プラセボ効果1
鎮痛薬の効果を調べるためとして、ボストン在住の成人100人を対象として実験を行いました。
診療所のような雰囲気の部屋で、被験者は、その鎮痛薬のパンフレットに目を通すよう促されます。
「べラドン(鎮痛薬)は、オピオイド系の新薬です。臨床試験の結果、二重盲検比較試験でべラドンを服用した患者の92%以上が、わずか10分で痛みが大きく軽減したと報告し、その効果は最高8時間まで持続しました。」といったことがパンフレットには書かれています。薬の値段は、1回分が2ドル50セントということも書かれています。
その後、医師のような人がやってきます。そして、現在の健康状態や家族の既往歴等について確認し、さらに、聴診器で心音を聞き、血圧も測定します。引き続いて実験です。被験者は、緑色のジェルのついた電極を腕に巻かれ、そこに電気ショックを流して痛みに対するあなたの知覚と耐性を検査すると告げられます。
始めのうちは何となく不快であるという程度の電気刺激でしたが、次第に痛みが増し、最後には目玉が飛び出すほどの強い刺激になります。これを体験し、続いて、痛みの強さをランダムに与えられ、1回ごとに、「まったく痛くない」から「耐えられないほど痛い」までの間のどの位置にあるかを報告するよう求められます。
ひとしきり痛みの報告をした後にべラドンを服用し、15分間待ちます。
15分が経過したのち、その前と同様、与えられた刺激の痛みの程度を報告します。
ほぼ全員が、べラドンが効いているときの刺激(電気ショック)はそれほど痛くなかったと報告しました。
実は、べラドンの正体は鎮痛薬ではなく、単なるビタミンCのカプセルだったのです。プラセボ効果が見事に確認できました。
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