを強制する。
結果は以下の通りです。
① 自分で申し出る。 成績 中
② 途中の提出期限なし。 成績 下
③ 強制的に4週ごと。 成績 上
ということで、予想されたとおり、強制されれば早く出すが、期限が先だとやらずに放置するということが明らかとなりました。
ここで、①の自分で決めることの意義はどこにあるのでしょうか。
このグループの中の一部が、足を引っ張ていることが分かりました。十分な間隔を空けない期限を申し出た学生たちです。それ以外は、強制的にやらされたのと同じくらいの結果を出すことができていたのです。
自分が先延ばししてしまいそうな課題は、いついつまでにやると決意表明することで、強制されるのと同じくらいの効果が期待できます。こうありたいという見通しに基づいて自分をコントロールすることができるようになるということです。
夏休みの宿題も、無理がない、現実的な範囲で、いつまでにこれこれ、その後何日で次、など、決めてしまい、それを親や友達に「やって見せる。」と公言することで、実現可能性が高まるということです。
今どきは、SNSという決意表明の手段もありますから、宿題の進行状況を日々更新するなどの手段を用いれば、一層実現可能性が高まるものと思います。
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