酸っぱい葡萄2

 「サブスク」という言葉を聞くことが多くなってきました。「定額制」と近い意味で用いられますが、それよりは進化してきているようです。


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毎月一定額を支払うことで利用できるサービスは、昔から存在していました。新聞などの定期購読料、賃貸住宅の家賃といったもので、自動車にしても、レンタルやリースという利用形態がすでに存在しています。
当時の定額支払いのサービス形式は、製品そのものを購入する場合と比較して、初期コストが安く抑えられるものの、「サービスの提供が一方的である」「コンテンツのアップデートがない」「商品の交換に制約がある」など、ただ商品やサービスを分割払いして購入している状況に近いものでした。
サブスクリプションモデルで重要なポイントは、単なる定額支払いで利用するサービスではなく、データを集積し、分析し、新しいサービス改善につなげていくことです。サービス提供会社やメーカー、販売会社の視点で一方的にサービスを提供するのではなく、サービス提供を通じて顧客のデータを蓄積し、顧客視点でデータを分析することで、より顧客が満足できるサービスに近づけていきます。このデータの集積・分析・改善・新サービスの提供をしてこそ、真の意味でのサブスクリプションモデルであると言えます。
>>>(「サブスクリプションモデルとは」から引用)

 アリエリーが「予想通りに不合理」で紹介しているのは、ケーブルテレビの「お試しパック」です。一定期間だけ、特別価格で、より上位の「パック」を提供し、いつでも「基本パック」に戻ることができるという期間限定サービスです。結果的には、基本パックに戻す人は少ないようです。


 上記のサブスクモデルも、初期コストを抑えて、商品になじんでもらえば、顧客がそれを失うことへの不安を感じるようになり、継続して使用してくれることが多いという点では、「お試しパック」と共通するものがあります。


 別の例ですが、乱立する「なんとかPay」の中で生き残るためには、まずはアプリをスマホにインストールしてもらわないことには始まりません。PayPayが莫大な初期投資をして顧客を獲得しようとしたのも、自分のスマホに入っているアプリがあるときはそれが良いものに思えるようになっているので、同業他社が同じようなアプリを提供しても、取って代ることが難しいというようなことがあるのでしょう。

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